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週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(20.12.20-20.12.26)
当欄で2020年にとりあげたニュースをリスト化する作業を進めているのですが、6月末迄で350本超を確認、つまり年間700本前後の「外国人就労関連ニュース」に我々は取り巻かれている時代ってことらしいです。
■今週トップで採り上げたいニュースは断然これ
年末の忙しいビジネスデーに、「ここまでのニュースまとめ」エントリを1本書いてしまうぐらいのインパクトがありましたね。
なお、上で引いたAbema Timesの「それでも東京福祉大学が残り続けるワケ」って良いタイトルだと思うんですけど、本文に解が示されていないのでは疑惑。だったらー。私の仮説を聞いてもらってもいいですかぁ?(ギャルっぽい口調で)。
「東京なんちゃら大学」って、海外から日本へ行こうとするひとたちには「Tokyo University」の系列の何かっぽく見えるんですよ(現に英語表記はTokyo University of Social Welfareなわけで)(ベトナムのアカデミズム最高峰である、国家大学がまた実際そんな感じのネーミングなので、なおさら「それっぽく」見える)。
学校の命名についても、優良誤認表示で消費者庁案件。という対応が必要なのでは、という仮説を繰り返し説いてまいりたい所存です。
■もうひとつ、ローカルニュースとして葬り去られそうな気配なこちらも
死体遺棄容疑で逮捕→殺人容疑で再逮捕→保護責任者遺棄致死および死体遺棄で起訴。って流れなんですけど、彼女を罰して一件落着でいいのか本当にそうか。あと、共同通信の「元技能実習生」って表記にハラワタ煮えそう。逮捕されたから「技能実習生」の肩書きは消滅なんですか、へーそういう仕打ちをするんですか。
技能実習生は恋愛禁止、妊娠なんてとんでもない、仮にそんなことになったら即刻強制帰国させるから。って圧力が蔓延していることこそが、この事件の本質じゃないですか。
雇用していた企業は(過去報道をみるかぎり)当事者に寄り添おうとしていたようでもあって、誰かを糾弾することでスッキリする系の物語構図が見えない話なんですよね。
それだけに、一過性のトピックとして忘れるべきではないと私は思います。
■そうそう、忘れられかけているといえば
ひとしきり騒がれた「群馬のアニキ」界隈、結局逮捕から2ヵ月たちましたが、いまだに証拠らしい証拠はあがってこないらしいんですよね。
継続して追っているのが専門紙(日本農業新聞)と、地元紙(上毛新聞)ぐらいなのは仕方がないけど、無責任に囃し立てるだけの存在なら君たちのことをメディアとは呼びたくない。責任もって追えや。そんな感想が。
■とはいえ、ここのところ「犯罪は社会の産物」系の記事が目につくようで、各紙誌それなりに頑張ってはいる(=なぜか上からコメント)。
■不満があるとすれば、この事態を最も当事者として受け止めるべき政府機関、法務省に対してです。
非正規の滞在のため、市に人数などを把握する法的な権限はなく、実態をつかみ切れていない...入国管理制度上、自治体独自で手立てを講じることができず、生活保護の申請なども受け付けてこなかった。一方、事態の深刻さを受け、国に直接、実情を訴える機会をうかがっていた。
奥ノ木市長は面会で「仮放免でも命をつなぐために隠れて働いている人もいる。国も人道上の立場から、そうした人たちもきちんと働ける仕組みをつくるべきだ」と訴えた。これに対し、上川法相は「現場の声が聞けてよかった」と話したという。
太字にしたところ、声に出して読みたい。
■今週の入管
■出入国在留管理行政について広く各界の有識者から意見を聴くための法務大臣の私的懇談会、という位置づけの「出入国管理政策懇談会」が「今後の出入国在留管理行政の在り方」という報告書を公開しています。
過去資料にも目を通してきているから言っていいと思うんですが、今回の報告書はこれまでに比べ「キレイゴトを離れ/是正への意志」を感じる内容な気がしたんです。
だけど肝心の法相の活動を見ていると、キレイゴトを離れ? 是正への意志? そんなん俺の気のせいでは。ってなるんですよ。私の言ってること、わかります? わかりますよね?
■朝日新聞の“気がつけば「移民大国」”という特集は今月、何度となく触れてきているのですが、今週更新分も興味深い内容でした。
個人的には提言6の「技能実習制度そのものは悪くないと思うんだよー」って主張がいちばん面白かったです。同意はしないけど、着眼点にへー。ってなった、って意味で。
■ちなみに「日本国内の技能実習生の話かと思ったら海外の話か」シリーズが実は今週ありまして。
要するに、労働力不足を海外から補おうとする動きと、それにともなって生じる軋轢はグローバルなトピックなんですよ。本日のイントロダクションでも書きましたが、われわれは世界のそうした潮流にとっくにハマっていて、そのことに無自覚でいられる時間はもうそろそろ終わりが近い。
日本語教育シンポジウムという場で提起されたという視点、「今アメリカで起こっていること、あれが多文化共生がなおざりにされた結果、分断が起こったということだと思うのですね」これ、重要だよなー。そう思いました。