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追っかけ記事/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.9.19-21.9.25)

通信社がニュースを配信し、それを各メディアが追う事例は日常茶飯事ですが、たとえば今週だと「技能実習の監理団体が所得を隠してたんですって」という話題がありました。

北海道新聞の本件報道が最もノーマルな通信社記事の使用例。

地元テレビ局も「絵になる」と考えた今回のようなケースでは(たとえ通信社がつかんだ以上の内容が無い場合でも)報道しますね。

全国紙はプライドがあるからそれなりに「独自色」を打ち出したがる。

そしてお膝元の話だけに、ブロック紙が詳しく追う運命。

■私が何を言いたいかというと、この件です

ふだんあれだけ右に倣えが大好きなのに、毎日が、読売が、日経が黙して語らない理由が知りたいんですよ私。

裏取りを進めているならそれはそれでいいし、自社では記事化できない理由があるならあるでいいけど(よくはない)「そんな話は無かった」フリはやめてほしいんです。一体全体どこの独裁国家やねん。

■複雑な顔にならざるをえない別件

入管が隠し通そうとしている映像を開示せよ! と盛り上がるのは悪いことではないと思うのですが、実際にそのダイジェスト版を見ただけで体調が悪くなった身内の方がいるわけで-だから見せなくていいとは決して言いませんが-ひとがひとり、亡くなっていく模様を克明に記した動画の全面開示をあまりに無邪気に要求する自分たちの様子に対し、もう少し自覚的であってもいいのでは。
バスチーユに向かって行進する市民がちょうどこんな感じだった。
と、当時を覚えている老人がいたら(いないよ)言うところです。

■スリランカという固有名詞が出てくるニュースではこちらも重要な内容なのですが、今週は上の2本でおなかいっぱいなのでこっちは見出しだけ

■その他のニュース(ややほっこり系)

■その他のニュース(ほっこりしない系)

3つ目のNHK記事は「学問目的であっても日本に留学できない」話と「日本語学校の経営が苦しい」話と「法制の縛りで婚約者が家族とみなされない」話が無理にひとつになっているので、ちょっとなあ、分かりにくいよなあ。

■NHKからもう一本

これはワンイシューで分かりやすい。

■別に「ワンイシューだから」分かりやすくなるわけでもない、という例を挙げることでNHK山形を間接的に称賛する私です。

これ、見出しでは「人権アプリ」などと言っていますが

日本で働く技能実習生らが会社に知らせず、アプリを通じて第三者機関に相談できる

要はメールやチャットや通話で出来ることをわざわざ「アプリ」にする、ということです。
とすると、先週の下の記事を読んでいるのといないのとでは受け止め方も違ってくるんですよ。

実習生は日本の携帯電話会社とは契約せず、自国から持ち込んだ端末を日本でも使い、Wi-Fiがある居住環境などで会員制交流サイトを通じ、携帯電話同士で通話するケースが大半 (中略) 
アプリ内には、緊急連絡先の固定電話の番号をクリックすれば通話できるボタンもあるが、これも利用できない実習生が多いということになる。同機構に取材すると「通話できるスマホを周囲から借りてもらうしかない」との答えが返ってきた。

何をあたりまえのことを。と現場を知っているひとたちなら思うのですが、まとめておきます。

・「トヨタ自動車やイオンなど約210の国内企業団体が、外国人労働者の人権を守るため」のアプリ開発をJICAが主導(共同通信)
・似たようなアプリは技能実習制度を監督するOTITが開発済
・だが日本の電話回線契約をしているユーザー少数派で意味がないという指摘(西日本新聞)
・JICAは外務省、OTITは厚労省、それぞれにお金の出どころが違うとはいえ、どうせならもうちょっとすり合わせたらどうか。本気で「外国人労働者」のためって思うなら尚更

■もうひとつ要解説の記事がありました(またNHKだ)

・技能実習生を受け入れる企業が守るべきルールなどというものは当然存在しており
・俺たちは大丈夫だけど下請けが心配だからあらためて作った、という内容なのですが
・「味の素や日本コカ・コーラなど食品や小売りの国内の大手企業が加盟する団体」とだけあって固有名詞がない。ために記事全体がふわっふわなんですよ
・なお、この記事とは関係ないけどちゃんとしているところはちゃんとしている、という話はたとえば下記参照

今週はこんなところかなー。

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