概念としてのガイジン・マン/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(22.2.13-22.2.19)
当該週でいちばん盛り上がったトピックを取り上げて何か言う。というのが本連載の定番オープニングですが、今週はうっかりバリューの小さそうなニュースから。
・逮捕された経営者の弁「のどから手が出るほど人手が欲しかった」
・「島なら捕まらない」と油断する労働者
・記事見出しにもある通り、カラオケがうるさくて警察呼ばれた
非正規在留でもかまわない雇用主、求められている認識が裏目に出た労働者、彼らをなんとなく気に入らなかったのであろうコミュニティ。
などを想像して遠い目になりました。
これって結局カネしか接合点がない付き合いはサステナブルじゃない、ってあたりまえの話ですよね。
■そういうまとめ方をすれば、そもそも本連載で毎週取り上げているニュースはすべてそこに帰結する説。
政府がお題目として唱える「共生」を経団連ふうに解釈すれば「win-win」となるように、概念としての外国人論をやってるから伊豆大島みたいな話が日本全国で起きているんじゃないのかね。そう思うんですよ。
■ひとをひととして見るのって、そんなに難しいですかね?
難民申請と同時に特定活動へビザが切り替わるひとたち(=概念として「送還忌避」予備軍とみなされがちなひとを多く含む)を正規雇用しませんか。
というチャレンジングな取り組みを続けているNPO法人のプレスリリースが上記リンクですが
たとえばヤマハ発動機のエピソードとか、完全に「ひと」の話なんですよ。良いと思うんです。やれば出来るんじゃん。
■概念
■概念じゃない
■概念だから、を敷衍する社会では珍しくもないニュースだ。と言いたい
この件「5年の受け入れ停止」ってことはその後はまた雇用可能ってこと? とか、受入企業の罰則はいいけど監理団体は? とかのコメントを目にして私が思ったのは
・人手が足りず技能実習生を雇用する中小企業がこんなことをやらかして、5年雇えなくなれば倒産勧告と同義
・別企業を立ち上げて、そこが新たに技能実習生の受け入れを申請する流れは珍しくもない話
・この処分自体が現状追認の一部だし、この報道をもって「カタが付いた」ふうに「流す」社会は不健全
あとね、他媒体で触れられていなかったので結構驚いたのですが
フランスメディアの筆者だから気になったこと、で済ませていいんでしたっけ。そういう管轄だから、って話ではあるけど「外国人による犯罪を取り締まる」部門のひとは「被害者」という属性ではなく「外国人」という属性で見てしまいそうじゃないですか。
同居人からの暴力に耐えきれず最寄りの交番に駆け込んだら「それより在留資格は?」ってボタンの掛け違いが生まれた国に我々は居るわけで。
■という具合に、ストレートニュースばかり読んでいると気付かないような視点が得られる記事は珍重したい。と思うことが多かった1週間でした
グッドモラルとは。みたいなページを探して、お、分かりやすい。ってなったウェブサイトは合衆国政府とは関係ない民間企業のものだったのですが、一応リンクはこちら。
薬物禁止法の対象になるような犯罪は情状酌量の余地あるとはいえ一般論としてよろしくない。ただし30g以下の大麻所持は除く。
みたいな明文化、日本だって出来るよねえ。お気持ち排除、たいせつ。
■概念、概念じゃない。って書いていて思い出したので過去記事へのリンクも最後にどうぞ。
ちなみに本日のサムネイルは「ガイジン・マン」って変な曲が入っているCDイメージですが、当然ながらニック・ロウは本稿内容とは無関係。当該アルバムから1曲採るなら"Rocky Road"だろ、みたいな話はまた別の機会にでも。