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送り出し機関訪問時あるある

国や地域による差は存在するはずですが、複数国、複数地域への訪問経験から、技能実習生送出機関あるある。と共通項を指摘するのは可能じゃないかな、と思って書き始めます。
まず前提ですが、技能実習制度を利用して訪日を希望するひとは「一定の日本語能力を有する」証明をしなければいけないのですが、私の本業はその日本語能力まわり。
つまり日本語学校も送り出し機関も受け入れ機関も一律「お客さま」なのですが、私自身の意識では、日本語を勉強しているひとが最優先のお客さま。出版編集者だった時代、著者も書店も取次もだけど、やっぱり読者がお客さまだよな、と考えていたころと同じです。

・技能実習生を必要とする日本企業の視察、あるいは日本語学校のえらいひと。に間違われがちな見た目をしている自分のせい。ではあるんですけど……ことばに水分があったら溺死するレベルで「こんにちは!」の嵐の中を進むことになります
・つまり自分の中ではお客さまであるはずの若者たちから最敬礼されてしまう、というこの居心地の悪さをお察しください

・訪日希望者は出国までに日本側(=受け入れ機関、就労先企業および日本政府)が要求するもろもろを身につけなければいけないので、たいてい全寮制です。そうするとほら、送り出し機関は寮費用を請求できるじゃないですか(来日希望者が全額負担する場合もあれば、就業予定の日本企業が負担する場合もあるし、なんなら日本に請求しつつ来日希望者にも請求するところだってある)
・送り出し機関によって力点は異なりますが、日本語教師が払底している現状では「日本に行って困らないような生活習慣の教育」が当該機関のメインミッションになりがち
・経営者はいろいろ。職種としては新今宮駅前にいる手配師(=関西出身者ならではの比喩)みたいなものなので、清濁あわせのめないと出来ない仕事
・どうしても報道で目にする機会が多いのが「技能実習制度の犠牲者」のため、ごく稀ではあっても技能実習の経験をベースに日本関連の事業を展開しているひとに出会うとホッとします。でも送り出し機関の経営者でかつ技能実習(あるいはその前身である研修制度)経験者には、いまのところひとりしか、会ったことがありません

介護分野においても技能実習制度を経た訪日が可能になって以来、たとえばベトナムの送り出し機関にはリクエスト殺到していますが、まあ面白いぐらい希望者が集まりません。
日本における介護という職業の実態を知らせないまま募集をはじめたらしく、複数の現地のひとから聞いていますが「お年寄りに注射したりする仕事だよ」と称していた模様。
もちろんすぐにバレてハノイ、ホーチミンのような都市部で総スカン食ったものだから地方でのリクルーティングに方針を切り替えたものの、Facebook社会のベトナムでは気をつけろ案件として既に定着済とのこと。
小手先の利益だけを追う事業形態が共感を得られるわけもないので、個人的にはほのぼのエピソードなのですが、前述の通り私には「お客さま」のことでもあり、おおっぴらにはザマアミロと言えないので-ここで書いたった。

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