元東京出入国在留管理局長インタビューほか/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(22.5.15-22.5.21)
小樽商科大学の季刊誌「商学討究」2022年春号に
「元東京出入国在留管理局長・福山宏氏に聞く -入管行政の現場に関するインタビュー調査」
というテキストがあると知ったので、A4で86ページになるインタビューを読みました。
全編こんな感じ。
信念に沿って定年まで勤め上げた「移民受入には私は反対です」人物の、いかにもそれっぽい言説オンパレードなのですが、それはそれとして面白かった例が、入管収容者によるハンストが自分の勤務先では起きなかった、それは。という文脈での以下発言とか。
こういう、あまり表沙汰にならないナマの声が載っているんですよ。
メディアに話す場合「構えてしまう」のは避けられないし、メディアはメディアで何かを「言わせたい」と舌なめずりをしているわけで、結果的に学術誌だから叶ったユニークなアプローチ。一読推奨。
■子どもに罪はない? 親の因果が子に報いているだけですよ。と言われて「そうだよね!」とはならない私ですおはようございます
公開前から各メディアが大きくとりあげている映画『マイスモールランド』(2022)、入管を含む日本社会の姿を記録しているという意味で、みんながホメるのはいいんだけど、さすがに情緒に訴えるだけでは足りないのでは。と最近物足りなく思うんです。
たとえばですけど、日本政府がクルド難民を絶対に認めないのは何故なんだ、って疑問に答える解説のニーズ、あると思いません?
今週も北海道でクルド人難民申請を却下したのは不当だった、という判決が出ていて、な、『マイスモールランド』そのものだろ。
なお私、依然として映画見てません。しかし見たら見たで、いっそうドヤ顔になりそうなので、しばらく見ないほうが正解なのかも、と思ったりして。
■熊本のベトナム人技能実習生リンさん(2020年11月15日)とほとんど同時期に広島で起きていた話(2020年11月11日)
ローカルメディアがここに来て注目しているようなので、背景にあるわれわれ日本社会の外国人軽視や、女性ばかりが矢面に立たされる法体系、そのあたりをあらためて考えるきっかけになるといいんだけど。
■あわせて読みたい
■今週、そこそこの量で報道された特定技能ニュース2題
皮算用では35万人だったところ6万4000人、って話が上の3つ。
そして具体的な企業の話が下の見出しなんですが……
定点観測している私ならではの蒸し返し。
2019年に計画発表されたとき、何に「ん?」ってなったかというと
待て待て。特定技能だよね? 技能実習じゃないよね? 「送り出し機関」って呼称が適用されるのは技能実習制度であって、特定技能では送り出し機関を介する必要は本来ない。よね?
そもそも送り出し機関による法外な手数料の徴収が諸悪の根源って整理に基づいて特定技能が出来たのに、またここでも送り出し機関を介在させるのですね、そりゃベトナム(とカンボジア)は認定送り出し機関なる存在を日本政府も認めてしまっているので、なしくずしというか技能実習制度を温存する先方意向に妥協する方便だろうけど真っ当に人材を採用する気あるんすか。それともただ人件費を圧縮したいだけなんですか。
-というような感想不可避だったので、モスの件は引き続き注目しておきたいのです。
■要するに冒頭で引用した元入管エラいひとが主張するような「私は移民受け入れに反対」論が見ないフリをしている、現に彼ら無しでは社会が機能しない実態を、せめて私は直視したいってことなんですけど。
メンタル病んじゃうのも、貧困問題が直撃するのも、日本人だろうと外国人だろうと同じですよ。そんなの、当たり前ですよね。
■今週のその他ニュース
最後に「ニュース」ではなく日本に暮らす外国人のうち、恵まれたひとの思い出話。
いや、私が言いたいのはね、技能実習生だろうと偽装留学生だろうと、仮放免中のひとであろうと、みんなにそう思ってもらいたいじゃないですか。
それが出来ない国だとは思わないんですよ。