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完結しないうちに語る難しさ/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.11.28-21.12.4)

オミクロン株の話が出たのがちょうど1週間前。そこからの右往左往は完結していない連載コミックの最新回にギャーと言い、次の回を読んでワーと走り出す。みたいなテイタラクだったと思いませんか。だからね、完結してからでないと読まない派なんですよ私。

11月29日(月)

12月1日(水)

12月2日(木)

■邦人は帰国可だがそれ以外はダメだ

これはね、WHOの見解を私は支持しますね。

「ウイルスは国籍や滞在許可証を見るわけではない」と述べ、自国民か否かで判断するような対応は「矛盾している」と批判した

Asked about Japan’s latest ban at a news conference on Wednesday, Michael Ryan, head of the WHO’s Health Emergencies Program, said he found it “hard to understand” from a scientific standpoint.
“Does the virus read your passport?” Ryan said. “Does the virus know your nationality or where you are legally resident?”

自国民を優先して何が悪い、って声もけっこう大きかった印象ですが、私の感想は「だったらそう言え」に尽きるんです。
科学的なスタンスよりも情緒を優先する国です、だから人手が足りないって猫なで声を出すときもそういう国だと思って来てね。

現実としてそういう感じに、国全体がなりつつある気がしてならない。そういう意見が一定を占めるのは仕方がないとしても、そうじゃない自分(たち)まで一緒くたにされるのはイヤじゃないですか。
まず国籍ありきで分断し、その後も自分たちの都合で線を引く国。
国籍ではなく、共に暮らすヒトとして相互に知恵を絞る国。
後者のほうが、在りたい姿に近いと考えるんですけど、どうですか。これも「お花畑」なんですか。

■このドサクサにまぎれて

アオるねえ。同記事のグラフ、こんな感じ。

グラフ上段994人(有罪判決を受けた人)の内訳が下段、と読めるビジュアルですが下の数字を足すと2,256人なので、複数の罪状をわざわざ分解していることが分かりますな。
「タメにする」ってやつですが、だからって事実は事実、送還拒否の3分の1に前科があるのはどうなのか、という主張ですよね、はいはい。
あの、すみません入管が仮放免OKって言った後に再出頭してこない「悪い奴ら」の話ですよね? それって、そもそも入管が仮放免の可否判断を間違った可能性はない? あいつらは心底悪いから、うっかり見逃してしまった? ええとそれは、同じ要領で仮放免を許可すべきひとたちをうっかり収容している可能性もある、って認めてます?

なお本件についての法相コメントは真っ当。引用は法務省サイトから。

御指摘の報道については,承知しています。
不法滞在者の中には,殺人や強盗,性犯罪などの重大な犯罪を含め,前科がありながら,退去強制に応じず,送還忌避している外国人もいるとの報告は受けています。
これをどう評価するのかというお尋ねですが,先ほども申しましたとおり,外国人との共生社会を実現するためには,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れ,適切な支援を行うこと,それと同時に,ルールに違反する者に対しては厳正に対応すること,これが大原則,大前提です。
その前提にのっとって,送還忌避・長期収容の問題は,早期に解決されるべき喫緊の課題であるという強い思いを持っており,そのための必要な法整備はしっかりと進めていきたいと考えています。

https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00253.html

■もうひとつドサクサに紛れてしまった話

これはこれで短絡的なリアクションを呼ぶのは仕方ない。
・旅行で海外に行くなら保険に入るのが常識だろ
・なんで国が面倒を見る必要あるんだ
ごもっとも。
この話の出だし、仮放免になっても健康保険に入れない→大病をわずらっても医療機関に行けない→人道的に治療を進める医療機関が持ち出しになってしまう、というスパイラルなので。
その前段への認識が必須なのに、話をよく聞かず反発する声だけが高まった感があって、タメ息が出ました。

■今週はそんな感じだったので「その他のニュース」も少なめ

あれ、これ大丈夫? と思ったニュースを最後に。

水戸地方裁判所で開かれた30日の裁判で検察は「現場に残された足跡の一部が被告のものと一致しているほか、事件の前日に凶器の包丁と同種のものを購入している。犯行は極めて悪質で、結果は重大だ」として懲役30年を求刑しました。
一方、弁護側は「妻が犯人像として話す人物の身長と被告の身長が異なるほか、現場には誰のものか判別できない足跡が多くあった」と述べたうえで「被告が主張するように別の実習生が真犯人である可能性も完全に否定できない」として無罪を主張しました。

被害者の名前で検索すると事件当時の興味本位なゴシップ系コンテンツがまだ残っていることが分かるのですが、冤罪の可能性が少しでもあるのなら、報道はそういうつもりで臨まないといけないわけで、上記NHKの書きぶりに文句はないものの、なにしろほら、国籍が基本的人権より優位説がトレンドの国じゃないですか。
大丈夫か、われわれの良心ってやつ。おーい。まだ残ってる?

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