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地球上の30人に1人は移民/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.12.12-21.12.18)
毎年12月18日は国際移民デーということで(知ってました? 私は知りませんでした)国連のウェブサイトとか見てたんです。2年に1度、公開されているというレポートの最新版The World Migration Report 2022が12月1日付で発表されていることに気が付いて(540ページ!)ぱらぱらと流していたら、
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左が移民の送り出し国、右が受け入れ国。そのトップ20の顔ぶれが1995年と2020年でどう変わったか、という表で、2020年の受け入れ国20位に日本がいますな。(元データを見たい奇特な方はこちらから)
地球全体で見ても、生まれた国を離れることなく暮らすひとと、そうでないひとの比率はどんどん縮んでいるわけで、良いも悪いもなく、それが現実って話で、それ以上の情報ではないものの、なるほどね。って思ったのでした。
■そんな地球における、日本の今週
かわりばえしない。人手が足りない、なぜなら国境を閉じたから。
ただ、最後の記事におけるALTの先生が来日できない、という話やそのひとつ上の記事、インターンという名目で労働力を調達する動きが、という話は界隈のニュースを常時チェックしている私も「ん?」となったので、いろいろな影響出るし、いろいろな手法を考える奴がいるなあ、と。
■そしてこれはこれでおなじみのニュースたち
このあたり、つまり在留資格を云々するニュースの系列でいうと、相変わらずの産経新聞「独自」路線も見逃せません。
不法滞在などで入管施設に収容された外国人の拘束を一時的に解く「仮放免」で、特定の弁護士や支援者5人がそれぞれ身元保証人となった外国人787人のうち、195人が行方をくらましていたことが16日、関係者への取材で分かった
行方をくらます、という表現は媒体のアイデンティティ表明として親切ですが、似たことを先々週も書いた気がするけど、だったら仮放免の認定時点で防げるのでは。仮放免に際し身元保証人のチェックがザル、という理解でよろしいか。入管はいっそ仮放免の認否をする機能を手放してはどうでしょう。
「だから入管法改正が必要なのだ」という産経新聞主旨とは正反対の方角からの記事リンクも、置いておきますね。
■もうひとつ、報道へのリアクションが同じ感じだったやつ
帰国せよ母国に頼れ、に一理あると私も思いますけど、同時に国際移民デーのいう「30人に1人は移民」ってデータを頭の隅にでもおいておく重要性が増すのでは、とも思うのです。
現今の社会においては、さすがに「外国籍理由に生活保護却下は違法」という申し立てを肯定するのは難しいけど、その前提にあるのは国籍であり在留資格という概念じゃないですか。
それらの概念があやふやなものになって、つまり国籍や在留資格ではなく「いま暮らしている社会の構成員かどうか」が社会の判断軸になる可能性はあって、そうなっても国籍! 在留資格! 言うような狭量な人物ではありたくない。ぐらいが個人的な感想ですね。
■その他の記事
労働力の不足を補う理由などから、在留外国人は増え続ける。出入国在留管理庁によると、在留外国人の数は2005年の約200万人から2020年12月の時点で約288万人となった。15年で80万人以上、40%以上増えている。今後も増えるのは確実だ。しかし在留外国人は参政権がなく、声を出さないため、意見が社会に反映されにくい。だから15年間も行列は短くなっていないのだ。同じ日本社会に生きる者として、声なき人たちの声を拾い、待遇の問題を改善していきたい。one visa treatのようなサービスが、もっと増えてほしい。志ある人たちやつらい思いをしている人たちの支援を可能にするテクノロジーを取材することで、身の回りにありながら、看過されている問題を広く知ってもらいたいと思っている。
「日本人の多くは、日本語しか話せません。その結果、外国人とのコミュニケーションを避けがちになってしまいます。すると外国人も、『日本人は自分たちのことが嫌いなのでは』と想像して、分断が生まれてしまうのです」
ある人の証言によると、ウシュマさんが亡くなった直後、女性の入管職員が階段の踊り場で肩を抱き合って泣いていたそうです。入管の職員に人間の心がないと私は思いたくありません。ウシュマさんと主に接触していたのは基本的に女性職員ですけど、心を痛めていると思います。それでも、わたしはあえて言いたい。なぜ、あなたたちは救急車を呼ばなかったのか。おそらく厳しい規則があるんだと思います。勝手に呼んではいけないと上司から止められてたんだ、と。でも、それに逆らってでもなんで呼ばなかったのか。人の命を救えたら処分されたっていいじゃないですか。処分するような入管と闘う気はないんですか、と。
いや、さすがに「人の命を救えたら処分されたっていいじゃないですか」は、自分への問いかけとしてのみ有効だと思いますけどね。
技能実習生が来なければ人手不足で仕事にならない?「じゃあそんな会社はつぶれればいいじゃないですか」と同じで、それを当事者に言うほど立派な人間では決してない、という自負(=日本語おかしい)がある身としては、ちょっとな、必ずしも同意はできない。
なお入管映像の開示が決まったそうですが、本当に開示できるのか、まだ油断はならない、と思っている私です。
※サムネイルは国連の移民ウェブサイトのキャプチャーです