アジア各国に訴求する物語フォーマット
photo: Shinya ICHINOHE by courtesy of flickr
文庫表4に次のように記されている小説を読みました。
故郷に戻り、深夜バスの運転手として働く利一。子供たちも独立し、恋人との将来を考え始めた矢先、バスに乗車してきたのは、16年前に別れた妻だった。会社を辞めた長男、結婚と仕事の間で揺れる長女。人生の岐路で、忘れていた傷と向き合う家族たち。バスの乗客の人間模様を絡めながら、家族の再出発を描いた感動長篇。
作品が直木賞候補になっていたことも作者の名前も知らず、そもそも本を読むときカバーを外すので上記あらすじもまったく目を通さないまま、読み始めて思ったのが……
韓国映画「怪しい彼女」(2014)が中国(2015)、ベトナム(2015)、日本(2016)でそれぞれローカライズされてそこそこヒットしたことを思えば、長距離バス運転手というアジア各国に必ず存在する職業を軸にしたこの作品もフォーマットとしての汎用性あるのでは。ただし、どうやら映画は原作に忠実に作ることに懸命すぎて、そういう視点がなさそうだけど(見てないのにそんなことを言っちゃう罪深い私をおゆるしください)。
むしろコスプレして地下アイドル的に人気出て、という主人公の娘に物語を絞ってしまうのがグローバル展開には必要な作業では、とかなんとか、職業意識が前面に出てきて小説としての鑑賞そっちのけになりかかりましたけど、面白かったです伊吹有喜「ミッドナイト・バス」。
※タイ版とインドネシア版を未見なことに、このツイートを拝見するまで気付いていませんでした。ツイッター別に俺がフォローしてるわけでもない人のツイート流してくんなや。といつも腹を立てていてすまんかった。