週刊外国人就労関連ニュースまとめ(20.3.1-20.3.7)
毎週COVID-19の話を枕にしているような気がしますが、実際は今日が4度目だったので人の印象はアテにならない。あるいは俺の言うことはアテにならない……うん、後者っぽいな。
■日本農業新聞の見出し「春の人手不足」がパン祭っぽいけど笑うところではなかった
入国拒否とか簡単に言っちゃうひとが多いんですけど、それが自分の生活にどんな影響を及ぼすか、実際に影響が出てみないと想像もできないのはさすがに人生の経験値が低すぎるだろ、と思うんですよね。
実習生が来ない場合、農家は日本人アルバイトの募集を検討するが、金銭的な費用負担が発生。県東部の農家は「仮に実習生が来ても作業工程は遅れるだろう。慣れる時間なども必要で見えないコストもかかる」と懸念する。
これは日本農業新聞の記事にあった、農家サイドから見た困ることですが、われわれ非農家の人間が痛みを感じるのってスーパーで売ってる野菜が信じられないぐらい高いんですけど。って目撃してからですからね、いかにも遅い。いや、だからって今、何が出来るかというと……ああ、この下の記事が良い例だと思うので紹介するんですけど「実態をちゃんと知っておきましょうよ」ってことかなー。
■ちょっと脇道にそれるのですが
集会で明石順平弁護士は、女性がパスポートなどを取り上げられて、転職も帰国もできない状態になっていることなどを挙げ「転職も帰国もできないとなれば、その事業所で働くしかなく、労働基準法が禁じる強制労働にあたる」と批判した。
女性は集会にメッセージを寄せ「パスポートなど大事な書類を返してもらえず、どうして良いか分からず、頭が真っ白になった。日本で声を上げるのには、在留資格やお金(裁判費用)などたくさんの壁があったが、POSSEを知り、勇気を出して立ち上がった」と支援を求めた。
2019年11月の初報以降いろんなメディアが追い続けているのですが、当該女性のパスポートをフィリピン大使館が再発行してくれそうな流れがね、ずっと無視されてるんですよ。
その要素を混ぜると読者の「まあ気の毒な」「なんてひどいんでしょう」という盛り上がりに水を差す(かもしれない)から、その部分はあえて記事には書きません。ってことなのだとしたら(仮定ですよ)それはメディアの姿勢としては賛同しかねる。……ってずっと言ってる私です。
■ことほどさように、世の中の事象は単純ではない
■これは単純な話じゃね?
私個人は、この入管の行政処分は「法のもとの平等」という大前提を忘れた恣意的な運用にしか見えないので、アカンやん。というシンプルな感想しか持てないのですが、法を執行する立場からは違う意見もあるのかもしれず、まあ決めつけないままに、アカンと思うけどなあ、って思い続けております。
■特定技能まもなく1年
本業が外国人向け日本語検定事業な私、事業が始まった5年前には「留学生として来日、アルバイトで稼ぐ」あるいは「日本の学校を卒業して日本で就職する」いずれかのケースしか受験者を想定していなかったことを告白します。
いまや技能実習・特定技能いずれにおいてもそれなりの日本語能力を測定する必要が認められる世の中なので、個別対応の必要に迫られいろいろ勉強しているわけですが、こと特定技能という制度についていえば、制度成立までの経緯だの送出国の事情だの日本政府の中長期の思惑だの、千鳥ノブも最近あまり言わなくなってるけど、ひとことで言えばクセが強い。
たとえばこの読売の社説。
特定技能という資格を作ったんだからそれがもっと活用されるようにしろ。みたいな、とてもシンプルな書きぶりなのですが……あのですね。
放置していても、いずれは特定技能が掲げる数値目標に向けて、就労希望の来日者数は増えますよ。
増えるけど、たとえば業界が求める一定の技術要件をクリアしていると思って呼んだけど、現場に配属されたら「え」ってなった。みたいなことが増えるリスクもあるわけです。
その辺を見極めるのは日本語能力というよりは、専門知識だったりするので、その方面の関係各位は大変だろうなあ。という感想が常についてまわるのです。
■おまけ(上級者向け)ニュース。
高専でも専門学校でもない高等技術専門校の話ね、それが外国人技能実習生という文脈で登場するのは初めて目にしました。
2020/3/1 05:30神戸新聞NEXT
料理人目指す韓国人学生が就業体験 城崎のホテルで研修終える
https://www.kobe-np.co.jp/news/tajima/202003/0013156359.shtml
サムネイルが表示されない記事が大嫌いなのでめったに紹介しないんですけど、これはちょっと面白い試みだな、と思ったのでしょうがない。しょうがない!(あまりに不本意なので2回言った)
そもそも韓国は既に外国人労働者の受入大国として日本の先を行っているわけで、同時に進学や就職に際してたいへんな困難が若者を取り巻いていることでも日本以上なわけで、それだけに、わざわざ韓国から日本に就業目的で来た若者の話、興味深く読みました。