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週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.1.3-21.1.9)

本業が検定試験屋なので、××の試験を申し込んでいた外国籍の方から受験地を変更したい、仕事の関係で勤務先が変更になるので。という連絡を受けました。よくある、というほどではないものの、普通のリクエスト。
いいですよー。って年末に出したお返事に対するさらなるお返事が年始に来て、それがごめん同級会には行けません、いま私はシンガポールにいます。みたいな内容含め完全に普通ではないリクエストで……原文ママで紹介したいペーソスあふれる日本語だったのですが、信義に悖るので紹介できません(なお対応する弊社)。
そんな仕事はじめ週でしたが、何が言いたいのかというと、海外から日本にやって来るひとたちに顔を向けた仕事を6年続けていると、たいていのパターンに「知ってる」って答えるんですけど、まだ「!」って未知のこともたくさんあるな。と思ったのです。

■そんな私の、今週の「知ってた」

政府や自治体はコロナ感染者の国籍を一切公表していない。Bさんやダン君らの証言だけで“ベトナム人を含めた留学生の間で感染が急増している”と断言するつもりはない。しかし多くの留学生たちが、極めて感染リスクの高い生活を送っていることは紛れもない事実である

これ読んで「多くの留学生たちが、きわめて感染リスクの高い生活を送っていることは紛れもない事実である」という一節に、そこは本当にそう。って頷いたのですが、ちょっと前の記事でそのあたりを詳しく解説している内容があったので、あわせてご紹介します。

・専門学校などの私費留学生は家賃負担を抑えるため、ルームシェアで共同生活する傾向が強い
・経済的な理由のみならず、同じ国籍の先輩に日本の生活スタイルを教えてもらう空間にもなっている
・自分の言葉が通じるかどうか不安があり、受診や相談をためらっているかもしれない。そもそもコールセンターの存在自体を知らない可能性もある

■それも知ってた

国策で技能実習生を受け入れている以上...最後まで面倒見るのは国の責任だと思うので、日本人だろうが、外国人だろうが、区別することなく支援をするべきだと思います
失踪した元実習生は、そもそもどんな原因があって逃げたのか。暴力や暴言、コンテナのようなひどい環境に住まわせて家賃も給料から天引きするなど、実習生を奴隷のように扱う会社もあります。もちろん、いい会社ならすごくいい待遇をしてくれるところもある。なぜ同じ制度なのに「運」次第でこんなに差が生まれるのか、分かりません
一つの機関や団体では解決できない。自治体やNPO、地域住民が一体となって支援をするべきだ

■知ってた、って言いたくないけど知ってた

2人とも日本の在留資格はなく、周りからは日本に住み続けるためにも日本人と結婚した方がいいと勧められたが、どちらも決意を変えなかった。同じ年に長女のズエンさん(20)、3年後には長男のアインさん(17)が生まれた。家族が増え、日本は単なる出稼ぎのための国ではなくなった。
しかし06年6月、一家は日本を離れることになる。地域になじんで住民とも付き合いが深まっていたが、不法残留の状態では医療保険にも入れず、自分の名前で携帯電話も契約できない。子どもたちの成長につれて生活が難しくなった。
ズエンさんの小学校入学が迫り、メダさんは入国管理局に在留資格を得る方法がないか問い合わせた。役場の紹介で弁護士にも相談したが、外国人だけの一家の状況では在留資格を得る方法はないと入管から一蹴された。あきらめるしかなかった。
コロナ禍まで利用して、日本人とベトナム人が結託し、技能実習生を骨の髄までしゃぶり尽くす。この制度自体を根本的に見直さないと、悪循環が続くばかりだ

■この辺で「知らなかった」話も入れておきます

これね、良い話なんです。

■次「知ってた/知らなかった」ではなく「でしょ!」ってなったやつ

本連載でもずいぶん取り上げてきた、ベトナム人が果物盗んだ家畜を盗んだ。北関東で。ってニュースの主犯とされている人物について

本当は小物なのに悪目立ちしていたせいで、日本の官憲から実態以上の巨大組織犯罪のボスであると勘違いされてしまった可能性が高い

と書かれているんですけど、心底同意。
私のその心証は、昨年来報道されてきた内容をずーっと読んでいるところからの類推でしかないのですが、上記の文春記事は相応の時間とカネを費やしたうえでの見解ですからね、我が意を得たり。って顔になるわけですけれど、いずれにしても一種の定見が形成されるまでは、この件はしつこくウォッチしていきます。

■ところで在ベトナム日本大使館のホームページに「特定技能」という文字が9ヵ月ぶりに掲載されたのですが、リンク先は本邦の出入国在留管理庁、すなわち入管庁のこのページで

いつまでたっても技能実習制度からの移行が進まなかったベトナムにおいて、送り出し側が特定技能制度にクラ替えする気がある、という予兆と考えていいのでしょうか。……まあこの段階では何とも言えないか。

■技能実習生関連で、こんなローカルニュースがありました。

原付の運転に免許が要る・要らないは中国でも地域によって異なるみたいで(日本における電動自転車の運転に免許が要らないのと同じ感覚ですね)見出しの発言自体、真偽は分かりません。
私の関心は、このニュースで罰則を科せられるのが技能実習生だけなのはよくないのでは。という点にあって、なぜなら監理団体が負っているのは、彼らに「知らなかった」と言わせないための教育義務だから。
うちはちゃんと教育したし、その証拠がこれですわ。って言える何かを提示できるのが理想で、そうでなければ一緒に罰せられるべきだと思うわけ。だってそういう制度だもの、技能実習制度って。

以下は別の話ですけど、私が言ってる意味は分かっていただけると思います。

実習生の保護義務がある監理団体は、亡くなる2日前に本人や同僚から助けを求められた。だが、担当の通訳は他の仕事のため、病院に連れて行くよう会社に「お願い」した。団体側は「通訳1人で実習生百数十人を担当している。会社にはお願いしても、命令はできない」と言う。

■紙幅が尽きた。という紙メディア時代の言い訳は便利だった……いま俺が言いたいのは、今週はこのぐらいで勘弁しといたらあ(=疲れてきた)、だ。

――日本での10年間を経て、この社会はどう映りますか?
「日本の社会が信じている価値は、民主主義や人権や公正ではなく、平穏なのではないかと思います。僕に文句を言いに来た男性もそうですが、静かで平穏であることが何よりも大事にされている」
「日本人だけがいると思える場所での、ほっとする感覚。自分は『普通』という枠に入っていると感じるときの安心感……。それは僕にも少し分かります。でも今の現実を見たとき、それを求め続けることは正しいでしょうか」
「立場や意見の異なる人々と、会話をすることが必要なのだと思います。説得をするのでも味方につけるのでもない。個人として互いの価値観を話し合うことです」
 ――モーメントさんは留学生ですが、自身を「移民ラッパー」と称しています。その心は?
「移民であるとは、『この国の一部です』と宣言することです」
「日本社会の差別を批判する人から『こんな日本ですみません』と謝られることがあります。そうじゃないだろ、と反発を感じます。僕は10年も日本に住んでいる。日本がこうなっているのは僕の責任でもあるはずなのです」
授業中、「日本の○○について、どう思いますか?」って聞いても「知りませ~ん!」とか「興味ないで~す!」という感じの返事がきます。
こういう学習者の様子を見てきて自分なりに思ったことは、「お金を稼ぐ」ということが第一(のよう)で、それに直結する日本語になら興味は持つけど、「日本人とのコミュニケーション」「日本の生活・文化・習慣」というのには興味を持たない

最後にあげたこのトピック、非常に興味深いものなので(たとえばベトナム出身者でコミュニティを形成してしまうと日本語を学ぶ必要が薄れていく→教育コストを惜しむ監理団体、雇用企業→分断!)もうちょっと考え続けたいです。

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