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週刊外国人就労関連ニュースまとめ(20.9.20-20.9.26)

家畜窃盗容疑で外国籍男性ふたりを送検(岐阜県美濃加茂市)って記事を読んでいたら、ゼノフォーブを忌むあまり「外国人を見たら職質してるんだろ」ってコメントを見かけて苦笑しました。私自身、似たようなことを言い出しかねないものの、既に10人に1人が外国人の町でそれは無いやろ。という感想。あとね、この人物には話を聞かねばって警察官の勘エピソードは警察小説に書いてあるので、とりあえず今野敏はもっと読まれていいんだな、と思いました。

■アメリカの放送局NBCが伝えたスクープ「感染対策も不十分なまま、収容されている移民たち自身が隔離施設の清掃を強制されている」

「強制している」事実はなく、被収容移民は自主的に清掃しているものだが詳細は公表を差し控える。ってコメントが出ていて、なんですかこの海を越える既視感。

■ちなみに日本の入管施設の清掃業務は入札公告を経て、たとえば某施設の清掃業務は某企業が年間172万8000円で落札していたりするので類似性のご指摘は当たりません

なお、NBCの記事中に「掃除を拒んだ移民は職員から暴言を吐かれるなどして」って書かれていて、なんか変な声が出ました。
そうだ、入管といえば今週は入管難民法改正案の試案らしきもの、あるいは観測気球的なものが、ちらほらと報道されていたな。

今のところ、2020年6月の第7次出入国管理政策懇談会収容・送還に関する専門部会による「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」を受けた改正案になってるんだろうね? と個人的に気にしている点への回答は得られていませんが、注目しています。

■入管がヒドい、技能実習制度が悪い、と短絡的なことを言うのは楽だけど、問われるのは日本という国そのものなので、他人事みたいな顔をしていられないと思うんですよね

Q: 日本への好感度が下がったケースもあるんでしょうか。
A: 総じて日本への印象は良いと思いますが、技能実習生で日本へ行ってひどい目にあった人たちの話も知られています。フェイスブックで「こんな目に遭った」という投稿があったり、日本人に殴られているベトナム人の動画がネット上に出たり。日本に関心のあるベトナム人は、当然そういう動画を見ますよね。

■冒頭でわざわざUSの話を取り上げたように、たとえば中国漁船におけるインドネシア人労働者の扱いがヒドい、って話もあるなか、私は何を言いたいのか。

視野をひろげる努力を怠ると、あッという間に手近な既成のことばに飛びついちゃうのが私たちの本性な気がして、油断大敵。という自戒です。

■見るからに油断してそうな文字列が目に入ってきたので、読んだら意外と示唆に富んだ記事で、これはタイトルがよくない(責任転嫁)

■あと、日本関係ない。と思うひとが多そうなタイトルと本文を見かけたんですけど、それこそ油断の最たるものだな、と思った。

日本語学校のお客さまとして一時期大量に(特に九州沖縄へ)来日していたネパール人の間でも起きた/起きている問題ですね。
いざ、そういう場に立ち会ったら、どうします?

■さて。外国人と労働、というトピックでニュースを見続けていたら絶対に(いいか、絶対に、だ)この顔を知らずには過ごせない、という弁護士のロングインタビューが今週公開されていました。

個人的には後編にあった一節に共感。ちょっと長いですが引用します。

厚生労働省の記者クラブで、指宿弁護士の姿を見ない月はない。
「メディアとのコミュニケーションは、弁護士の大事な仕事の一つじゃないですかね。記者は背景にある社会の無理解や差別意識も含めてこちらに伝えてくれます。僕たちは法廷で闘っていると、きれいな世界だけで仕事ができてしまう。でも、それでは社会に問題を広く知ってもらうことはできません。たとえば今、強制送還を拒否した外国人に刑罰を科す、難民申請した人も強制送還できるといった内容の入管法の改悪法案が検討されています。去年からその動きが出てきたので、月に1回、記者向けに勉強会を開いています。頑張ってコミュニケーションを取って、問題を知ってもらってきたので、新聞の論調も変わってきたと思います。
技能実習制度の改善のあり方の話は、取材の度に喋っているし、あちこちで書いているし、1000回くらい繰り返しています。最近は政府の幹部や企業のCSR担当者でも私と同じようなことを言っている人もいる。1000回くらい喋ってきたことは無駄にならなかったなぁという気がしています。制度改善の役に立つなら、2000回でも3000回でもしゃべるつもりですよ」

■オマエは指宿弁護士全面同意派か。って速断されそうですけど、いや、その見方はあまりに依頼者サイド一方に偏ってるよ、さすが弁護士のセンセイですなー。みたいなことを思う機会もけっこうあって、つまり媒体であれ人物であれ、見解が一致するかどうかなんてケースバイケースです。
って何であたりまえの枕を置いたかというと、記事の主張トータルには違和感ないけど、なかの一文に「?」ってなって、しかもその度合いがけっこう大きかった報道があったから。

「技術・人文知識・国際」在留資格が悪用されている、という主旨の記事で、ヤキソバが有名な中華料理店で働く外国人の在留資格が技人国なのに、実際には接客でした、はい入管難民法違反。ってニュースは記憶に新しいところ。
この状況を生んでいるのは接客の人手が足りないという事実で、その根本が改善されるまでの方便として技人国で人を入れてきた環境がずーっと黙認されてきたわけですけれど、それを本気で改善しようと思っているなら何の文句もない、でもヤキソバのお店も「別事件で逮捕された容疑者の供述から不法就労が発覚」って見つけちまったものはしょうがねえ話な気がしてならないんですよ。
現実に中華料理店で接客の募集を出しても日本人は応募しない・働きたい外国人材が居てもビザの関係で就労できない、って状況を変える気は、いまのところ誰にもないんじゃ?

政府が呼び寄せに力を入れている「高度人材」の在留資格の一つ、「技術・人文知識・国際業務」(技・人・国)を悪用した不法就労も横行している。
主に国内外の大卒者が通訳やエンジニアとして働くための資格で、約26万人いる。実際は、工場で組み立て作業をしたり、外国語が必要ない店で販売員として働いていたりするケースが少なくない。外国人労働者の受け入れに詳しい行政書士や弁護士は「『なんちゃって技・人・国』だ」として、国に徹底調査を求めている。

って言われましてもね、そんな行政書士や弁護士、ほんとうに居ます? って感想なんですよ。はー長々と書いたわりに、たいした主張じゃなかった、我ながら。
いつもの注釈を付けておくと、違法不法な状況を容認する気はありません。ただし、既成の条件が現実に合わないのなら、たとえば法律を変えていくアプローチもありますよ? が私個人のスタンスです。

■NHK札幌放送局の連載、今週は9回目と10回目が更新されています

このシリーズ、ここまでなのかな。
先週「完結してくれないと感想が言えない」って書いたんですけど、いざ完結すると寂しいって言い出す厄介ファンみたいになってます私。

■毎週〆はできるだけ希望を感じられる記事にしているので、今週はこれ。


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