週刊外国人就労関連ニュースまとめ(20.5.17-20.5.23)
今週はいつもと比べて盛り上がったニュースが多かったですねえ。
■筆頭が19(火)のこれ
驚くほどのスピードで注目を集めていく様子に、解せぬ。と私が思ったのは、ほかでもない本noteで似たような話をほとんど毎週紹介しているから。自分でも把握していなかったので、さかのぼって表にしてみた。
冗談でなく、連載コーナーを持ってる大人気の先生かよ。と言いたくなるほど「入管ひどい」が主題の記事は珍しくなく、かつ、そのどれもが「ひどさの度合い」でいえばどっこいどっこい。
なのになぜ引用した記事だけがHOTなトピックたり得るの? 裸? 裸の話だから? はーん? と、思わず鼻が鳴った次第です。
■同日、目についていたほかのニュースはといえば
待て待て、多い。多すぎて一本ずつ紹介できん。
実習生を「労働力」として見ている。ならばちゃんと労働者として受け入れなければならないのに、そうはしない。技能実習制度の最大の問題は、「開発途上国への技術移転」という名目に「偽り」があることです
たとえばこれは一番上の朝日新聞記事からの引用ですが、あのですね、こういうnoteを更新している私のような人間には、本当にいまさら感がある記述なんです。お分かりいただける気もしますが。3本目の記事はYahoo!個人発のもので、同様に
仕事は午前7時半に始まり、終わるのは夜10時。それからトイレ掃除をし、部屋に戻る...給与から家賃などが引かれた後、彼女たち技能実習生が受け取るのは月に8~9万円
てなエピソードがこれでもか、というほど具体的に紹介されます。
そして、実に申し訳ないことに、私の目や耳には新鮮には響きません。あまりにも似たような話を読みすぎたせいで。
彼女のしたことは肯定できないが、彼女は同時に犠牲者でもあると思う。追い詰めてしまった関係機関や技能実習制度の問題を強く感じる
これは「妊娠した外国人技能実習生は、帰国させられる」という都市伝説……だったらどんなにいいかと思うけど、事実を伝える、最後に挙げた弁護士ドットコムの一節。
世の中のニュースをピックアップしているだけの私が「またそういう話か」ってうんざりするぐらいなので、現場の人々のご苦労には本当に頭が下がります。
■そういう意味では
外国籍の人からの相談を各国語で受ける同社の「コンシェルジュ」サービスを、顧客企業以外の一般の人にも解放したところ...多くの質問が寄せられているという
これは良い話だな。って文字通り心が洗われる気がしたんですよね。
ところが、この10万円は特別定額給付金ですが、それと別に出てきた緊急給付金・20万円の件で世の中が紛糾するというお粗末。
■順に見ていきましょう。
これは下記の文部科学大臣記者会見に基づいた報道。
学生の「学びの継続」のための緊急給付金を創設することとしました。給付金の総額は約530億円になりますが、約43万人の学生等を対象に、特に厳しい状況にある住民税非課税世帯の学生等には20万円、それ以外の学生には10万円を支給したいと思います。給付の対象は、大学院生や留学生も含む国公立私立大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の学生等で、加えて日本語教育機関も対象としております
珍しく大盤振る舞いだな、と思ったのは留学生とか日本語学校とか、対象外にされがちなところへの目配りが利いた内容だったから。ところが。
萩生田光一文科相は19日の記者会見で、大学や大学院の学生ら約43万人への現金給付を閣議決定したと公表。留学生も対象になると説明したが、要件を厳しく設定したことは言及せず、大学などへの連絡の中で示した
お?
そらまあ非難囂々にもなりますわね。
とはいえ、私には文科省の説明は一貫しているように思え、みんなが目の敵にしている成績要件云々も、官公庁が段取りとして踏まざるを得ない「いつものやつ」にしか見えず、総じて外野がヒートアップするほどひどいか? いや大前提としてのひどさは別よ。と感じたのでした。
労働力としてアテにしてきたくせに、こんなときはガイコクジン扱いするなんて。って悲憤慷慨する声もたくさん見かけまして、いや俺だってひどいとは思う、思うけど、文句を言って自分がスッキリすればいいってものじゃないからね。
彼らに浴びせることばだって、世論に押されて方針を変えます、ってロジックになるようなツボを押さないと駄目なんですよ。
■その意味でも「あーもー」ってなったニュース
■ふと気づいたらメディアに文句ばっかり言ってるおじさん。になりつつある自分を発見して、具合が悪い。
毎日新聞は何をいまさら驚いてみせるんだ、日経も日経よ、技能実習生の就労分野が不均衡なのは記事の前提であるべきで、だからこれまで認められなかった「技能実習生だけど異業種での就業」が可能になったんじゃないですか、そこまで踏み込むのがマスメディアでしょ? ねえ、違う?
キャベツ産地、群馬県嬬恋村も外国人技能実習生が来られなくなった農家で契約期間満了まで働いた人に最大25万円を支給。同村では技能実習生221人が来日できていなかったが、現時点で150人以上をマッチングできた
こういう話をまず専門紙が報道するのはいいけど、ちゃんと追随して取材するのよ、いい?(どうしてもマツコの口調になってしまう)
でもねえ、あらかじめ立てていたストーリー(cf. 技能実習生の来日予定がキャンセルされたから大変です)から外れる情報を処理できないなら、それはもはや職業人じゃないですよね。
■てなわけで、今週はあまりにネタが多かったせいで次週の続報をお待ちしています案件ふたつを最後にご紹介。