「やさしい日本語」と「こぐまてんちょうのにほんご」
「やさしい日本語ツーリズム研究会」には、発起人の手になる以下のような文章があります。
私は電通勤務のサラリーマンですが、2009年から外国人への日本語教育を趣味としてきました。(中略)私は、観光関係者に日本語学習者のことを知ってもらい、彼らのために、日本語をお腹いっぱい話せる観光、市民と気軽に触れ合える観光を実現したいと考えました。このことを故郷である福岡県柳川市に提案したところすぐに賛同していただき、平成28年度の内閣府加速化交付金事業となりました。
これを「普通の日本語」だとしたら、日本語を母語としないひとたちにも通じる「やさしい日本語」とは、どういうものか(原文にはルビあり)。
私は、電通という会社で働いています。広告をつくる会社です。(中略)私は、日本語を勉強している人たちが日本を旅行したら、たくさん日本語を話せるようにしたいです。それを福岡県柳川の市長さんにお願いしました。すると、市長さんはすぐに「いいね!」と言ってくれました。
2019年10月、台風19号に襲われた日本でちょっと話題になった「やさしいにほんご」は、おそらく「ひらがなの多用」と「分かち書き」で人目を引いたわけですが(下記togetter参照)、要するにお作法は未だ確立されておらず、とはいえおおまかに目指している方向性については、なんとなくあなたが分かったと思う、そう、それ。それでそんなに間違ってないやつです。
(以下は1年ぐらい前に社内向けに書いたテキストの再掲です)
自社の業務用マニュアルが、いかにも制作者都合の書きぶりなことにずっと不満を抱いてきた私ですが、幸か不幸か、これまでベトナムにおける事業パートナーがそうした“日本式ビジネス”に慣れており、いわば先方の忖度の上に乗っかることで、海外事業は進んできました。
近日実施予定の、インドネシア、スリランカでは、しかしこれまでのようにはいきません。先方の日本語力を考えれば、既成の・国内向けのマニュアルを渡しても通じなさそうである、という認識で部内が統一され、改訂機運が高まっています。
ええ、たしかにここは「いいね!」ボタンを押してもらっていいところではあるのですが(=比喩)、まだ意識改善という意味では足りない、と思ってしまうことはあります。
たとえば私以外のひとがメールを先方に(日本語で)書くじゃないですか。その日本語がどうしても「普通の日本語」なんですよ。
そうじゃないのよ、こうやって書くのよ。って例を見せたら「あまりに簡単に書きすぎて、馬鹿にしていると思われませんか?」と聞かれました。
日本語表現の易しさを追求すると、たしかにカメントツ「こぐまのケーキ屋さん」店長風味は出てくる。という話になり、その勢いで買ったLINEスタンプに感動したりしながら(てんちょうの汎用性の高さよ)やっぱり、これさー。と思ったんですよね。
ことさら「やさしい日本語」って名前をつけて交付金を引っ張ってくるあたりが実に電通っぽいけど(=言わずもがなのコメント)要するに「相手の立場になれるか」ってだけだよねえ。
本音のところで相手を馬鹿にしていなければ、心配する必要はない。
とにかく、くまはむずかしいことばはわかりません。(くまだから)
言い方がだめ。もっと、くまにもわかるように言って!(=サマーウォズ佳主馬きゅん、突然の降臨&店長と合体)