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ケイト・ビショップに学ぶ転校生症候群/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.12.19-21.12.25)

『ホークアイ』(2021)良かったですよね。何が良いってヒロイン、ケイト・ビショップを演じるヘイリー・スタインフェルドの福々しいほっぺたですよ。
14歳でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた『トゥルー・グリット』(2010)のころに比べりゃシュツとしてきてはいるものの、やはり彼女のトレードマークは動物の赤ちゃん全般に通じる抗えなさ。その象徴がぷくぷくほっぺで……というような、ハナから好意を持って見ている私のような人間ではない場合、彼女が体現するのは実は「あんたちょっと距離感おかしくない?」ってウザみ。です。
その証拠に、と言っていいと思うんですが、『ホークアイ』初回放送終了時にはけっこうな数の「ケイト・ビショップがうるさくて無理」的なコメントが集まっていました。
わかる。彼女のスタンス、本質はおじさんLINE攻撃みたいなものだから。

そうした拒絶反応も、回を追うごとに薄れていってシーズン1最終回となる第6話では視聴者が彼女を受け入れることになるのですが、その一連の流れが「せっかく仲良くやってたところに来た転校生がかき乱す」構図を思い出させたんです。ええ、「和気あいあいと暮らしていたのに外国人が押し寄せて」話でもある。

武蔵野市の条例案否決しかり。

入管法改正についての「改正する」「改悪だ」論しかり。

外国人が増えても平和な街があるよ、って記事にすら「なんで固まって我を押し通そうとするのか」ってコメントが付くことしかり。

あんたたち、それ転入生を迎えたときに最後まで文句言ってる奴と同じじゃん。最後の最後には結局あんたも押し流される、って人類のすべての物語が伝えているんだからいいかげんなところで気付いた方がいいと思うんですがね。

■という流れで先週の報道をあらためて見返したい

これ。

国際業務というホワイトカラーの額面で入国したひとたちを単純作業のブルーカラーで雇用していた、という「不法就労」なのですが。
何度か同種の報道の際に書いてきていることを繰り返すと、日本の在留資格が単純労働を認める区分を持たなかった2019年3月までは、むしろこの「違法状態」を官民こぞって黙認していたわけです。
特定技能という制度を作った以上はこれまでの運用も正すべき、というタテマエには無論私ですら賛同しますけど。

中村屋は1901(明治34)年創業 … 社長は任意の調べに「考えが甘かった。代表取締役として反省し、業務体制や組織対応を見直し、現場への運営の助言や社員教育を強化したい」と話したという。

スケープゴートが必要なことも理解するけど、摘発して終わりじゃなくて、制度運用の周知をあらためておこないたい、ぐらい法機関も言ってもバチはあたるまい。と思うし、なにより報道機関のスタンスがゼノフォビア助長につながりかねないことに、もっと自覚的にならないとダメだと、強く思います。

■以下の件も、どこに重点を置いて伝えるかで受ける印象が異なるのはいうまでもない

その意味でメーテレの見出し、なかなか良い。

■今週のその他記事。いつもの感じ

■ちょっとだけ毛色が違う記事もありましたので紹介

・特別日本に興味があったわけではなかった
・奨学金ありきで来日
・母国からパートナーを呼び寄せて家族で住んでいる
・永住権申請中

どうですか、一般的な報道がつくりあげる「日本で働くベトナム人」像に毒されていませんか。

■もうひとつ、日本と関係ないと思うかもしれない記事

移民・難民問題への対応は大きく二つあって、一つは移民になってしまった人たちをどうするのか、緊急対応、いわば「止血対応」の重要性です。いまこの瞬間も流れている血をどうするのか、ということ。二つ目は長期的な取り組みとして、難民・移民にならなくても生きている社会をどうやって作っていくのか、ということだと思います。

一つ目の方は、人命を優先するという人道的な観点から対応が求められます。二つ目の移民にならなくていい環境をつくるのは一朝一夕にはいきません。貧困や内戦、テロ、仕事がない、ありとあらゆる問題が絡んできます。

これは腰を据えてやっていくしかないとは思いますが、実はすでに答えは出ていて、SDGsに全部つながっているんです。環境も雇用も貧困の問題も全部そう。そういう環境を世界的に作っていくことで、移民にならなくてもいい社会が作られていくんだと思います。それが進むことで、移民がやってきて対応しなくてはならないという受け入れ国の負担も軽減されていくのだと思います。

ベラルーシとポーランドの国境で立ち往生する難民の話ながら、いや本当にそれ、日本に関係ない話じゃないよな、と。

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