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貧すれば鈍する/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.2.5-23.2.11)
平和を望む心に嘘は無いのに事件が起きないとなんとなくガッカリしている自分に気が付いてこれは40年近く前に読んだチビ猫と同じだな俺。って今週でしたが、珍しい媒体の珍しい連載が目に入ってきていたのでまずそちらから紹介。
外国の人が日本にいるためには、たとえば大学がスポンサーになって出す留学のビザとか、配偶者がスポンサーになる配偶者のビザとか、何かしらの足がかりがいります。でも難民はどれもないので、政府の「難民認定」という特別な制度を使ったビザになります。
でも、認定されるのは平均4年4ヶ月待ったあげく、1%だけです。
必要な人みんなに届かないなら、取れるビザを増やせばいいんだということに気がついたのが2017年です。
全部で29種類あるビザをひとつひとつ検証して、残ったのが「技術・人文知識・国際業務」という長い名前のビザ。企業が技術職として雇用した際に出るものです。これなら民間企業にスポンサーになってもらえれば、就労のビザを取る道が拓けるのではと考えました。
難民支援活動を展開しているWELgeeというNPO法人については過去当欄でもとりあげたことがありますが、とにかく地道な積み重ねを継続しているところに、敬意しかありません。
■技術・人文知識・国際業務、略して「技人国」ビザについてのありがち報道といえば、こんな感じ
技人国は、その名の通り、理系の技術職から文系の事務職まで幅広い職種をカバーしており、学生時代に得た知識や技術を生かすことが求められる。在留期間は最長5年だが、延長が可能だ。勤め先を変更することもでき、家族の帯同も認められる。この技人国ビザで日本に住む外国人は、多くの人が思い浮かべる「移民」のイメージに近い。
(略)
コロナ禍にもかかわらず、この資格で在留する外国人は5年前に比べて7割も増えた。出入国在留管理庁によると、2022年6月末の段階でコロナ禍によって減った技能実習生とほぼ肩を並べ、約30万人にも上っている。
(略)
かつて日系人が支えた製造現場などで働くケースも多い。「高度人材」とは名ばかりで、在留資格に合っていない、単純作業などを担う「偽装技人国」も少なくないといわれる。資格外の仕事をすると、ビザ取り消しの恐れもあるため、弱い立場に置かれてしまう。
■「資格外の仕事」が指す違反の大半は「技人国で雇っていたのに接客」のような下方修正事例だったので、今週の下記ニュースは珍しいほう。
通訳などの在留資格で入国したのに、昨年7月ごろから11月ごろまでの間、同市内に複数のレストランを持つ法人の役員として運営管理に当たった疑い。容疑を否認している。
特定技能でクラブのDJやっただろ、という件もそうでしたけど、摘発が目的化してませんかね。法は守るべし犯すべからず。という大原則を盾にとって他人の隙を衝くとか、世の中を良くする動きとは思えないわけですが。
■今週のその他ニュース
■文春オンラインが新刊書籍プロモーションという名目で扇情的な見出しの記事を掲載するの、カシコいPV稼ぎ手法と自認しているのかどうかは知りませんが、記事本文は使い回しなうえ、自家中毒で過激化する道しかないことといい、メディアの向かう先としてはわりとダメなやつだと思うんですよ。
というわけで、アンチテーゼとしてブックリストを作ったのでよかったら見てって。
サムネイル:大島弓子「綿の国星19 バラ科」(1984)