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遠い夜明け/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.12.26-22.1.1)
年末年始、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
外国人の就労に関連するニュースをそこまで深い意志もなく収集はじめて今回で122号になりますが、根っからのコンピレーション大好き人間なので、「ニュースを集める」作業においてもたとえば朝日新聞ばかり、産経新聞ばかり、というような偏りが生じることは生理的にイヤなんですよ。したがって個人の主義主張に偏りがあることを自覚したうえで、可能なかぎり立体的に物事を眺められるよう、前週のニュースを日曜朝にお届け。
というコンセプトで本連載、続けていますが、今号、困りました。
何が、って現状支持系メディアが記事をほとんど出さなかったせいで、ものすごく記事出典が偏ってしまう。
たとえば入管がしぶしぶ公開に至った映像の件。
このなかではかろうじてNHKが
参議院法務委員会の理事を務める自民党の清水真人氏は「出入国在留管理庁の最終報告との違いがあるかを注意して見たが、細かい差異はあるものの、大きなそごはなかったという認識で、入管施設の職員が丁寧に対応していたのが印象に残った。今後、この問題の委員会での取り扱いについては与野党で協議していくことになる」と述べました。
との与党見解を伝えて、逆に「入管施設の職員が丁寧に対応していたのが印象に残った」なんて感想の異様が際立つ始末。
たまたまデンゼル・ワシントンの昔の出演作を見る。という企画を続けており、『遠い夜明け』(1987)という作品を久しぶりに見たときにまで、当該コメントを思い出してしまいました。
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今に至るデンゼル・ワシントン信仰の出発点となった個人的記念碑で、それだけに久々に見るのはおそるおそる。だって若いころの感性と異なる見地からじゃ、まるで感心できないとか有り得るじゃないですか。ねえ? 突然ですがそこでクイズです。
本作で描かれるスティーブ・ビコの獄中死は南アフリカ、1977年の出来事ですが、「1933年、特高警察に殺された小林多喜二の最期」すなわち日本でも過去にあった話と重ねて見たのが約30年前の私として、2021年の暮れも押し詰まった本日、その私が連想したのは何だったでしょうか。
「ただちに専門医の診断を」
「芝居では?」
「足の裏の伸筋反応は脳障害の可能性を示してます」
「だが芝居では?」
これ、瀕死のビコの容態を見た医師と収容刑務官の劇中対話ですが、1933年はおろか、2020年に名古屋で起きた話とどのぐらい違いがあるのか。
エンドクレジット直前でも示されますが、南ア法的機関の公式発表では、ビコの死因はハンガーストライキによる餓死、なんです。そして同様の死を遂げたのが彼だけのはずはなく、あくまでもワン・オブ・ゼムでしかない。
2020年3月名古屋入管における「病死」が既知となった人物の、亡くなる直前の様子が映ったビデオ映像を見た一部国会議員「報告書の通りで問題を感じなかった」発言との、事象の類似性について、考えたい。
いや、考えたくもないけど考えざるをえない。
■てな感じで自分の憤りを書いていけばキリがないのですが
この、ちょっと前に報道された件。個人的にはFNNの
「賛成反対の立場」というマッチメイクにも納得いかないぐらいですが、だからって
朝日系「論座」の記事ばっかり紹介してもね、しょうがないじゃないですか。毎日新聞も、たぶんそれなりの記事を出している筈ですが、なにしろすぐ有料会員限定化しちゃうせいで、無料でいつまでも読める産経新聞記事と比べ、プレゼンスが低いわけよ。
何度も言っていることですが、無料会員でも月〇本までなら閲覧可能、というような昨今主流のサブスクリプション・ビジネスの基本を整えることをしないのなら、せめて「新聞社だってビジネスだから有料記事にカネを払ってくれ」以外の言い分を編み出してくれ。
■無料で読める、ほかの媒体の記事も今週皆無というわけではありません
最後のAbema記事、KSB瀬戸内海放送ってテレビ局コンテンツの公認書き起こしで、記事内容はともかくコンテンツ拡散の手法として、テレビ局の試みとしてはそこそこ珍しい部類かと思います。
■個人ジャーナリストとしての2021年の奮闘が印象的だったひとの最新記事も良かったですね
■年末、最も「え?」って私の顔が曇った記事はこちら
今回、私が開示請求をしたのは、ウィシュマさんに対してどんな開示請求が過去にされたかという『過去の開示請求』に対してでした。
これによって、入管庁がどんな基準で判断を行った上で不開示決定を出してきたのかがわかるというものであり、ウィシュマさんの個人情報を暴くものではありませんし、開示請求を行った個人の方の連絡先や氏名のみを黒塗りすれば良いだけで、誰も困ることのない開示請求のはずです。
しかし、さほど難しい内容ではない、ごく当たり前の開示請求に対し、入管庁は全部不開示の決定を出してきたんです
記事中にもありますが、この体制側のふるまい、情報公開制度への反乱とみなされるべきでは。って感想なんですよね。
もちろん私と異なる見解のひとがたくさんいて、それが当たり前のことなのが前提。2022年も、たぶんこんな感じで毎週書き続けます。本年もよろしくお願いいたします。