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淡々と続けることの難しさ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.4.30-23.5.6)

入管法改正案が衆院法務委を通過した翌週でもあり、案の定そこまで大きなニュースのなかった1週間でした。

むろん言いたいことはヤマほどあるわけですが。

■続報待ちのニュース2本

ちなみに「ベトナム国籍の技能実習の女(42)」とローカル紙が報道した痕跡がなくなってるのは下記のニュース。

どうされました?

■今週いちばん感心した記事

タイトルからは、きわめて局地的な話に思えますが、

全日本トラック協会の事業計画書を見てみると、過去から一貫して、現在の制度にトラックドライバーを組み込むことを求めていることがわかる。しかし、2023年になっても技能実習での外国人労働者確保に言及しているあたりに、感性の鈍さを感じる。単に、人手不足を解消するために、なりふり構わず外国人労働者の導入を図っているだけなのだから、開いた口が塞がらない。
トラック業界だが、2024年問題の原因を解消できていない。
・荷主都合による待機で労働が長時間になっている
・ドライバーが無償で荷物の仕分けなどを強いられる慣習が常態化している
ことは放置されたままだ。
こんな状態で、外国人労働者を導入しても「新たな労働問題」が発生するだけなのは火を見るよりも明らかだ。なにより、これらの問題を解決できない各社が、外国人労働者を受け入れるための体制を整えることができるはずがない。
ここからわかるのは、トラック業界の「外国人労働者は日本で働きたがっている」という、極めて旧態依然とした意識だ。彼らは日本で働きたいわけではない、高賃金な国で働きたいだけなのだ。アジア諸国が経済力を持つなか、もはや日本はその選択肢から外れつつある。

とても真っ当な指摘でした。タイトルの付け方は……誰のセンスか分かりませんが、さすがに古いとは思いましたが。(ミラン・クンデラの小説が人口に膾炙したのってもう35年前ですぜ)

■その他ニュース

最後の日経の記事は1年前に話題になった「全国初の特定技能2号取得者」を追ったものでもありましたが

同社では特定技能や技能実習の外国人が従業員の半数近くを占める。22年採用の日本人社員2人はいずれも1カ月以内に退職した。今も求人を出しているものの、応募はない。外国人の存在なしには事業が成り立たない状況で…「技術を身につけ現場を仕切れる外国人に残ってもらうしかない」

ですって。

■最後に先週チェック忘れていた法相閣議後記者会見のおもしろパートを記録しておかねばなりませぬ。

【記者】
 入管法の改正案の立法事実についてお伺いします。まず、入管の資料によると令和3年の衆議院法務委員会での参考質疑で、難民参与員の柳瀬房子さんが、本当の難民はいないんだと、その濫用が非常に多いというようなことで、入管の送還停止効の例外が必要だというような形で、この間、議論が進んでいるかと思うのですけども、実は柳瀬さんの参与員チームは濫用処理班だったということで、それは、本当の難民はいないでしょうと。難民参与員が多くいる中で、わざわざ濫用処理班である柳瀬さんが、こういった参考人質疑で、本当の難民はいないんだというようなことを言っているというのは、かなり恣意的なのではないかと。ですから、これが意味することは、送還停止効の議論が根底から崩れることになるかと思うのですけども、大臣の御見解を伺いたいと思います。要するに、本当の難民はいないんでしょうか。

【大臣】
報道もあった件についての御質問だと思いますけれど、まず、御指摘の参与員の名誉の観点から、この御質問には大きな前提の誤認があることを強く申し上げたいと思います。御指摘の参与員が難民該当性が低い案件のみしか審査していないということはありません。そして参与員の御発言は、審査した、いわゆる通常の案件の結果について述べられたものであります。前提を述べますと、平成28年以降、誤用・濫用目的と疑われる申請の急増が、通常の難民認定業務を圧迫したために、申請人との対面審査が不要と見込まれる事件等を迅速な審理が可能かつ相当な事件としてまとめて配分する取組を開始しました。これらの案件は、例えばその経済的理由での難民認定申請等、条約上の難民に該当しないことが明らかである場合などを書面審査のみで処理することが想定されているものでありまして、通常、審査請求人との対面審査は実施されていないわけであります。御指摘の難民審査参与員の方は、令和3年の法務委員会におきまして、「平成17年から17年間で2,000件以上の案件を、3対1で対面審査し、そのうち難民と認定すべきと判断できたのは6件」と述べられているものと承知しています。したがって、言及された2,000件以上の案件は、全て二次審査で対面審査まで実施した、いわゆる慎重な審査を通った通常の案件でありました。全て、難民該当性が低いとあらかじめ選別されていたような案件であったということではありません。そして同参与員の方は、対面審査を行って慎重な審査を行った案件を前提として答弁されたもので、御答弁はむしろ、我が国の難民認定制度の現状を的確に表しているものと考えています。

令和5年4月25日、太字は引用者

これね、長いのでまとめると
・太字のところを法相は言いたい
・なんならドヤっている
・質問者は「ぐぬぬ」ってなってる
わけですが。

問われるべきは、法相のいわゆる「ご指摘の参与員」の、下記の発言なんですよ。

出入国在留管理庁の難民認定審査で不認定とされ、不服を申し立てた外国人を審査する難民審査参与員を2005年から務めている。一人ひとりに丁寧に話を聞き、何とか難民の蓋然性がある人を見つけて救いたい思いで業務に向き合ってきた。当初は入管審査がいい加減なのではと考えていたが、難民認定すべきだとの意見書が出せたのは約4千件のうち6件にとどまる。難民条約上の難民に当たる人は少ないのが実態だ。

2023年4月13日

平成17年から令和3年まで……2,000件以上のうち6件(法相解説)
令和5年までぜんぶあわせて……約4,000件のうち6件(本人コメント)
つまり令和3年から令和5年まで2,000件、そのうち難民認定すべきだと思えたのは0件って計算になるじゃないですか。
なりません?

先週も触れましたが

2年で2,000件も見れるはずないと思うけど、たしかに参与員はそう語っていて、それって何ですのん。という話なんですよ。
法相閣議後記者会見、基本的に週2開催なので、続報待ってます。

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