見出し画像

ジョコビッチのサポーターいわく/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(22.1.2-22.1.8)

サムネイル写真はオーストラリアのメディアのひとのツイートが出典なんですが、左がジョコビッチの入国不許可に抗議するひとたち。右は同じホテルに9年(!)難民申請待ちで隔離されているひとをサポートする団体。
なんつーコントラスト。と思いながらジョコビッチのファンに話を聞いたら「自分の無知をつくづく感じた。ノバクのために来たんだけど、そしたら9年も難民申請を待ってるって……ありえない」ってことばが返ってきた、と。
なお、当該ツイートには万国共通ク×リプが付いていたので、不思議なもので、ちょっと安心。ひとり本邦だけがダメというわけではない。

これが当の難民のひとに取材した記事です。
イランから来たこと、なぜ許可されないのかはまったく分からないこと、支給される食糧に虫が入っていたので抗議したり扱いのひどさを訴えたら入管に目のカタキにされているらしいこと、上階が火事で逃げようとしたら守衛に道を塞がれたこと、など……繰り返しになりますが、そうして9年目ですからね。
「ジョコビッチには感謝してはいる。おかげで自分のような人間にも注目は集まったから」
「でもみんなノバクのことを尋ねるけど、自分たちはどう、と聞くひとはほとんどいない」

あ、一応ジョコビッチ? 何やってんの? って解説はこのあたりに。

■日本の入管の非道を伝える記事、さんざん当欄でも紹介していますし、オーストラリアがことさら酷いわけではないと私の直感は伝えるので、要するに人の命を左右するレベルの権力を持たされると、人間は闇落ちするぐらいには弱い生き物。ってことでよろしいですか。

と一般論にしてしまうと、たとえば上記の記事、事情を知らず見出しだけを読むと「改正案」が先送りされるのは良くないのでは? ってなりますね。
現状マイナスの状態をゼロに持っていく提案かと思いきや、マイナスのまま角度を変えようという「改正案」で、なんならさらに悪い方向に進むリスクがある。
だから「改正・改正案」を野党は一度提出しているのですが、与党はあくまで自分たちの当初案を通したい、みたいな思惑合戦なので、たとえ理由が選挙で不利に働くかもしれないからやめとこうだとしても、時間が稼げたことは朗報といえます。
同時に、選挙で圧勝したら次こそゴリ押ししてくるのは自明、という意味でもある。

このあたりの観点を法務省がまともに受け止めて議論したことがないんですよ、そこがまずは大問題だと思っています。

法相の年頭所感、まだ公式サイトに載っていないのでとりあえず先代とは違う雰囲気出してはいる、という点にかすかな期待を寄せるしかないのですが。

■あとは見慣れた感じの記事が今週も

■ちょっと珍しいタイプの記事があったのでご紹介

先ごろ、人手不足の深刻な14業種で就労する外国人に付与される在留資格「特定技能」において、2022年度にも在留期限を事実上なくす方向であることが報道された。「熟練した技能があれば在留資格を何度でも更新可能で、家族の帯同も認める」ことが検討されているという。記事を読み、この政策によって人手不足は補えるだろうが、中小企業の成長や生産性の向上にはつながらないのではと感じた。しかし、熟練労働者が育つのに、なぜ企業の生産性は高まらないと感じたのか、このパラドックスをすぐに説明できなかった。同時に、技能実習と特定技能による就労で蓄積した「熟練した技能」を持つ外国人を、専門的・技術的外国人(高技能外国人)と同等にみなすことにも違和感が残った。
このふに落ちない感覚をたどると、自身が「熟練」を消化できていないことにありそうな気がした。そこで、近年の中小企業の「熟練」について、少し考えることにした。

※引用中の注記リンクは引用者によって割愛

技能実習の制度設計上、その資格で働く外国人は「熟練」ではない一方で、特定技能は一定の練度を持つとされている。
って前提で論考が始まるので、えーと、その前提が成立する特定技能は2号であって、現在100%の割合を占める特定技能1号は技能実習と同じレベルで「熟練ではない」んですけど。
という引っ掛かりがあったんですが、読み進めていくと

彼らを雇用する企業の付加価値や生産性が高まっていない現実を見る限り、外国人技能実習生や特定技能外国人の熟練は、高技能者の条件を満たしていないと思われる。技能実習生や特定技能外国人の低い賃金は、彼らの熟練が高い技能として評価されていないことの証左である

あ、結論合ってる。って面白くなりまして。引用を省いた考察部分もロジカルなので、ご興味あればぜひ元記事を。

いいなと思ったら応援しよう!