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Forget-me-not/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.3.5-23.3.11)
昨日公開されたTBSの記事が目についたので、その話から。
このトピック、昨年11月の第一報時には何もかもが不明で
その後の公式見解も内容無いまま世間が忘れるに任されていたんですよ。しつこいことでは定評ある当欄、そこはさすがで(=じまん)
亡くなった際、本邦の入管が収容者監督義務を果たしてないと責める声で盛り上がったわけですが
・故人が出身地であまりよく言われてないのは彼の母が亡くなったときの気の毒な感じの裏返しっぽい
・来日後の状況が不明すぎる
要するに第一報だけを消費してあと知らん顔、ってネット民しぐさ、気を付けたいと思いました。
現地イタリアの新聞社サイトを自動翻訳で読んで、納得していました。
今回のTBS取材は「みんなが忘れていた件を追ってエラい」という感想と「途中で異なるパースペクティブの話を入れるのはよくない」という感想が相半ばしましたが、それ以上に、主人公たるイタリア人男性が母国に帰りたがらなかった理由に触れないせいで、またぞろ「強制帰国させておけばよかった」系のコメントを誘発している。
そこ、メディアとして真剣に考えるべきですよね。だってさあ。
■在留資格を喪失してなお日本に留まりたい、その個別の事情なんかいちいち聞いてられない。という主旨の「改正」を-議論を尽くしたうえ、ではなく数の力で-進めたがっている国に、われわれは生きているわけです。
御指摘の名古屋事案につきましては、その調査報告書におきまして、医療的対応のための体制整備や運用が不十分であった、また、被収容者の健康状態を的確に把握し、柔軟に仮放免を可能とすべきであった、職員の人権意識に問題があった、そういった問題点等が指摘されているわけです。
ちなみに入管法改正案に対する私のスタンスは、(ウィシュマさんが明らかにした通り)基本的人権を理解したうえで職務を遂行する能力を入管庁は有さない。
したがって、人間の判断が必要となる処置すべては入管庁のジョブ・ディスクリプションから外す。が起点となるべき。
特高警察の時代から続く既得権益を手放せ、という意味なので、そんな声を呑めるわけが無いと思いながら言ってますけどね。
■そうそう、イタリアの入管事情について去年ちょっと調べて「ふーん」って思っていたらしいけど何も覚えてないな。と今回ひそかに赤面したのであらためてメモ
・イタリアの入管は収容上限4か月
・裁判はほぼ逮捕した警察の言い分を受け入れるから5分で終わりがち
・入管収容所で死者が出ているのは日本と同じ
・被収容者の扱いは変えられるべき
……という上掲レポート、参考になります。
■話を戻して「イタリア人はイタリアに帰れ」派各位にちょっとお伺いしたい(博多華丸の顔で)
「死ぬのは勝手だがうちの家の前では死なないで」って言いぐさ、それ本当に胸を張って言いたいことですか。父祖からそう教わってきて、子や孫に受け継いでいきたい教えが、それですか?
■さて、入管法と同じぐらい重要な「技能実習制度の見直し」議論が進んでいるわけですが、最新状況
資料の中で興味深かったのは、制度のひずみを仲介手数料ひいては「悪い業者」に求める流れにおいて、もうちょっとちゃんと考えた方がいいです。という社会学を専門とする有識者からの指摘。
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日本の技能実習を真似て導入した韓国、その欠陥に気付いて雇用許可という制度にアップデートしているのですが、そこでも失踪者は発生している。
要するに
「制度をややこしくせず」「働き手/送り出し国にも情報開示がされる」「不当な仲介手数料を発生させないシステム」が構築されなければ、制度改革は水泡に帰しますよ、ぐらいの意見と読みまして……同感です。
■今週のその他ニュース。いつも以上にさまざま
■あとひとつ、見出しに惹かれどうしても本文読みたかったので無料トライアルに申し込んでしまった記事から。
日々の相談から岡本氏が感じたのは、実習生が適切な医療を受けられていない現状だった。医師との意思疎通がうまくいかず、服薬しても症状が改善しない医薬品が処方されていることもあったという。そのため、実習生の中で日本の医療への不信感が広がり、体調を崩してもベトナム本国から薬を送ってもらう人も (中略) 実習生たちはベトナム人同士の“お勧め”で効果不明なサプリメントで症状の改善を図ろうとする傾向もあるという。