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美しい国/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.7.31-22.8.6)

主なトピックから書き始めるのが恒例の当連載、今週はレベル感が同じニュースが4件ありまして。先週のように「技能実習制度を変えるって法務大臣が言ったよ」大ニュース1本のほうが無論言及しやすいんですけど、まあ誰に強制されて書いているわけでもないまま、間もなく満4年に突入するので、おとなしく順を追って何か書くね。

1) 特定技能の改案

2) コンビニ業界における雇用

3) 在留資格の延長が認められない件

4) 白日のもとにさらされた暴行が法で罰せられない国

■複数のメディアを並べてみる大事さ

産経の「宿泊などで技能実習生は試験免除」という見出し、さも大きな意義があるかのような書きぶりですが、宿泊業は技能実習2号対象になったのが2020年2月で、そもそも他業種とはちょっと立ち位置が違うんですよ。
日経の見出しぐらいが妥当、という感想。

■まあ一般的に「外国人」の在留資格を人は気にしないものなので。

東京新聞が「恵方巻」を見出しに持ってきたのは良くも悪くもジャーナリスティックなセンスだな、弁護士ドットコムのこの記事見出しとの差分よ。と思ったのですが、この件で本来問われるべきはそこではありません。
技能実習も特定技能も対象外のコンビニ業界で、週28時間の労働時間上限ある「留学生」ではなく「正社員」としての雇用が可能になっているスキーム、どうなってるの?-なのです。
コンビニ本社ではなくFC企業が技術・人文知識・国際業務、いわゆる「技人国」の在留資格でリクルーティングしているとしか思えず、だったらなおさら給与明細もらえないとかそんなことがあってはならないわけで。

(参考)

■姉が日本という国に殺された。という裁判係争中、当事者に在留資格を交付しない判断

3姉妹の長女が亡くなって、次女と三女が一時滞在しているわけですが、次女は一時帰国して5月に再来日しているんです。(今回ニュースになっているのは、ずっと滞在している三女。彼女の在留資格が切れてしまいそうなので一時帰国を余儀なくされるのでは、という話)
「そろそろ帰国されてはいかがですか」というメッセージのすぐ続きには「帰らないなら入管施設に収容させていただくことになりますよ?」だったり「次に来日を希望されても不許可になるかもしれませんよ?」だったり、強権を持つ者ならではの傲慢があるわけじゃないですか。
これ、ぜんぜん小さな話じゃないと思うのです。

■美しい国とは何なのか問題

暴行動画が広く知られたことにより加害者の日本人4名は既に社会的制裁を受けており、彼らを雇用していた事業社も技能実習生を当面受け入れることができず同様、さらに被害者のベトナム人は示談に応じている。
だから技能実習制度の監督権限を持つ団体の起訴は不要……という理屈だと思うのですが、見方を変えれば技能実習制度の根幹(=日本の優れた技能を学びたい、と欲して来日する外国人が母国にその技能を移転できるようになるまで研修する)を揺るがす事態が満天下に知られても、そこはまあまあ。ってうやむやにする。それが「美しい国」の定義なんですか。
へー、そうなんだー(棒読み)。

■ちなみに技能実習制度の命脈もそろそろ尽きつつあるのは既知として

そろそろ在留資格がどうあれ、そんな「美しい国」に来たいと思うひとのほうが奇特な感じになりつつはありますよ。

そんななか「狙い目は軍事政権クーデターで世界から総スカンくらってるミャンマー」って恥じらいもなく言うプレスリリース。

各国の経済発展により、国によっては日本行きを希望する方を集めることすら難しくなっています。
一方で、軍事クーデターが発生したミャンマーだけは状況が異なります。
欧米各国からの経済制裁により、ミャンマーは失業者増大、通貨暴落、物価急上昇に見舞われ、生活困窮者が急増しています。そのため家族の生活を支えるために海で働きたい若者が急増しています。
出稼ぎ先としては、先進国で唯一ミャンマー人に対して在留資格がおりやすい日本が一番人気です。

■世界各地で似たような話は起きているわけですが

この辺の表層から「外国人なんかダメ」って結論に至っちゃうひととは、到底仲良くなれそうにない。とはいえ

差別は許さない、という声を自分はあげることが出来ていますか。という問いと向き合う必要は、常にあります。

■今週のその他ニュース


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