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メジャー、マイナー/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.2.19-23.2.25)
今週のこの界隈、いろんな動きがあって、追いかけるだけでも大変なんですけどせっかくだからメジャーでないニュースにも目配りしておきたいじゃないですか。
■メジャーなほうのニュース
■メジャーじゃないほうというか極めてトリビアルな話
芸能ネタ、記事でしか知りませんが自分が口から出したことばが偏見に満ちていると認識し、その場で謝罪しているわけで。表面的なバッシングの材料としてあげつらう人物の心根のほうこそ怪しい。と私は思ったんです。
「イヤだなあ」と思った気持ちをなかったことにするのは何の解決にもならない。自分の心にそういう気分があることを認めて、問い直すプロセスがいかに大切か。そういう話として受容するほうが良いんじゃなかろうか。
■メジャーなほう(2)
与党の部会で了承され、閣議決定がおこなわれ、その後国会提出。というプロセスの一歩目を踏み出したのですが、過剰に反応することはない……って言うけど、そうかね。本当にそうかね。
■もしかすると今後メジャーなニュースになるのかもしれないけど今はまだ日本では知られることが少ないニューヨークタイムズ紙の初報
児童労働が爆発的に増えている、遵法不法問わず移民家庭の間で。というアメリカ合衆国の現状。連想したのは昨夏の下記案件。
氷山の一角だろうよ、と思っていたらまあその通りで、という展開ですが、家族のために自分が働かねば。という移民ローティーンと、とにかく人手が足りない大企業との間をつなぐブローカーが悪徳、という構図は本邦でも珍しくないわけで、対岸の記事、じゃない対岸の火事ではないと思います。その証拠に、国内でもちょっと関係ある話が↓
■メジャーなほう(3)
メジャーというより下世話ニュースだけど。
支援の名を借りたおかげで品性が露見する事象、前例あるし驚きはないという意味でのメジャー感。
なお「もう1年か」ってタイミングなのでいろんな報道がされるなか、きわめて政治的な避難民という単語を使わないメディアにお。となった後
難民とも頑として書かないのはそれはそれで支援者の意向を汲んでのことだな、とめでたく読者こと私には伝わって、あー。って声が出ました。
が、良い記事ではあるので紹介しておきたい。
■ウクライナがメジャーとして、アフガニスタンをマイナー扱いにしたのは報道と社会、双方の願望のマッチング結果ですからもうなんとも
複数の現地職員や支援者によると、宿舎となった東京の施設で、現地職員は外務省の担当者から1人ずつ繰り返し呼び出された。
「日本での暮らしは地獄になるぞ」「日本語ができないと仕事はない」。そう言われつつ、これからどうするつもりか何度も聞かれたという。
さらに、ある現地職員は「日本は文化も言葉も何もかも違う。アフガニスタンに帰った方がいい」と言われたと証言する。
(略)
カブールの空港から出国する際、タリバン側に家族を含む個人情報を渡しており、帰国すれば命の危険があると考えている。「日本に来てから、(帰国の)重圧がすごくて、人生で一番つらい時期だった」。この現地職員は、険しい表情でそう話した。
雇用契約の終了まであと1カ月となった7月末、外務省側はようやく、残っていた現地職員に難民申請をするよう書類を配った。
「もっと早く難民申請させ、日本での生活に向けて支援することもできたはず。外務省が彼らの定住を想定していなかったのは明らかだ」。現地職員を支援した難波満弁護士は話す。
難民認定は異例のスピードで認められた。だが、この対応について全国難民弁護団連絡会議は声明を発表。「外務省は集団的難民認定の直前の7月まで、職員をアフガニスタンへ帰国させ、これ以上の帰国が望めなくなると難民申請をさせる方針に変更した」と指摘。「本来であれば同じように難民認定されていたはずの人を、帰国させてしまった可能性は否定できない」と非難した。
■ええと順番どっちだ。メジャーなニュースのほうか。じゃあこれ。
日本語を教えるのに正規の資格が必要になる、という話はたとえば
こういう感じで企業が立ち上げる日本語学校の求人状況が変わってくる話でもあるんですけど、それはそうと日本語学校の特定技能コース、って苫小牧のニュース、要するに留学ビザ使ってアルバイト。ってサイドドア入国じゃん。自慢気に取材されるようなスキームかね。
■その他ニュースとしてまとめるのが惜しい話を3本
これ、良い話であることはもちろん否定しないんですが、もっと俺たちは出来る社会でありたい。と痛切に思うんです。思いませんか。
春のような陽気となった12日、県内の公営住宅で高校2年の女子生徒(16)が自宅のごみをビニール袋に詰めていた。1月30日、在留資格を持つ日系ブラジル3世の父親(53)が亡くなり、2年間過ごした自宅を今月末で退去するよう求められている。行き先は決まっていない。
女子生徒とタイ人の母親(49)、中学2年の弟(14)は在留資格がない「仮放免」の状態だ。日本で生まれ育ったのに働けず、社会保障も受けられない。姉弟は国に「在留特別許可」(在特)を求めているが、申請から1年8カ月を経ても回答はない。
(略)
女子生徒は昨年12月下旬、在特審査の一環で東京入管に呼び出された。面談で母親や将来の夢などを聞かれ、早く在留資格がほしいと伝えた。職員はメモを取って顔を上げ、表情を変えずに退室を促した。「もういいですよ」
「個人」でなく「組織」なことが分かりますね
この記事が理解できるほどのリテラシーは社会に(まだ)ないと思いつつ、毎回良い仕事だとホメる「ニッポン複雑紀行」。最新回もまた良い仕事でした。
■今週のその他ニュース
同じ要領のNHK地方局見出しを並べたのはワザとですが、最後の椎葉村の話、ちょっとどういう顔で読めばいいのか悩むところあります。本当にそれは美談なのか。