週刊外国人就労関連ニュースまとめ(20.7.26-20.8.1)
タイムラインにテレビドラマ『MIU404』(TBS系)第5話の感想が流れてきて、テーマを強引に一言でいうと「コンビニ外国人」……目に入ってしまった以上は、放映日(7月24日)から何日か経ったとはいえ、見逃し配信で内容を確認してからコメントを述べようとする私、そう、そういう真面目なところ、あるよねえ(何)。
以下は公式サイトのあらすじからの抜粋です。
日本人店員が勤務するコンビニを狙った強盗事件が同時発生する。伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)は、現場周辺の店舗でコンビニ店員に扮して張り込みを行うが、なんと、その店舗も強盗に襲われてしまう。さらに付近の店舗も次々と強盗に襲われるが、マークしていた捜査員によって一斉に確保される。犯人は外国人で、その大半が低賃金で労働する元技能実習生だった。
(中略) 伊吹は恩師であり元刑事の蒲郡(小日向文世)に会いに行く。今は外国人支援センターで働く蒲郡から外国人労働者の実態を知った伊吹は、思わぬところから事件の真相に迫ることになるのだが……
媒体としての地位が下落して久しい地上波放送とはいえ、日本社会における外国人労働者の状況が真摯な脚本家の手によってひろく-視聴率12.5%(ビデオリサーチ、関東地区)-知られる機会があった、何をおいても、そのことが良かったと思いました。
箸にも棒にも掛からない内容なら全スルーですからね。ちゃんとしてるからこそ安心して「そこはどうなのー」って言える。
・日本語学校えらくキレイだったな(こんなキレイかつ大規模な学校は本当にレア。それでいて、実在する日本語学校で撮影しているので嘘っぱちでもないっていう……知能犯的設定)
・あらすじにもある「犯人は外国人で、その大半が低賃金で労働する元技能実習生だった」。元技能実習生という属性の人物が新聞沙汰になることはもちろんありますが、徒党を組んで悪い事を、っていうのは1年近くこの分野のニュースを注視していますけど、聞いたことがありません。もちろん、だからこそ現実との距離感を取ったフィクションたり得るわけで、そこを難じるつもりはないんですが、微妙に誤認を誘発しそうな設定だなあ、って感想はありました
・留学ビザで来日している外国人がアルバイトできるのは週28時間まで、ただそれは有名無実化してダブルどころかトリプルワークをしているケースが多い、ってシーンが今回の主要登場人物に割り当てられていて、そこはまあいいんですけど、その学生が「特定技能」にビザを切り替える予定、って設定は、さすがに無理だな。
それでも、出演者である星野源も語った通り(以下引用はニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』書き起こしから)知らなかった多くの人に何かしらは伝わったと思うので。
自分もですね、この台本をいただいたのは結構前ですけれども。いただくまで、やっぱり知らなかったことですし。で、知らなかったことはやっぱり……もちろん知ってた方がよかったと僕も思うし、「何で知らなかったんだろう?」って落ち込んだんですけども。それを、このドラマを見てやっぱり知ってもらえたっていうのはそれだけですごくやった意義があったなと思うし。そこから何か気になったら、ぜひ調べていただければなと思っております。
■ちなみに「コンビニ外国人」については、同名書籍がありますので、ちょっと古い記事(2018.5.29)ですが、ご参考まで。
■監理団体が政界とつながって。みたいな話はいっぱいありすぎるので、たとえばこういう記事はどうだ。
権力への指弾をセールスポイントにしている媒体の言うことだけでは一方的に過ぎるだろう、という向きのために、別の記事もご用意しました。
■以上つい『MIU404』に引っ張られて長くなってしまいましたが、今週の最新ニュースは
最後の日経の記事では技能実習生・監理団体という、「悪い奴」視されがちなひとたちがフィーチャーされているのですが、
味彩工房の近藤博志取締役事業本部本部長は「日本人と同じ待遇をしている」と話す。監理団体のヒューマンリングによると、SNSを通じて情報が伝わることもあって、マルナカの人気は高く、急な募集でも人材が多く集まるという。
1期の13人の修了生のうち、3人がインドネシアに帰るが、10人は2年の実習期間延長を選択したのも特筆すべきことのようだ。若い人が多いので部屋に故郷のボーイフレンドの写真を貼っていたりする年代だが、「延長を選択する人の比率が高い」(ヒューマンリング)という。
在大阪インドネシア総領事館に味彩工房について聞いたところ、ミルザ・ヌールヒダヤット総領事が「訪問時に実習生が笑顔と元気で迎えてくれた。楽しく仕事をしている証拠だ。日本人従業員との対話を見たときも家族間のようなコミュニケーションを取っている印象だった」と、メールを通じてコメントした。また「監理団体がしっかり役割を果たしたおかげだと私は思う。感謝を表する」と、強調して付け加えた。
そう、必ずしも悪い日本人ばかりではない、という話で、その理屈が納得できるなら「出稼ぎ目的でやってくる外国人労働者」を同一視するバカバカしさについても言わずもがな、ではあります。
■最後に継続的にウォッチしている人間ならではの、今週の「ああ、あのときのアレか」
これ、「週刊外国人就労関連ニュースまとめ(20.5.3-20.5.9)」noteの冒頭で言及したニュースの続編なんですけど
引用元のニュースはことごとく消えている。ただな、俺の頭の中の記憶までは消せないぜ(カッコヨク)。