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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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#ゼノフォビア

1年半かけて70万円で和解/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.10.27-24.11.2)

毎週同じジャンルのニュースを追っているので、ああ、あの話がようやく。みたいな感慨自体おなじみですが、今週はこれ。 本文には「おととし、技能実習生だったベトナム人3人が受け入れ企業とトラブルになり」とある通り、2022年4月報道の解決編という なお、2023年3月には別口の記事も上がっています 技能実習制度自体が名前だけでもなくなる、という方向に運命が定まったので、その制度下で起きていた不祥事のトンデモナサが相対的に矮小化されてしまっている。そのことは、ある程度仕方ないと

Go Vote (relentlessly)/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.10.13-24.10.19)

選挙活動が始まるなか、川崎市があらためて言うけど。という喚起を公表していて、うむ。川口市に限らず、みんな真似すればいいのに。と思いました。 ちょうど昨日、「特定の国の出身者」disではないから問題なかろう、と言わんばかりにエセ愛国を掲げる候補者の全方位ゼノフォビア演説が耳に入ってムカムカしていたのですが、ローカル駅前で誰もその自称政策チラシを受け取ろうとせず、そこだけは慰めになりました。 政党でいうと除籍・除名問題で株を下げている共産党、外国人の人権尊重という観点では非の

小声で大それたことを言う法務省/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.8.25-24.8.31)

概算要求が出てくる季節、法務省が何か言っているようなのですが みんなマイナンバーカードのことが嫌いだから(キメツケ)この見出しになるのも仕方ないですが、元ネタにはもっとエラいことが書かれており これ、本当にこの路線で進むんですか。外務省、厚労省、法務省の綱引きで生じている無駄はたしかに一元化されるべきですが、よりによって入管庁がそこを担うのは最も無い選択肢、と過去5年にわたり毎週のように彼らの人権意識の欠落を指摘せざるをえないニュースを紹介してきた当欄筆者として、思います

unmotivated/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.7.7-24.7.13)

ほぼ5年近く毎週更新していますが、たいてい「これはヒドい」ニュースへの怒りに突き動かされて書き始めるのに今週はそういうモチベーションになるような核がなく……。 といってもヒどいニュースはもちろんあって、たとえばこれとか。 あるいはこれとか。 しかし、どっちも似た話を初めて聞いた過去ほどの衝撃はないんですよね。つまり5年かけて海外のひとたちの置かれている環境が、ようやく自分のなかで一周した、ってことなんですかね。 ■その他ニュースもまあまあ地味

ゼノフォビアという語彙は不適切か/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.4.28-24.5.4)

今週まあまあ注目を集めたニュースといえば。 ゼノフォビア、という単語、当欄でもさんざん使っていて、そこは反論できねえんじゃ? が第一報を見かけたときの私の反応だったんですが、案の定というか、反論後を絶たず。たとえば比較的フラットな論と思えるこちら。 ダウト。あなたクルドヘイトを知らないひと? あるいは韓国・北朝鮮ヘイト、なんならベトナムへのヘイト、決して看過できるほど小さいものではないし、それらは紛うことなきゼノフォビアです。それでいうと今週のニュースのひとつ。 これ

安城市事務執行適正化第三者委員会報告書がよかった話ほか/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.3.10-24.3.16)

有料会員しか読めない新聞記事は積極的に採り上げない方針で毎週更新してまもなく5年ですが、そうするとどうなるかお分かりですか。某紙の記事にフォーカス当てることになってしまうんです。基調が移民排斥という、肉体の一部が極度に小さい(=比喩を婉曲化したら意味が不明になる)ひとたち。 本質で相容れない主張なのにときどき「ちゃんとしたこと」も言うので是々非々で接するしかない。がコンセプトの当欄として産経()の記事を紹介するのはまあまあ不本意なんだけど、でもやっぱり今週いちばん面白かった記

自分の中のヘイトを煽られるな/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.31-24.1.6)

2024年になって早々、いろいろなトピックが起きた1週間でしたが、個人的に気になっているのは、とある事象への報道のあり方。 これ、6時38分に出た後者を否定する23時29分の記事が前者なんですけど、いまだ何がどうだったんだか分からないなか、後者を見た瞬間に噴き上がったひとたちの負の感情、怖くないですか。 その誘発または暴発のトリガーを引くことがメディアには出来る、そこへの無自覚がオソロシイのはもちろんのこと、「こういう構図」が起こり得ると、我々は既に学んでいてしかるべきでは

つける薬/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.10.8-23.10.14)

今週注目したのはやっぱりこの話かな。 ニュース本体以上に、この判決に反発する「話が通じる気がしない」勢が可視化されるインターネット。今までもこれからも、そういうひとは居なくならない。とはいえ、地道な教育以外につける薬って無いものかね。 まあ世界共通の話なんだけど。 ■差別が現在進行形で可視化されている・ような気がするけどそれは本当なのか。と思い続けているクルドの話、ぽつぽつと記事が増えてきています。地元ローカル紙の、イベントレポートの形を借りたやつとか。 ページ分割&

国内クルドに向ける視線がヘイトに偏るのはあんまりよね派が思う、有料コンテンツ購入は軽率で良い説

何の話か先に結論を置いておくと これ、記事単品330円で購読可能なので、無料部しか読めていないが。なんて言わずに払って読めばいいと思うのです。(回し者ではない) 私自身、埼玉南部におけるクルド人云々を最初にネットで目にしたのはヘイトありき、ゼノフォビアありきの言説で、もうちょっとマシな報道は無いんか。と待っていたら7月5日に朝日新聞が 外国人同士でトラブル 搬送先病院に100人集結し混乱、逮捕者も(7/5 20:30) という記事を掲載したのでようやく言及できたのです

in limbo/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.9.17-23.9.23)

今週はほとんど特筆するようなニュースがなく、強いて挙げればヨーロッパの動向を見てヘイトをこじらせる勢が何か言ってたな、とか あと事の重大性を鑑みればもっと大問題視されるべきところ、なんとなく静かに治めようとしてるだろ。と言いたくなるような一件 ・単独事故で日曜の朝8時に警察を呼んだらおまえ入管法違反だろ、と言われ ・入管に問い合わせたらビザ更新期間中と回答あったのに「署員が見落として」逮捕状を請求 日曜の朝から水曜の昼まで、ねえ。署員が見落として、ねえ。 ■たまたまネ

Drivers Wanted/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.9.10-23.9.16)

物流2024年問題というワードが既存とはいえ、この数週間しきりに物流業界の人手不足やライドシェア解禁を言い募る記事が出まわっていたので今週の下記報道、ああ、こっちに流す下地作りだったの。と納得したのですが。 この件は以下の2点に大きな意味があります。 ・技能実習においても認められていなかった(=技能移転という建前に無理があったから)産業分野の新規追加 ・同じく人手不足を海外人材でまかなおうとする韓国においてもNG業種(他は教育、インフラ系)に門戸を開く決断 現行法でも在

没義道/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.9.3-23.9.9)

今週はいわゆる社会面(って死語、いかにも「紙媒体としての新聞」ボキャブラリーですね)で話題だった倒産企業 関連して掘り返された履歴が当欄マターでした。 ■没義道(もぎどう)人の道にはずれていること。 ということばが思い浮かんだのは、次のニュースも同じで これ、「フィリピン国籍の被告」がヒドい。って読めるじゃないですか。もちろんそれはそうなんですけど 業界全体の話であって、たまたま槍玉にあがったのが外国籍。って文脈をおさえないと意味がないんですよ。 ■それでいうとね、

東京新聞記事「見知らぬ男性に公園で詰め寄られ、警察は3歳長女を1人だけで聴取」を深く読もうにも進展が無い件

6月1日に東京都内で起きたという話を私が知ったのは、日刊スポーツの7月6日記事でした。末尾署名部から、なるほど代理人弁護士が公開した情報を共同通信が配信したんだな。と理解したのですが…… ■21/7/6 日刊スポーツ(元記事消失につき魚拓) 事件そのものに対するブーイングもさることながら、共同通信の配信記事をまるっと転載するお家芸を他媒体がまったく行わない事態が異様。 という感想は当時のnoteにも書きました。 あれから3カ月。 本件を俎上に載せる媒体が依然として「アン