マガジンのカバー画像

移民国家としての日本

307
マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
運営しているクリエイター

#技能実習生

unmotivated/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.7.7-24.7.13)

ほぼ5年近く毎週更新していますが、たいてい「これはヒドい」ニュースへの怒りに突き動かされて書き始めるのに今週はそういうモチベーションになるような核がなく……。 といってもヒどいニュースはもちろんあって、たとえばこれとか。 あるいはこれとか。 しかし、どっちも似た話を初めて聞いた過去ほどの衝撃はないんですよね。つまり5年かけて海外のひとたちの置かれている環境が、ようやく自分のなかで一周した、ってことなんですかね。 ■その他ニュースもまあまあ地味

Hellbound/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.5.19-24.5.25)

3年前の言語道断な話が東京地裁に「そんなたいしたことじゃない」って言われたのが今週イチ注目されてしかるべきニュース(断言)。 何が言語道断って3歳児を警察官が取り囲んで責め立てた、それは違法ではない。って今回の判決もだけど、そもそも何そのヒトデナシ集団。って話じゃないですか。 この件「報道の絶対量が足りていない」と繰り返し主張している私ですが、さすがに今回はそこそこの量を観測できましたけど、まだぜんぜん足りない。

育成就労制度と永住資格取消/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.5.12-24.5.18)

5月15日、各紙が報道した「育成就労制度の導入に首相が理解を求めた」件。見出しでこのニュースの本質がそこにないことを示していたのは日経と時事通信でした。 他社報道と並べると、違いが分かります。 あらためて認識しておきたいのは、技能実習から育成就労に看板をかけかえます。ついでに永住権の取消要件として税金の滞納とか、あとそうねえ在留カードの不携帯も法律違反だから、なんだったらそれを理由に永住権を取り消すこともできるようにしとくね! って今回の執行におけるゼノフォビアしぐさ。

自分の中のヘイトを煽られるな/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.12.31-24.1.6)

2024年になって早々、いろいろなトピックが起きた1週間でしたが、個人的に気になっているのは、とある事象への報道のあり方。 これ、6時38分に出た後者を否定する23時29分の記事が前者なんですけど、いまだ何がどうだったんだか分からないなか、後者を見た瞬間に噴き上がったひとたちの負の感情、怖くないですか。 その誘発または暴発のトリガーを引くことがメディアには出来る、そこへの無自覚がオソロシイのはもちろんのこと、「こういう構図」が起こり得ると、我々は既に学んでいてしかるべきでは

13年ぶり続編に思ったこと/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.12.11-22.12.17)

50代には13年前のほうが3年前より鮮明なので『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)でいちばん興味深かったのは、1作目『アバター』(2009)鑑賞時はもっとずっと主人公たちの外見を気にしながら見てたなあ、という自分の反応の違いでした。 MCU(とくにガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々)のおかげで肌の色が青かろうがパッと見が猫っぽかろうがしっぽが生えていようが、まあそういう生き物がいてもいいよ。ぐらいに自分が変化している。 ……地球に住む人類の差異なんて、そう

国民の一般的な宗教的感情を害したから有罪。とされた件その後/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.12.4-22.12.10)

2020年11月の第一報を知ったときの本noteにおける扱いを確認したら「外国人がコロナを持ち込んでくる」とされていた当時の日本社会の空気を伝えるニュースにまぎれて「妊娠・・・言えない 外国人実習生『解雇が怖い』」と題した熊本日日新聞の記事を引いていました。 あれから2年。 一審で「懲役8月、執行猶予3年(求刑懲役1年)」 二審で「懲役3月、執行猶予2年」 と、異国で孤立出産せざるをえない境涯になった女性を犯罪者扱いする国は、どう結論するのか、という記事が今週出ました。予告

外国人のお客様へ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.11.27-22.12.3)

一昨日、SNSに投下されたばかりの話題から。 現場の話もともかく、本部広報の対応が「手書きメモの言葉が足りず、多くの方にご不快な思いをさせてしまったことを深く反省し、現在手書きメモは取り下げています」なのは本当にそれでいいんですか。 外国人スタッフ派遣の子会社を持っている企業なのに? ■せめて英語で書け、という声が上記への反応で散見されたので連想した記事 ガイジンには英語、って認識はそろそろ公式に過去のものにすべき、と思っているのですが、まあ冒頭サムネイルに掲示されてい

好機逸すべからず的な/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.11.20-22.11.26)

今週は大きなトピックがふたつありまして、まずこっち。 1ヵ月前の訴訟時、未払い金の計算が11人×160万ぐらい。とざっくりしていたことも分かる初報は以下参照。 続きまして先週の続報。 無い袖は振れないんでー。みたいな(この類のニュースでは本当によくある)展開になっていたところ、冒頭で引いた通り、親会社が負担しますんでご安心ください。という珍しい決着になりそうです。 もちろんこういう話は、概念として唱えられてきたことではあります。 しかし、たとえばスタバとか知らんふりを

ひとり足りない? と思ったけどそんなことはありませんでした/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.11.13-22.11.19)

比較的大きなニュースが多かった今週ですが、個人的に目についたのは速報以降の情報があまり出てきていない、下記の件。 入管といえば悪。のイメージが決定的になったのは2021年3月、がファイナルアンサーでもういいですよね。 あれも悲運の主人公たるウィシュマ・サンダマリさんの「若い」「女性」「報道で何度も使われた目を引くビジュアル」がなければ浸透しなかった、そう思うんです。誰もそこに触れないことが、ルッキズムというやつで。 イタリア人の男性という今般のニュースにおいて、「国籍」属

なんでやねん/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.11.6-22.11.12)

先週も触れたことではありますが、あまりに国内報道がそういう関心の向け方をしないのでそろそろ腹が立ってきたワールドカップ。の舞台になるカタールにおける「外国人労働者は人ではない」エピソードの数々。 実はワールドカップに関係ない工事のほうが圧倒的に多く、スポーツイベントはあくまでも世界の目を惹くきっかけになっているだけなんですよね。 カタールという国が慢性的に出稼ぎ外国人労働者を使い捨てることで成立している、そのことへの問題提起なのですが、そういえば「使い捨て外国人」に無関心で

円安でちょっとは頭が冷えた/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.10.16-22.10.22)

技能実習制度のアカンところは広く知られるようになったものの、既に強固に築かれている既得権益がある以上、特定技能に収斂させる掛け声も実効性ないよねえ。と誰しもが思っていたところ、意外な形で「今のままでは誰も来てくれなくなる」未来図がくっきり浮かび上がってきました。 世界経済の大きなトレンドのなかで対策できることがあるとすれば、それは「日本で働いてよかった」と思える環境を社会全体が目指す。ってことじゃないですかね。具体的には? ■人権無視はやめましょう 妊娠理由に帰国催促

大学を退学した外国人留学生の7割は不法滞在者に(=韓国の話)/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.10.2-22.10.8)

日本国内のニュースが意外性に乏しいやつばっかりなので意識的に海外のトレンドを見ていたのですが、最初に目に入るのはお隣の国。 ちょっと前までの韓国なら「外国人留学生」といえば中国からの流入を指していたはずが、今回の記事まわりを見ると国籍もバラエティに富んできているようで、なるほど日本に似た感じ。 ちなみに「これからは外国人高度人材が必要だ」ってものすごく既視感ある記事が出ていたり 農業や漁業の労働者が不法滞在化しがち。って話とか、本当にお隣だな。 ■ふーん? って思った

首相 外国人の高度人材確保へ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.9.25-22.10.1)

それっぽい発言がニュースになる都度、アンテナが反応する仕組みになっている当欄。今週も首相が何か言ったので気にするわけですが そもそもこの件、8月に「留学生30万人計画」の見直し指示、という報道がありました。 9月。必要なら在留資格についても考えなきゃ、という発言。 これらの議論で挙がる「留学生」というワードが本邦では「労働力」を指してきた、という不都合な事実に目を向けまいとする官邸、その意向を忠実に汲む広報機関こと"国営"放送局。 みたいな構図のせいで、結局何が言いたい

ベトナム労働・傷病軍人・社会事業大臣の発言について/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.9.18-22.9.24)

今週はこれといって大きなニュースもなかったので、共同通信グループの見出し“円安で在日労働者3割減収、労働相が懸念”、これがひとたびPV稼ぎに走ると某誌某氏によるアオリ記事“「技能実習生の税金は免除して」日本がベトナムに足下を見られてしまう本当の理由”、こうなる。 という残念な話でもしますか。どっちも元ネタはベトナム語の以下の記事。 原文と日本語記事を並べたとき、ん? となるのはこの一節。 ええと、「日本側は、レストランサービス、ホテル、運転手、サービス、都市鉄道や高速列車