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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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2021年9月の記事一覧

追っかけ記事/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.9.19-21.9.25)

通信社がニュースを配信し、それを各メディアが追う事例は日常茶飯事ですが、たとえば今週だと「技能実習の監理団体が所得を隠してたんですって」という話題がありました。 北海道新聞の本件報道が最もノーマルな通信社記事の使用例。 地元テレビ局も「絵になる」と考えた今回のようなケースでは(たとえ通信社がつかんだ以上の内容が無い場合でも)報道しますね。 全国紙はプライドがあるからそれなりに「独自色」を打ち出したがる。

移民国家としての日本/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.9.12-21.9.18)

今週いちばん注目を集めたのはこのニュースですかね。 仮放免中は健康保険での診療が不可なので、在留資格への配慮を求めていたひとが、異例の速さで望みが叶った。 それはそうと彼は国を相手どった裁判の当事者で、「国側が裁判所に提出した監視カメラの映像」がメディアの知るところとなり、その模様が端的に言ってヒドい虐待である、と。 入管内で起きている様子を見せろ見せない事案を共有しているわれわれとしては、そりゃまあ何か言いたくなるところではある。 ■関連して興味深く読んだ記事

韓国映画の中の「外国人労働者」像

ゼノフォビア。 外国人嫌悪と訳すとフォビア=恐怖を見過ごしてしまうんですよね。入管にヒドい目にあった? 何をバカなことを言ってやがる、さっさと自分の国に帰ればいいだけだろうが! って噴き上がるひとたちは典型で、ああいうのって「嫌悪」より「恐怖」のほうが勝ってるように見えるんです。 樹上で生活していた大昔、知らない種に遭遇したら動物的本能が警戒信号を発したわけでしょ。敵? 味方? 知らない奴、コワい! そうした衝動を押しとどめて理解しようと「努めてきた」のが、コミュニケーション

テニス全米女子決勝の興奮さめやらぬ朝に思う/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.9.5-21.9.11)

大坂なおみ擁護派を自称する私、全米オープン女子シングルス決勝の勝者と敗者がともにマルチレイシャルなバックグラウンドの持ち主であるという話をしたい欲に駆られています。 優勝したラドゥカヌは英語話せるから英国人で問題ない、準優勝のフェルナンデスも英語話せるからカナダ人でいいんじゃない? みたいなことを「大坂なおみは日本語話せないから日本人じゃない」って言うひとたちなら言いそう、と勝手に想像しているわけですが、そうか、日本語ってそんなに重要なんですね! じゃあ、両親は出稼ぎ外国人

東京新聞記事「見知らぬ男性に公園で詰め寄られ、警察は3歳長女を1人だけで聴取」を深く読もうにも進展が無い件

6月1日に東京都内で起きたという話を私が知ったのは、日刊スポーツの7月6日記事でした。末尾署名部から、なるほど代理人弁護士が公開した情報を共同通信が配信したんだな。と理解したのですが…… ■21/7/6 日刊スポーツ(元記事消失につき魚拓) 事件そのものに対するブーイングもさることながら、共同通信の配信記事をまるっと転載するお家芸を他媒体がまったく行わない事態が異様。 という感想は当時のnoteにも書きました。 あれから3カ月。 本件を俎上に載せる媒体が依然として「アン

2020年4月の某炎上事件を思い出した話ほか/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.8.29-21.9.4)

珍しく今週はトップニュースとしておめでたい話を取り上げられます。 信濃毎日新聞の連載「五色のメビウス」は個人的にずっと推していたので、選考委員もなかなかお目が高い&ただの読者の私も鼻が高い。 選考委員(5人)は「『命の分岐点に立つ』外国人労働者の迫真ルポ、送り出し国の機関から日本の入管、雇用先、自治体など関連組織への徹底取材。半年にも及ぶ連載は、軽視されがちな外国人労働者問題の深刻さを、真剣に考えていくための新たな視座を提供した」と評価した。 うむ。半年前に全力でホメて