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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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2021年8月の記事一覧

毎日新聞記事「入管で警備員が収容者暴行」を2倍の深さで読むために

まずポイントは「収容中の男性が業務委託先の民間会社の警備員から暴行を受け」ってところじゃないですか。野次馬的な関心は私も人並みにあるので(照れながら)。 どこですか民間って。と思ったら見に行くところがありまして 行政事業レビューとは,各府省自らが,自律的に,概算要求前の段階において,原則全ての事業について,予算が最終的にどこに渡り(支出先),何に使われたか(使途)といった実態を把握し,これを国民に明らかにした上で,外部の視点も活用しながら,過程を公開しつつ事業の内容や効果

(写真はイメージです本文とは関係ありません)/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.8.22-21.8.28)

アフガニスタン動向に気をとられていたせいか、外国人就労関係で誰もが大ニュースと認めるような時事トピック、今週はなかった気がします。だからというわけでもないのですが、先週の記事にいまさら目が留まったりしました。 ライトをつけず自転車に乗っているひとを見かけたので警官が注意する、そこまではいいんですけど、さてはガイコクジンだな/在留カードを見せてください/何、持っていない? →逮捕だ。 までは百万歩ゆずって納得するとしましょうよ。 それが新聞記事になるんですか。なるんですね。つ

ウィシュマさん報道で欠けているメッセージは何か/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.8.15-21.8.21)

先週に続きウィシュマさん関連の話題が多く記事化されましたが、気になっているのは、ウィシュマ・サンダマリという個人の話、彼女へ適切な対応をしなかった入管職員ABCD……(以下略)という個人の話、上川陽子法務大臣という個人の話、ぜんぶ「個」に焦点あたってません? そうじゃなくて「労働力を求めるわれわれ、それに応じて来日する外国籍のひとたち」「国家の治安のため人流を管理監督する部門」「人権を含めた高度次元から法の在り方を統べるべき省庁トップ」っていう、誰がじゃない、システムの問題と

ウィシュマさんの話、ウィシュマさん以外の話/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.8.8-21.8.14)

今週の報道がウィシュマさんの件で持ち切りだったのはご存知の通りです。先週「報告書は来週出すから」「動画も出します、編集バージョンだけど」と言っていて 21.8.3 出入国在留管理庁は2日、7月中に第三者による最終報告をまとめることができなかったとし、「申し訳ない」と陳謝した。野党の「難民問題に関する議員懇談会」で、入管庁の担当者が明らかにした。(朝日新聞) 21.8.6 来週にも取りまとめる最終報告の公表後に、施設内での女性の様子などを映した映像を遺族に限り開示する方針を固

ホームレス差別発言に上書かれてしまった非正規滞在外国人の死

差別発言者が自説を開陳できるのは、同じ思いを抱くひとが少なからず居る、と信じているからですよね。 「ホームレスなんて、あれは結局働きたくない、サボってる連中だろ? 取材して意味あるのか?」 某ライターがよく耳にする発言として今朝、目に入ってきたやつ。 わー、言いそう。誰がとかじゃなくて、そういうこと言いそうなひとが。 その伝でいくと、スリランカからやって来て、正規滞在の枠を超え、日本に居たせいで悲劇的な最期を迎えることになった享年33の女性、彼女の死に向けられる声。

名古屋出入国在留管理局被収容者(30歳代、女性、スリランカ国籍)「A氏」のついた嘘は死に値するものだったのか

入管庁が公表した報道資料「名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する調査報告について」を読んで思ったのは、要素が複数あるから初見では整理しきれないよなあ、ということでした。 ぱっと思いつくだけでも「支援者との物語」「病の記録」「DV被害者としての扱い」「組織としての入管の致命的な欠陥」など、ジャーナリズムが頑張って解説すべき要素は盛りだくさん。 一例として、支援団体が途中でもう入管には資料提供しません。ってなった経緯。 調査チームはS1氏(引用者注:日本人の支援者の報告

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週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.8.1-21.8.7)

100週連続更新も達成したし、もう止めていいかな。と思ったのですが、ためしに「関連トピックを見かけたらメモ代わりにツイートする」習慣をサボってみたら、あっという間に情報感度が鈍ったので驚いているところ(=惰性による継続)。 ■今週のトップニュースはこれですかね 代理人のところに連絡きてない、って話もあるのでどうなるのか予断を許さない状況であることに変わりはないですが。 あとね、小出しに大本営発表みたいなのが特定の媒体から出てくることが感心しない。カウンターとなるべきテキ

第100号/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.7.25-21.7.31)

今週は日経新聞が社説で「技能実習は速やかに廃止を」と書いた件が話題でした。 ただ、同紙が技能実習制度について言及するのは今回が初めてではないので。という点は重ねて念を押しておきたいのです。 日経に限らず、各紙の社説が技能実習制度をとりあげるタイミングは法改正が機会になることがほとんど。つまり翌春の施行を決定する秋口にそういう社説が出るケースが多い……ので、やっぱり今回は「なぜ今」か、が個人的には気になります。 ■プレイバック:各紙社説における技能実習制度への言及 20