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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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2018年8月の記事一覧

私はぼったくり被害に遭ったことがない

井上陽水いわく、私は泣いたことがない。「それ主観ですよね」「でも本人がそう言うならそうなんじゃない? 他人がたしかにあのときあなたは泣いていた、って否定しても、泣いたかどうかの決定権を持つのは本人で、つまり泣いたことがないって言うならそうなんでしょう的な」 以上は前フリで、以下本文と関係ありそうでなさそうなやつ。いや、なさそうでありそうなやつ? んーどっちでもいいです。 ホーチミンで連れて行ってもらったベトナム料理店​のクチコミを見ていたら「レシート見たらおしぼり代30円

インバウンド現場で見た花柳界2.0()

​photo: mouton.rebelle by courtesy of flickr 幸田文「流れる」(1955)は成瀬巳喜男監督の映画化作(1956)がベラボウに持ち上げられているため原作のことが忘れられているのでは疑惑を持っている私。日本文学史上屈指の過小評価作では、とまで思っています。 花柳界を舞台にしたその「流れる」のような文芸作品はもちろん、時代小説や落語や歌舞伎に親しんできた分、平成の水準からは花柳界のことを断片的ではあっても知っているほうかな、と思いつつ、

海外営業担当者としての私は何を喋り散らかしているのか

タイ国政府​観光庁ウェブのキャプチャ 人材派遣系の会社のひとと商談していたら、それ派遣登録に来たひとにしてる質問ですよね(ふだんはどういう感じでお仕事をされているんですか?)と思った数日後、ぜんぜん別方角の接待の席でも同じような話になっていることに気付いた私です。 ・ベトナム人の親日感情は嫌中感情に後押しされているところある ・本当はオーストラリアとかカナダに行きたいんですよ彼らだって(名実ともなっている移民国家だから) ・そういう本音はSNS経由で一端を知ることはできる

送り出し機関訪問時あるある

国や地域による差は存在するはずですが、複数国、複数地域への訪問経験から、技能実習生送出機関あるある。と共通項を指摘するのは可能じゃないかな、と思って書き始めます。 まず前提ですが、技能実習制度を利用して訪日を希望するひとは「一定の日本語能力を有する」証明をしなければいけないのですが、私の本業はその日本語能力まわり。 つまり日本語学校も送り出し機関も受け入れ機関も一律「お客さま」なのですが、私自身の意識では、日本語を勉強しているひとが最優先のお客さま。出版編集者だった時代、著者

ラオス出張雑感(抄)2018.3

・イメージ画像はビエンチャンで視察した現地の高級スーパー(「日本でいうと成城石井ですかね」) ・店舗開発からマネジメントに至るまで、タイの成功事例をそのまま持ってきている ・オーナーはタイ資本 ・タイとラオスって民族同じなので言語も大阪弁と岩手弁ぐらいの違いなんですって ・ファッションとかテレビとか、総じてタイのことが好きすぎるのではラオス人、という印象を受けたのですが ・嫁がラオス人のJETROスタッフ(大阪出身)いわく「好きか嫌いかでいうと好きなんでしょうけど、大阪の人間

町のヘソ

photo: Aleksandr Zykov by courtesy of flickr ラオス、ルアンパパーンにはプーシーの丘なるランドマークがあって、だいたいが山に囲まれているのに丘って言われましても。みたいな感想なきにしもあらずだったのですが、今春訪問した際に同行していた現地ガイドもふたことめには丘リスペクト発言をしていたので、文字通り「拠り所」なんだな、という理解をしました。 東京にもそれっぽいランドマークはあって、江戸城という人為的建造物かと思いきや実は富士山

日本橋の晩飯をホーチミンで回収する

ホーチミンから退職の挨拶メールをくれた青年海外協力隊あがりの若者。帰国したら連絡してね飲みに行こうぜ社交辞令じゃないよー。って返したら嬉しかったらしく、律儀に就職が決まりました別の会社でホーチミンにまた行きます報をくれました。それが2017年初冬。 そして同3月、退社×一時帰国×就職の三重祝をお江戸日本橋で開催し、今度ホーチミンにいらしたときには私に御馳走させてください。おおいいね是非。という約束がほぼ1年半越しでこのたび果たせました。の巻。​ 彼の上司も同席した3人飲みだ

外国人技能実習制度関連ニュースまとめ

仕事柄、外国人技能実習制度関連のニュースは絶対見逃さないマンと化している私で​すが、ご存じの通り、今年に入ってからそういうニュースの無い日が無い状態なので、ちょっと時系列で整理していました。すると、おおまかには2本の筋しかないという結果になり、まあそりゃそうか。わかりみー​。 ■解禁 2018/1/4 介護の外国人技能実習、申請ゼロ​ 2018/3/7 外国人就農、新潟・京都・愛知で解禁 2018/4/11 外国人、技能実習後も5年就労可能に 本格拡大にカジ 2018/4/

末っ子キャラ、ムスリム君を見ながら

photo: Rifat Attamimi by courtesy of flickr 東京駅を9時過ぎに発つ新幹線でお客様をご案内するミッション。総勢5名とはいえ、うち1名はパートナー会社から派遣されたムスリム君(技能実習を経て正社員採用された20代男子)つまりホストの俺サイド。のはずだったんですけど、東京駅に真っ先に来てしかるべき彼が現れたのは9時まわってから、即ち発車直前。もちろん私を含めた全6人中、最も遅い到着でした。 車で駅に着いたお客様は八重洲口にいるが新幹線改

自学自習という障壁

国内B2B市場でそこそこ実績ある他社のオンライン教材を仕入れて、試しにアジア某国で販売してみたんですけど、これが思った以上に売れない。 まず自宅学習の慣習が無い、というハードルがあって、さらに「自分で計画立ててこつこつ勉強するスタイル」が向く国向かない国というハードルがあるのでは。 そういえば、アジア進出を考える企業向けセミナーなどでよく「人前で従業員を叱ってはいけない」なぜなら日本人が考える以上に彼らはプライドが高いから-って講師が言うんですが、しかもこれ、ベトナムだけでな

合弁会社つくりましょう、ってすぐ言われるやつ

photo: Vera & Jean-Christophe by courtesy of flickr 日本企業と組みたいと言ってくる現地パートナーが求めるのは「五分五分の関係性」と思うと間違う、という持論があります。 日本企業が兄貴分になってください私は弟分になりますから。これです。 たとえば合弁会社。いろんな事例を見てきていますけど「弟として甘えますけどいいですよね許してくれますよね」ポジションを現地側は取りに行く。そういうことが圧倒的に多いというより、それ以外を見たこ

社会におけるロールモデル

ちょっと前(2018.1.22)ベトナムの日刊紙に載っていた「若者がUberやGrabで金稼ぎに走ってわが国は危機に陥る 」(トゥオイチェー新聞)というコラムを社内で共有しました。 当時のURLを探したら「ごめんねメンテナンス中なんだ。復帰は10月17日だよ」って書いてあって、え? ってなりましたけど、それはまあ、いいです。 いくら給料がいいからって前途ある若者が単純労働で満足してしまうとは嘆かわしい、って主旨だったのですが「Uberのドライバーで稼げる月700USDはベト

世界展開を目指すサービスの開発拠点としてオススメの国はどこですか

シンガポール​に拠点を置く知人と話していたとき、ヘルスケア事業用に新しく会社つくりました、登記はシンガポールでしてみたものの、それ以外は未定。 というか、サービスについてはぼんやりとイメージあるんです、それに紐付いてくるであろうスポンサー企業のイメージも、まああります(話者は大手生保会社出身のひと)。でも私、開発とかぜんぜん門外漢なので、そもそも我々が欲しているシステムの予算がどのぐらいになりそうとか、そういう開発を依頼できるひとはどこに行けば見つかるのかとか、そのあたりから

異世界遭遇モノとしての海外ビジネス

「本覚書は、甲または乙に対して、害のない同プログラムを他の当事者と協力することができる」?  海外事業の契約書あるある、ですけど、今回たまたま仲介に入ってきている日本企業がなんちゃって翻訳をしれッと出してくるところで、試される俺たち。 原文まで戻って英訳をグーグル先生に頼んだら「本覚書は排他的に適用されるものではない、即ち甲乙双方の意に反しない限りにおいて、甲乙が第三者と協力することを妨げない」って言いたかったらしいことが分かり、なるほど。それなら分かる。あと、いいかげんな