北品川「この路」 ーママの占いは私の未来を当てたー
「女ってもんは 占いとスープが好きな生き物だ」
私の友人は強めに言う。
私はいずれにも当てはまらず、スープなんてむしろ苦手で、某有名店(すゑりろがりず風に言えば“温汁貯蔵”)の前を通る時は鼻を摘むほどだ。
占いは、信じるも信じないものなく「へぇ〜〜」と言いたいための手段に近い。今まで占いと言ったら姓名判断を2回、高円寺のふとっちょおじさんによる占い1回、ぐらいだ。
思い返すと、この時ママが言ってたことって… 時は2012年、北品川の探訪である。
コーヒーカップから湯気らしきものが出ている演出に 足を止めない喫茶店好きはいないだろう。お昼時でもあったので、看板のカレーに惹かれて店へと吸い込まれた。
壁には何箇所も「全食事 低カロリー」の貼り紙が目立つ。どういうことなのか考える暇もなく、小柄なママが言う「痛めてた半月板がよくなってうれしくなっちゃって散歩してたから仕込みできてなくて、カレー出来ないのよ」。カレーは油を使わず米にもこだわっているようなので食べてみたかったから余計に残念だ。
カウンターから出て珈琲を運んでくれたママの独壇場が始まった。
「若いうちにいろいろ動いておきなさい。私は20歳の時に占いの免許とったり三味線やったり健康体操やったりしたわ」。
どれも深く聞いてみたいが、占いって免許あるんですかね。。
完全にママのペースでいると、おもむろに私の手の平をとって
「運命線がしっかりしてるし…やっぱり性が男なのよね。でもいい星持ってる。今年のうちにいい人見つかるわよ」。
恋愛がどうのだの、何にも聞いてないのに勝手にいい人が見つかると告げられてポカーンとなってしまった。
ただ、“性が男”というのは自他ともに認める案件で、考え方や仕事の仕方が男だと言われることが多い。男性脳ってことだ。
手をみてそんなことがわかるんだろうか…
占いに全信頼をおけぬまま今に至るが、
奇しくも、今の私の夫とは2012年10月に出会っている。「今年のうちにいい人見つかるわよ」のママの言葉は当たっているという見方ができる。
2015年に結婚するに至った夫は、私の真逆の「性が女」な人物であり、男女逆転構造であることをママに伝えに行きたいと思う。
「この路」自体のこともママは教えてくれて、2012年の探訪当時で46年目の歴史があった。かつては飲み屋で3人ほどの女の子を雇っていたらしい。
「私は女の子によく言ってやったのよ“男に惚れるな、惚れさせるな、それがプロだ”ってね」。
なんのプロですか…
ママはずっと男女の駆け引きの中で生きてきたのだろうか。
そんなママは儲かったお金で300坪ほどの家を建てマンションを3部屋所有しているそうだ。やり手だ。
最後に、ママからいただいた言葉を胸に、コロナ自粛後をどう生きるか考えていきたいものだ。
「過去や他人は変えられない。変えられるのは先のことだけ。だから未来なんて自分次第」。