22 人生初の探偵事務所へ
「離婚」の二文字は輪郭がはっきりとして、わたしの頭と心に居座った。
不倫相手と夫から慰謝料を取る。そのためにわたしは探偵事務所に足を運ぶことにした。
無料電話弁護士相談で、裁判になったときに何があれば勝てるかをあらかた聞いていた。
安い不倫ドラマどおり証拠写真が一番有力で、勝てる材料なのだ。
「利用頻度の高い場所」の履歴もトラッキングのスクリーンショットも、いくらでも言い逃れができる材料で証拠不十分とのこと。
わたしは右も左も分からない中、ネットに出てきた大手の事務所に予約を入れて、オフィス街にあるビルに向かった。
40代くらいの品のいい女性が窓口となって相談に乗ってくれた。
探偵は想像以上に高額だった。五時間をひと枠としてその時間を買う。探偵はニ〜三人でチームで行動する。
ずっと尾行するような依頼はとてもじゃないけど破産してしまう。あれはドラマだけのやり方だと言うことを知った。
わたしの場合は「不倫相手の自宅が判明しており」「夫の行動をカレンダーから予測でき」「トラッキングできている」。
つまり、張ってもらう時間を絞ることができるのだ。
高い依頼費を払うかどうか一日だけ悩み、わたしは正式に探偵を雇った。
夫婦のカレンダーには東北へニ泊の出張と書いてある日に、会社のカレンダーでは一泊の出張という日があった。
そのニ日目の夜に依頼をかけるのことにした。
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