41 次の調査までの地獄の日々
過去に関係を疑い、呼び出し、牽制し、それでも信じたZこそ、都内の不倫相手だったのだ。
裏切りに体が震えた。
けどもう震えてばかりもいらない。都内の不倫相手が、探偵を頼ることなく判明したのだ。わたしはすぐに探偵二人と相談員Kさんに報告した。
都内の不倫相手がZであることが分かってからは、夫を泳がせているが故に普通に過ごす毎日が地獄のようだ。
深夜帰りの夫と顔を合わせることはなくても、24:30に玄関が開くたびに冷や汗が出て体がこわばった。
どこへ行き誰の家から帰ってきているのかをわたしは知っている。
食欲は落ちて体重が減り、頭皮に無数のおできができて、耳鳴りがした。胃は常にムカムカして歯を磨いても磨いてもマスクの中からイヤな匂いがした。
普段通り夫の夜食を準備して、夫の洗濯ものをして、夫が使ったあとに汚れたトイレや洗面台の掃除…すべてが苦痛でしかなかった。
それでも、残り三回の立ち寄り証拠を取るためにわたしは踏ん張った。
ここからも情報戦だ。
一緒に食卓を囲むのでさえ苦痛で、もうまともに顔も見ることもできない。それでもわたしは夫に懇願した。「平日、せめて二回は家族四人で一緒に夕飯を食べたい」「だから早く帰ってきてほしい」。
夫婦関係を再構築しようと、妻の申し出を断らず、家族と夕食を共にする協力的な夫。多忙な仕事を調整してまで家族との時間を作ってくれる夫。
その夫には家族との時間以外は存分に「仕事」をしてもらえばいい。
こうやってZの家に立ち寄る日を浮き彫りにしてわたしは探偵に次の依頼をした。