05 二人の被害者
「結婚」がしたかったわたしは転がるように入籍までに至っていた。
その夫の不倫発覚。
はからずしも結婚式の一週間前。
普通なら結婚式を取りやめて、結婚さえもやめるようなことだと思う。
だけどわたしは違った。
不倫相手がストーカーになっていたこともあり「本人の意思とは無関係に関係が続いた」と無理矢理にでも事態を正当化させたのは、むしろわたしだったのかもしれない。
「警察に届けよう」
土下座して謝った夫を前に、わたしは「二人の」敵に立ち向かう選択をした。
不倫行為の被害者はわたし一人ではなく、夫もその被害者となった。
いつでもわたしが見たいときに携帯を見せてくれる約束をし、一週間後に結婚式をあげたのであった。
そして結婚式の一年後に妊娠。だがなんと妊娠期間中にも、不倫未遂が発覚した。
新しい命を授かっているわたしには「離婚」の二文字は浮かびもせず、わたしの提案で夫婦カウンセリングを受けて、前に進むことになった。
とにかく前へ前へ、転んでも明るく立ち上がって突き進むわたしの性格が、その後の結婚生活を大きく歪ませる一因になったのだと今なら分かる。