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58 大仕事を終え、次の大仕事へ
合意書の記述のひとつに「夫へは離婚が成立するまで一切の連絡を断つように」との記載を盛り込んだ。連絡を取り合って二人が結託するのを防ぐための一文だ。「守られなければ慰謝料の10%を支払う」とのペナルティも追記した。
それでも連絡をすぐに取るパターンが多いというのは探偵から聞いていた。
自宅までの道すがら放心状態でZは歩き、そのままマンションに入ったそうだ。部屋に帰ったのち夫に連絡するかもしれないが、それは成り行き次第である。
わたしたちは近くのファミレスへ寄り、胃袋にビールを流し込んだ。
味わったことない達成感と興奮と虚無感だった。
その日の出来事を三人で振り返り、ここまでこれたのは二人のおかげだと感謝した。
実家の母と姉夫婦、大学の友人、C子、探偵、相談員Kさんにも、すべで上手く済んだと一報を入れた。
二杯目のビールを飲み干してA子とB子と別れわたしは家路についた。
もしZが夫に連絡をしたら、出張先の夫から何かしらリアクションがあるだろう。あるいは全くリアクションがないか…。
しかしその夜は「子どもらは寝た?」といういつもの味気ないLINEが来ただけだった。
そのLINEには返信をしなかった。明日、夫に全てを打ち明ける。離婚を言い渡し、出張から戻っても家の敷居をまたがせず離婚までもっていく。
明日から、もうひと山越えなくてはならない。