48 心強い協力者たち
対峙するZは何年も「恋人」が仕事帰りに立ち寄ったり泊まったり。週末こそ一緒に過ごすことは少ないが、相手が妻と子どものいる人間だという意識は薄れているはずだ。
数年に渡る関係がバレずに続いていることで、罪悪感も薄れた無防備な状態。
対してわたしは、眠れぬ夜に交渉のシミュレーションを何回も繰り返していた。
これは勝ちしかみえない。
深夜に変な自信がみなぎった。
直談判の日を決めたあたりで、実母と姉夫婦にすべてを話した。皆一様に驚き、真剣に聞いてくれた。当日は実家に子どもたちを預け、そこに姉夫婦が遊びにきてくれることになった。
C子にも決行日を伝えた。もしもZが会社にいたら様子を教えてくれることになった。
またZのマンションのすぐそばには、たまたま大学時代の友人家族が住んでいて、その昔はわたしもこの駅によく降り立っていた。
何かあった時のために、大学の友人にも事の顛末を伝えておいた。
「トイレへ行きたいとか、お腹空いたとか、寒いとか、なんでも言ってね。その日は在宅勤務にしたからすぐに飛んでいけるから」
ここにも強い味方。
そしてA子も、A子の旦那さんが仕事から帰ったら赤ちゃんを預けて駆けつけてくれると申し出てくれた。
B子も仕事が終わったら向かうと言ってくれた。
みんなの協力に涙が止まらなかった。