ユニット楽曲・第二弾はツインボーカルスタイル 〜『この星をひとつ』(2022)〜
flapter君とのユニット『オーキソプター』のYouTubeプロジェクト第二弾をリリースしました。
以前、別記事でも書いた楽曲『この星をひとつ』を、アコースティック感をメインにしたアレンジで再録音しました。
これまでの流れ
2017〜2018年にかけて、オーキソプターでライブ活動や録音を模索していた頃。
この曲にも取り組んでいましたが、いろいろな課題があり、うまく行きませんでした。
ライブ(生演奏)ではギター2本だけでのアレンジやテンポ感が掴めず、サマにならない。
リハスタに機材を持ち込んでボーカルを録音してみたが、歌い回しの合わせが難しく、どうにも馴染まない。どうディレクションしていけばいいのか?
バンドサウンドを打ち込みでシミュレートしたものを録音しても、最終的なアウトプットは何処なのか?
その辺りの課題が解決できず、前回の記事には、とりいそぎ自分ひとりで歌い
演奏したデモ録音を貼っていました。
再録音のきっかけ
そんな事すら忘れてしまっていた2022年、前回YouTubeにUpした『惑星図鑑』をきっかけに、これからのオーキソプターの方向性が見えてきました。
『アコースティック+α』
『生演奏にこだわらず打ち込みも編集も積極的に使う』
『弾き語り以上・バンドサウンド未満』
『ライブ演奏や生演奏での再現性はいったん置いておいて、YouTubeで公開』
『映像にはあまり凝らずに、背景に歌詞を載せた簡単なリリックビデオで』
この路線の第一弾『惑星図鑑』はflapter君が曲を作り上げて一人で歌った、しっとりとしたテンポの曲でした。
つづく第二弾は『二人の共作で、もう少しポップな曲』にすれば、YouTubeにUpする曲のバリエーションが増えるかなと思い、『この星をひとつ』を再録音することに決めました。
制作ノート
Apple Logic Proで録音していた2017年版のファイルを元に、各パートを差し替えていく形で制作が進みました。
リズム
2017年版はLogicのDrummer機能で作った打ち込みドラムでしたが、これを打ち込みのカホンに差し替えました。
Drummer機能でカホンの基本パターンを自動生成したものをMIDI化して、ベースラインとキックの合わせやフィルインを、ピアノロールでエディットしながら構成を作っています。
最初はカホンだけでハイハットがわりの8分刻みを出していたんですが、他の楽器を録音する時に刻みがあまり聞こえずリズムが取りづらかったので、8分刻みのシェイカーを打ち込みで追加。
サビにも2・4拍を強調するタンバリンをうっすらと入れています。
ベース
最終的にこのトラックだけ、2017年版の音源がそのまま残っています。
イケベ楽器 秋葉原店の地下にあったリハーサルスタジオ「スタジオリボレ」で、hofnerのバイオリンベースがレンタルできたので、MacBookを持ち込んで録音しました。
※同スタジオは閉業後「STUDIO GOODMAN」として再開していますが、hofnerのレンタルは無くなってしまったようです・・。
『アコースティック+α』なのでベースはカットすることも考えたんですが、低音域でのカウンターメロディのようにもなっているし、リズムの方向性もベースが出している感じだったので、残しました。
一般的なエレキベースと違って、hofnerならアコースティック路線との相性も良い気がしますが、今後は気軽にレンタルできないのでどうしよう・・。
アコギ
制作途中で、YAMAHA LS6 ARE を購入して、録音し直しました。
アコギは近年、手軽に抱えられるパーラーサイズの Aria ASA-18 だけを手元に置いていました。
ボディは鳴らないけど弦鳴りだけをコンデンサーマイクで拾えれば録音にも耐えるので前作『惑星図鑑』でも使っていたんですが、さすがにピッチが悪く。
元々かなり安価なギターだったので、調整に出すのもどうかと躊躇っていました。
今後、アコギの録音が多くなるのを見越して、
ピッチの良さを優先してスケールは長め
ドレッドノートほどの音量はいらない
パーラーサイズよりもう少しボディは大きくても良い
そこまで高価じゃないもの
の条件で探した結果、 YAMAHA LS6 ARE を購入しました。
同じシリーズのサイズ違い、LLやLJと比べて小ぶりな分、低音は弱め・・という評を目にしましたが、これで弱めだったら他のはどんだけ出るんだっていうぐらい低音も出ます。
この録音では、最初に貼ってあったエリクサーの80/20ブロンズ弦(ライトゲージ)のままで録っていますが、その後フォスファーブロンズのエクストラライトにしたり、同じゲージで80/20ブロンズに戻したりと、試行錯誤中です。
12弦エレキ
『Circle』でもおなじみのDanelectro 59 12stringsです。
2017年版の録音でも使っていて、ギリギリまでそのままのテイクを使うつもりでした。
ところがミックスの段階でピッチやタイミングの悪さが気になり、オーディオ編集してもうまくハマらなかったので、結局ほとんど同じフレーズをそのまま弾き直して差し替えしました。
ボーカル・コーラス(kisoem)
最初に、自分のパート・flapter君のパート合わせて、ガイドボーカルを録音しました。
以前は、ピッチ修正に頼っていると下手なままになるのではと思っていました(あとは単純に修正する根気がなかった)。
でも最近、自分の歌のピッチがどこでどうズレるのかが分かるので、ピッチ修正をすると、却って歌に意識が向くようになった気がしています。
ピッチ修正はLogicのFlex Pitch機能を使っています。
なかなか癖はあるんですが、まずは標準機能に慣れてみようと。
コーラスパートは、Aメロのflapter君メインパートを録音してもらった後、波形を見ながら長さを合わせたり、歌い回しを合わせたりしながら録りました。
ピッチは修正すること前提で、「長さ・歌い回し・声を張るか抜くか」に集中してざっと録って、修正を掛けています。
ボーカル・コーラス(flapter)
Logicのプロジェクトファイルを送り、falpter君にボーカルを入れてもらいました。
1曲を通してずっとハモっている曲ですが、
サビはkisoemメイン、Aメロはflapter君がメインになるので、お互いがメインのボーカルに歌い回しを合わせる方向で録音していきました。
とはいえお互い、歌い回しに得手不得手があります。
どうしても合わせてほしいポイントは、録音結果を元にディレクションしつつ、こちらもがっつりLogicのFlex Pitch機能でピッチやタイミングを含めて修正していきました。
ミックスダウン
今回のミックスでは、最近その概念を知った『ゲイン・ステージング』を意識して行いました。
・・とはいえ、いまだにきちんと概念と手法を理解できておらず。
その他、今回のミックスで行ったこと・試したこと・発見したことは以下のとおり。
フェーダーは0に固定して、各chのプラグイン(GainやCompなど)のOutputゲインでバランス調整
リージョンのゲインを1dB単位で上下してバランスを調整
※いままでは、例えばAメロとサビの歌の音量差などをトラックを分けて調整していた2mixしたものを、いろいろな環境で確認。
モニタースピーカー、ヘッドフォン、iPhoneのスピーカー、AirPods Pro、MacBook Proのスピーカー、AirPlayでApple TVを経由してテレビのスピーカーなど。途中からタイミングやピッチがズレて聴こえる現象は、耳と頭の疲れに加えて、Logicが処理落ちしていても発生する。トラックフリーズすると回避できる。
マキシマイズ
いままでは極力、Logicに付属のプラグインだけを使おうと思っていましたが、今回は最終段階での音圧上げのため DOTEC-AUDIODeeMMax を導入しました。
Logicのプラグイン「Multipressor」と「Adaptive Limitter」の組み合わせだと、ハデめな感じで音圧を上げる時は良いんですが、アコースティックものでは音が潰れすぎたり、ミックスバランスが崩れたりする難点がありました。
バランスを極力崩さずに音圧を上げられるということでDeeMMaxの存在は知っていたんですが、ちょうどアップデートされて記事が出ていたので、思い切って導入しました。
たしかにバランスが崩れずに音圧コントロールできるのは良いですね。今後もう少し試してみます。
次回の目標
制作中のファイルを見ると、2022/06/11〜07/03ぐらいまで掛けて作業していました。
元になるファイルがあった割には時間が掛かってしまいましたね・・。
とくにミックス段階では一晩寝てみてからじゃないと判断できなかったりもするので、次回も余裕をもって、このぐらいのペースでの制作になるかも知れません。
次回もよろしくおねがいします!