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オンラインコミュニティでの共作・第三弾 『これが僕の音楽』 ft. かねまん
作曲家 成瀬英樹さんのオンラインコミュニティ『Song Garden』で制作された楽曲をまとめたチャリティーアルバム『At The Garden』。
2022年に制作した『セシル』に続いて、2023年はコミュニティーのメンバー「かねまん」さんをボーカリストとしてフィーチャーした楽曲『これが僕の音楽』を制作しました。
試聴
※楽曲に直リンクできないので、リンク先から、「20231020 これが僕の音楽 w/キソエム ft.かねまん」を見つけて再生してください!
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解説
「突然思いついたんだ」
At The Gardenプロジェクトの前作『Circle.2』では、「ふだん音楽活動をしているわけでないメンバーのみなさんによるヴォーカル曲」が何曲か制作され、とてもワクワクしました。
その流れで、かねまんさんにも是非とも歌ってもらいたかったので、だったらそのための曲を自分が作ればいいのでは!?と思いついたのがはじまりでした。
そして、かねまんさんをリンゴ・スターに見立てて、ジョンやポール、ジョージが曲を作るイメージで行こう!と決めました。
「君は驚くかな?」
まずは、自分で歌ったデモを作ってかねまんさんに聴いてもらいました。
かなりの無茶ブリだとは自覚していたんですが、「成瀬さんにはなにもお話しせず、かねまんさんのボーカルが入った状態で聴いてもらって驚いてもらおう!」と口説き落としました笑
「誰だってこころのどこかに 宝石を持ってる」
At The Gardenで成瀬さんと楽曲を作ったコミュニティーメンバーの多くは、ふだんから音楽活動しているわけではなく、歌詞を書くことも初めてという方も多いはず。
そんな方達でも、音楽が好きで、色々な音楽を聴いて来ていて、こころの中にはすでにメロディや歌詞がねむっている。
そんな、At The Gardenの楽曲を制作される中で成瀬さんが幾度となく仰っていたことを、自分なりに解釈してテーマとして書いて行こうと思いました。
そして、SNSやnoteで垣間見える「かねまんさんの日常」をモチーフに、「そんないつもの日常のなかにも、音楽はねむっている」という内容で書き進めていきました。
「これが僕の音楽」と うそぶいてみても
完成版では、かねまんさん、キソエム、成瀬さん、と歌い継いでいくTraveling Wilburysスタイルになりました。
成瀬さんパートは、キソエム歌唱パートを追加した後に、それを受けたカタチで書かれることに。
そのターンが来たのは、ちょうど2023年の7月。
日本の音楽業界に、過去から蓋をされていた「闇」が一気に噴き出した頃でした。
それに対しての成瀬さんの回答が、まさかのラップ(!)というカタチで、この時代の空気ごと真空パックされました。
「これが僕の音楽」という仮タイトルを付けていたものの、少し甘すぎるかな?と迷っていましたが、曲の中で「〜と うそぶいてみても」と言われることで、却ってこのタイトルが補強されたような思いでした。
「一緒に歌おうよ、ヘイ!」
最後の『ラララ』パートを実際に歌ってくれたのは、Song Gardenでプロの作曲家を目指して成瀬さんのレッスンを受け、実際に楽曲コンペに提出もされている「ライターズコース」のみなさん。
オクターブ下で歌われている方も居られて、「レコーディングスタジオで、その場に居たスタッフも含めて、みんなで歌ったものを収録した」というイメージにぴったりでした!
制作の流れ:かねまんさんとの作業
GarageBandで録音
かねまんさんはMacをお持ちだったので、僕がLogicで作ったデモをGarageBand用に作り替えてデータを送り、かねまんさんに録音してもらうことに。
マイクとオーディオインターフェース、マイクスタンドはこちらで用意したものを、かねまんさん宅に送りました。その様子は、かねまんさんの投稿に写真が掲載されています。
※(これぞ宅録!というナイスな写真で、うれしくなりました!)
解説動画を作成
また、実際に歌ったり、GarageBandの操作もさることながら、「マイクとの距離と、録音レベルの調整」が慣れないと一番難しいんじゃないかと思っていたので、(Davinci Resolveの練習も兼ねて)動画を作ってかねまんさんに見てもらいました。
![](https://assets.st-note.com/img/1698494489730-zXT1dRgR1S.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1698494501365-kaoJDrDbDb.png?width=1200)
制作の流れ:成瀬さんとの作業
曲をお渡ししてからは、成瀬さんの別作業の合間に断続的に作業が進み、そのなかで曲の形もどんどん変化していきました。
構成の整理
歌詞と曲を同時に作っていたため、「歌詞で説明する都合でメロディの尺が伸びた」部分があり、「楽曲として聴いた時に冗長な部分」を成瀬さんにざっくり整理してもらいました。
作った本人は「その尺がないと歌詞で内容が説明できない」と思い込みがちですが、(楽曲として)整理された尺に合わせて歌詞を書き直すと案外書けるものだな、ということを学びました。
「Traveling Wilburysで行こう」
「かねまんさんをリンゴ・スターに見立てる」イメージはすぐに成瀬さんにも伝わりましたが、さらにTraveling Wilburysのイメージも足されることになり、キソエム、成瀬さん、それぞれが歌うパートを作られました。
元ネタが1種類だとただの「パロディ」になりがちですが、ネタをいくつか重層的に重ねることで「オマージュ」になるし、その重ね方が「オリジナル」になる、と感じました。
Bメロとミドルエイト
キソエム歌唱パートは元々のBメロで、当初はこのBメロが「J-Pop調でA-B-A形式には合わない」と言われていました。
「A-B-A 形式」のBは、シンプルなコードの繰り返しの8小節で構成される「ミドルエイト」が望ましいということで、完成系の成瀬さん歌唱(ラップ)パートがつくられ、元々のBメロはキソエム歌唱パートとして残ることになりました。
それまでかねまんさん視点で書いていた歌詞を、ここで急に違うヴォーカルが入ってきて、どういう視点で書けば良いのか。
また、かねまんさん視点のパートに戻った時に「なぜ、コーヒーを飲んだりドライブに行ったりするのか」の説明が付くように、うまく収めなければいけない。
少し苦労しましたが、結果的にうまく書けたんじゃないかと自負しています。
UhAhコーラスのめざめ
キソエム歌唱パートの部分には、成瀬さんが入れたUhAhコーラスのアイディアが入っていました。
そのコーラスを少し整えていた時に、UhAhコーラスの作り方がとつぜん解ったような感覚がありました。
ここでの経験が、自身のユニット・オーキソプターの楽曲制作でも活かされました。
完成までの更なるブラッシュアップ
歌詞を整理したり新たに書き加えたりしたのち、キソエムヴォーカルと、かねまんさんに再度録音してもらったヴォーカルのセレクトとエディットを行ったあとは、すべて成瀬さんによるブラッシュアップ作業となりました。
エレキギターとエンディングのコーラスも足してもらい、いよいよ完成となりました!
イメージソース
『たいむましーん』
『Circle.2』所収の、かねまんさん作詞『たいむましーん』がビートルズテイストあふれるシャッフルの楽曲だったことが、かねまんさんをリンゴ・スターに見立てて、ジョンやポール、ジョージが(時に競うように)曲を作るイメージの元になっていると思います。
『With A Little Help From My Friends』(The Beatles)
全体的にこの曲をイメージしていたのは言わずもがなですが、部分的には『Getting Better』や『Penny Lane』のイメージも混じっていますね。
『With A Little Help From My Friends』 (Roger Nichols & Small Circle of Friends)
イントロをどうしようか迷っている時に、『With A Little Help From My Friends』のカバーバージョンになにかヒントがないか?と探っていて、この曲がベースから始まっていたのでそのイメージからイントロを作りました。
『Handle With Care』 (Traveling Wilburys)
Traveling Wilburysで、ヴォーカルが移り変わっていくといえばなんといってもこの曲。
キソエム歌唱パートの歌詞は、テーマ的にも後ろのパートとの辻褄も合う歌詞を書くのがなかなかスリリングでした。
この曲のボブ・ディランとトム・ペティのデュエットパートの出だし「Everybody's〜」をヒントに、「だれだって〜」で始めよう、と思いついて、やっと書くことが出来ました。
「歌詞に悩んだらリファレンスの英詞を和訳したものをとっかかりにしてみる」という手法が、制作の引き出しになりました。
『よければ一緒に』(KAN)
『曲中で「登場人物が思いついたメロディ」として「ララララ」が出てきて、それを「一緒に歌おう」と促すメタ構造』はこの曲から。
元々そういう曲にするつもりは無かったんですが、このアイディアが生まれて、やっと曲が終わることが出来ました。
さいごに
結果的に長い期間を経て完成したこの曲。
書き出してみるとエピソードはやはり山盛りでしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!