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【THE LONGING】実時間1ヵ月プレイしての感想(未クリア)

インディーワールドでTHE LONGINGが紹介された時の「400日、待て。」という紹介文が印象的でした。

400日待たないとクリア出来ないゲームって何?
そんな「変わったゲームで遊んでみよう」という好奇心で遊び始めたゲームですが、見事に自分向きのゲームですっかりハマって楽しんでいます。

この記事は4月末から遊び始めて1ヵ月経った現在の自分から見た感想を、クリアした自分向けにまとめたものです。
これでもし1ヵ月後とかにクリアした自分が「面白くなかった」って言ってたらそれはそれで面白いなと。

大まかな内容

プレイヤーが操作するのは真っ黒な身体に黄色い大きな目が特徴の不気味な生き物「シェイド」です。
舞台である地下の王国で、巨大な王様から使命を負うところからゲームは始まります。
王様は「400日待ち、起こすように」とシェイドに言いつけ眠ってしまいます。

洞窟と同化しているかのような、巨大な王様。手の平には主人公・シェイド。

プロローグと初日の探索は下の記事でもう少し詳しく紹介しています。ネタバレあり。

このゲームでやることは「400日待つ」ことです。
そしてゲーム内で流れる時間はプレイヤーが過ごす時間と同じです。すごいね。
しかしプレイ次第では、というかほとんどの場合400日もかからないでクリア出来るはずです。

1ヵ月プレイした自分は現在「残り150日」です。
何故1ヵ月で200日以上過ぎているかというと、探索を行った成果です。

時間の流れ方

このゲーム内で流れる時間は厳密に現実と同じではなく、どうやら主人公・シェイドの体感と関係しているようです。
なのでシェイドが楽しいと感じている間、例えば絵を描いている間は少し時間の進みが早くなります。
楽しい時間はあっという間に過ぎる!ということですかね。

洞窟内を探索し部屋の居心地を良くするアイテムを集める、絵を描いて壁に飾る、ソファに座って本を読む……。
そうしたことを積み重ねていくと、1秒が2秒に、さらに10秒に、と早く進むようになります。
本当にちょっとしたことですが、ゲームを閉じている間もゲーム内時間は進むので、翌日ゲームを開くと数日経っていた、なんてことが起こります。

初日の部屋。
5日目の部屋。探索をすることで賑やかになり、部屋で過ごす時間の進みも少し早くなる。

ちなみに時間が早く進むのはシェイドの部屋のみで、外に出ると実時間と同じ速度で時間が流れます。
逆に時間が止まる場所も存在し、どういうプレイをするかはプレイヤー次第です。

放置する必要があるゲーム

自分はこのゲームを、シェイドが孤独な400日を過ごすのを見守るゲームだと思っています。
この孤独な生き物と同じ時間を共有し、400日をどう過ごすのかを観察する。

探索するにも操作するシェイドの歩みは驚くほど遅いです。アクションゲームのスピード感に慣れているとギャップがすごいと思います。
ただこれは「時間がたっぷりある」「他に誰もいない」世界観に非常に合っていて、慣れたら好きなポイントになりました。
また洞窟内には数日間待たなければ進めない道などがあり、思ったように探索出来ない場面が所々あります。
steamにも「慌てずストレスをためないようにしましょう。」と書いてあります。慌てる必要はありません。時間が解決するのを待ちましょう。

この「やりたいことがあっても今すぐやれない」が苦手な人は向かないかもしれないですね。

とにかくこのシェイドの目的地まで歩いている様子、アイテムを時間をかけて入手する姿を見守るゲームなんです。
プレイヤーが付きっきりで操作しなくても、ある程度は自動で動いてくれます。
なので何かシェイドが作業している間、プレイヤーも別の作業をしていて大丈夫です。
こういう楽しみ方が想定されているかは分かりませんが、これが楽しい。シェイドのぺたぺたという足音や、カンカンとつるはしを振る音が癒し。
別の作業をしてたまにゲーム画面を覗いて、シェイドが既に作業を終えて退屈そうにしていたら別の作業をやらせたりして。
シェイドはプレイヤーを認知していませんが、プレイヤーからしたら同じ時間を共にしているなんか可愛い生き物です。

シェイドがかわいい

日々シェイドと同じ時間を過ごしていると愛着がわきます。
シェイドがかわいく見える。

そもそもこのゲームにはシェイドしかいません。王様は寝てるし。このだだっ広い洞窟に独りぼっち。
ほとんど説明のないままゲームを始めたプレイヤーに対し、ヒントをくれるのはシェイドの独り言です。
この場所が通れるようになるには何日かかる、このアイテムを入手するには何が必要だ。
全てではないし分かりやすくないことも多いですが、彼の一言に救われたことは少なくありません。

あと単に発言が投げやりで可愛かったりします。あと共感出来ることも言う。
プレイヤーがシェイドに寄り添っていたつもりが、シェイドがプレイヤーに寄り添っていたというか。
別にシェイドは何もしてないんで、自分が勝手にシェイドに救われているような気がしているだけなんですが。
何もないゲームって癒されるので好きなんですよ。

これ好き。

かわいいシェイドが400日の孤独をつらいと言うのなら、楽しい気分で時間がすぐ過ぎるようにしてあげたい。
そうして探索を重ね、日々を重ね、部屋の居心地を良くしてシェイドが笑顔を見せてくれた日は嬉しくてたまらなかったです。
ただ頑張った分シェイドと過ごせる時間は短くなります。だって部屋の居心地を良くした分ゲーム内の時間の進みは早くなりますからね。
じゃあ部屋で過ごすのを辞めるかといえば、それはシェイドを孤独と直面させることなのでやりたくない。

とんでもないゲームだ。

シェイドをただ放置して本当に孤独なままにしたら400日遊べる。
シェイドに愛着を抱いて色々してあげたら一緒に過ごせる時間が減る。

やめてよ……。

クリアに向けて

1ヵ月間プレイして、残りは約150日間となりました。
400日を最後まで待って王様を起こすつもりです。

やだなあ終わって欲しくないなあ。
ゲーム内の時間がプレイヤーの時間よりも早く進む度に無性に悲しくなります。
自分より寿命の短い生き物を見ているような気分です。
ゲームが終わった後の喪失感が怖い。

下のレビューにある「たまごっちのようだ」が良く分かります。
自分の中ではもうシェイドは「生き物」で、ゲームをしていない間も彼はゲームの中で孤独を耐えているように感じる。

そのうちに、このゲームはサヴァイヴァル要素のない「たまごっち」のようだと感じ始めた。シェイドは食事をしなくても死なないし、排泄をしないので掃除する必要もないが、実に不思議なことに彼が本当に生きているような気がしてきたのだ。

こうした思いは、THE LONGINGのもつ大きな悲劇性を際立たせるものだと思う。ゲームを閉じたとしても、シェイドはゲームのなかで生き続け、時が過ぎるのを辛抱強く待っている。

もしかすると彼は、コンピューターのなかで永遠にひとりで過ごすことになるかもしれない。そう考えると、彼の苦しみがますますこちらに迫ってくるのだ。シェイドは洞窟の奥から聞こえてくるうめき声だけでなく、PCから絶えず出てくるファンの音にも悩まされているのではないだろうか。

実際に400日かけて遊ぶゲーム「THE LONGING」は、自己隔離の孤独と見事に響きあっている:ゲームレヴュー | WIRED.jp

シェイドの孤独が終わるのを見守ります。

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