【THE LONGING】400日経ったクリア後感想
閉ざされた地下王国で、王様の目覚めを400日間待つゲーム『THE LONGING』のクリア後感想です。
クリア前感想が既にあるのですが、今回はネタバレありでの感想です。
クリアしたらショックで感想書けなさそうだなと察して書いたクリア前感想はこちら。
孤独がテーマのゲームだとは思うのですが、孤独を否定するのではく受け入れて肯定してくれているような雰囲気がとても好きな作品です。
さすがにプレイしてから400日経つので感想まとめて記事にしたいと思っていたのですが、一切まとまらずにくしゃくしゃなままこの記事を書いています。
ほぼ振り返りのような内容です。
実時間で400日経った今でもクリアしたの認めてない。
400日間待つこと
「実時間で400日間待つ」ゲームです。
と、思っていたのですが。いやゲーム内時間では確かに400日間待ったのですが。
2023年4月21日にプレイを開始し、クリア予定の400日後は本日2024年5月25日。しかしクリアしたのは2023年5月28日です。
何が起こったんだ。
主人公のシェイドを操作し洞窟内を探索、そしてシェイドの部屋の居心地を良くするとゲーム内時間の進みが早くなっていきます。
とはいえ1秒が2秒や3秒になったりする程度、早くても1年はかかるだろうな!歩くしかやることないし、進みたくても時間が経たないと進めない場所もあるし、他のゲームも遊びながらたまに様子見る感じで遊ぼう。
そう思っていた時期もありました。
まだこのゲームと自分との相性が良いことに気付いていませんでした。
当初の予想は外れ、毎日シェイドに会いに行き、会いに行けば行くほどゲーム内時間の進みは早くなっていき、画面上部のカウントダウンに唸る日々でした。
ゲームをプレイしていなくても、ゲーム内時間は止まらずに進み続けます。
プレイヤーが前回のプレイから半日経ってシェイドの様子を見に行くと、ゲーム内では5日経っていたりします。
シェイドはプレイヤーが動かすキャラクターなので、プレイヤーが操作していなければ動きません。
上記の例で言うと、シェイドは5日間地面の上でひたすらうずくまっていることになっています。なんてことを。
シェイドは別に、たまごっちのように世話をしなくても死ぬことはありません。
本当にゲームを始めてから400日放置していても問題なくクリア出来ます。
でも毎日会いに行っちゃうんですよね。
洞窟内の探索に行こうよ。苔が好きなら集めようよ。もしかしたら知らない場所を見つけるかも。
そう促す気持ちで、シェイドの孤独を和らげようとするような気持ちで操作しながら、実際はプレイヤーの孤独が和らいでいるのだと感じます。
毎日なにか変化があるわけではない。ただその日を待っているだけ。
でもなにも無くても楽しいんですよね、楽しかったんですよね。楽しい時間はあっという間に過ぎるんですよね…。
あっという間過ぎて400日が38日で過ぎました……嫌だ…。
望んだエンディング
このゲームの目的は「400日間待ち王様を起こす」こと。では王様を起こすとどうなるのか?このゲームはどう終わるのか?
シェイドによると、王様は強い力の持ち主で「すべての恐怖と切望は終わりにしてくれる」そうです。
王様が目覚めたら多分世界が崩壊するのだろう、とは想像がつきます。
個人的にそれは好みの展開というか、そうなって欲しいと思っていました。
それと同時にシェイドと会えなくなるのは嫌で、クリアすることを認めていないややこしい状況ではあるのですが。終わり方も好きだけど、好きだから終わって欲しくない。
だって400日かかると思ってたら、38日でクリアしちゃったから心の準備が追いつかなくて…。
結局400日経っても追い付いていないので、自分はいつまでもクリアしたことは認めないと思います。
『THE LONGING』はマルチエンディングです。これはゲームの説明にもあったので、400日待たないエンディングがあることは分かっていました。
ゲーム中で見つけたエンディングは崖から身を投げるエンディング。これは選べない。
シェイドが消えて、王様は眠ったっきり。世界は終わらずに済むエンディングですかね。
また途中までしか分からなかったけれど、王様に禁止されている外に出るエンディング。
攻略を見なかったら行けそうにないエンディングです。プレイ中は外に出れそう、ということしか分かりませんでした。
でも多分自力で外に出れる手段が分かったとしても、それは選ばないです。
実際終盤になってからはその方法を探し続けるより、居心地の良くなった最高の部屋でシェイドを見守ることを選んでいました。
なんでシェイドと過ごす時間を、自ら減らすような真似をしなければならないんですか?
という理由半分。
一番は400日の孤独を耐えた末に王様を起こすシェイドを見たかったからです。
王様を起こす為に生まれたシェイドが、その使命を果たす姿を見たい。
孤独を嫌がるシェイドのことを考えると、外に出て自由にさせてあげた方が良いのかもしれない。だからそういうエンディングもあるんでしょうしね。
でも王様を慕う様子を何度も見せていたシェイドを思い出すと、やはり自分は王様とシェイドの再開を見たい。
400日間の孤独を耐えたシェイドを王様がねぎらう様子が見たい。
なんの為に彼は一人で誰もいない洞窟をさまよい続けたのか。
そして自分はシェイドを自ら手離せません。下手に希望を残すようなエンディングは選べません。シェイドの孤独ごと全てを終わらせてください。
そして400日間待ち続け、とうとう王様を起こすと、王様と同化していた洞窟は崩れ落ちます。
王様は絶望の日々を待ち望んだシェイドの為に、世界を終わらせてくれました。
でもただ終わるだけではなく、王様がシェイドを撫でる様子が見れたのが本当に嬉しかったです。自分が望んでいたものを越えたエンディングでした。
そしてもうゲームは「切望の日々は終わりを迎えた」という画面のままなんの反応もしなくなります。
クリアしたら、終わりです。
全てを終わらせて、シェイドが孤独でなくなったことが嬉しいけど、もうこのゲームの時間が進まないのが寂しい。
以前の感想を振り返って
クリア前感想で「クリアした自分が『面白くなかった』って言ってたら面白いな」と書いていたのですが、クリア前書いてた時点でめちゃくちゃこのゲーム好きなわけです。
その感想書いてから一ヶ月くらいでクリアかな~と思っていたのですが、実際はそれから一週間くらいでクリアとなったわけで。
そんなもう、心変わりする間もなく好きなままクリアしてます。
でも「面白くなかったというわけないだろ」という気持ちで書いてた。
歩くのが遅いのは、急ぐ理由がないから。
待つ必要のある場所やあまりやることが多くないわけは、シェイドのどうしようもない閉鎖的な孤独の気分をプレイヤーも味わえるようにではないか。
このゲームのマイナスとも捉えれる部分を肯定的に考えている時点で、もうこのゲーム好きなのは否定出来ない。
歩くとペタペタ足音がしたり、方向転換さえゆっくりだったり。行き止まりでガッカリしたり。
孤独を嘆きながら、王様を慕い続けていたり。
石炭が落ちてカサっとした音が聞こえたり、その石炭で暖炉に火を起こしたり。
本を見つけると喜んだり。読んでいる間は時間の進みが早くなったり。
絵をかくのが好きで、描きあがった絵を額に入れて飾ったり。特にシラミの絵が好きなことが分かったり。
苔が好きで、拾う度にウキウキしている様子が見れたり。その苔を集めて素敵なベッドを作ったり。
そうして部屋の居心地が良くなると、笑顔を見せてくれたり。
暗闇の中で自分にそっくりな何者かと遭遇したり、その障害を乗り越えて新しいエリアを見つけたり。
キノコを育てて進めない道の先に進んだり、限りなく外に近い場所を見つけたり。
自分以外の生き物に会いたがっていて、小さなクモのことを友と呼んだり。そのクモもいつの日か死んでしまって、シェイドが悲しんだり。クモを埋葬した場所に小さなかわいい花が咲いたり。
大きな変化はないけど、洞窟内では少しずつ小さな変化を感じます。
大きな変化がないから、小さな変化の一つ一つが思い出として自分の中に残っています。
これらを失った寂しさをずっと抱えていたい。