KIS Sri Lanka経済危機のスリランカ②
7月13日に辞任する予定だったゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(73)が、軍用機でモルディブに脱出した。
このニュースは、私がホテルのカフェテラスで朝食をとっている時に入ってきた。
私は、ガソリン不足と反政府デモにより、空港からコロンボに移動できない可能性があったので空港近くのホテルに泊まっていた。
すぐにスタッフに連絡して「今日は、予定通りコロンボに移動できるか?」と聞いてみた。
スタッフからは、予定通りにコロンボに移動できる旨の返答があったが、油断はできない状況ではあるらしい。
大統領が国外へ脱出したことにより、デモが過激化することも予想されていた。
私は、スタッフが用意してくれた車に乗ると一路コロンボへと向かった。
コロンボへ続く道路は、驚くほどに空いていた。
ガソリン不足で動ける車が、少ないからだ。
快適ではあるが、素直に喜ぶことはできない。
ガソリン不足で足止めをくらうのは、次は私かもしれない。
コロンボ市内に入るとガソリンスタンドに給油の為に並ぶ車列で道路の両脇が占められていた。
これは異様な光景と言えた。
この車列に並んだとしても、給油できるのは三日後以降ということもあるらしい。
それ以外の街の様子は、比較的に落ち着いて見えた。
今日の私の予定は、①コロンボ現地にある日本語学校で講演すること、②日本へのイミグレーション相談、③現地スタッフ増員採用だった。
私が①の会場に到着すると、時間前だというのに多くの聴衆が集まっていた。
聴衆の熱気を感じた。
日本留学が決まっている学生とその親、日本で起業や就職を考える者。
多くの方々に参加して頂いた。
私の講演のテーマは、『在外キャリアデザイン論ーー日本語を「学ぶ」と「使う」の違い』とした。
いくら日本語を学んでも、それだけでは意味がない。
日本語を使うこと=日本後を使って生活する=日本語を使って金を稼ぐことを意識しなければならない。
スリランカ人の第一の専門性は、「スリランカ人であること」=スリランカの言葉及びスリランカの文化慣習に対する理解、スリランカ現地の人脈等であるが、これらを活かすために日本語能力を身につけるということが、日本を「使う」ということである。
講演終了後にも多くの反響を頂いた。
特に印象に残ったのが「もっと早く先生の話を聞いていれば、今も日本で頑張っていられたかもしれません」という日本からの帰国者からの言葉だった。
「移民」(Migration)は、「正しい情報」(Right Infomation)に基づいて事前にどれだけ準備できるかによって、その成功率が変わる。
私が、経済危機のスリランカに来たのは、「移民」機運が盛り上がり、移民ブローカー(Illegal Migration Agent)等の跳梁跋扈するからだ。
虚偽申請。
法外な手数料。
このような破滅を運命づけられた「移民」を生み出すのが移民ブローカーだ。
それを防ぐには「正しい情報」を知ることだ。
私は、この「正しい情報」を伝えるために経済危機のスリランカに来たのだ。
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