とある昔話

中学生のある日
俺は親戚の家に連れ出されました。
本音は(何で俺だけなんだよ⁈兄も連れてけよ!)となってたんですが…暇なの一応着いて行きました。
そして親戚の家に着くなり親戚の子供x3に囲まれた。

「€$3÷〆〆!!!」

うん何言ってんだ、こいつら。
はしゃぐ子供って何言ってるのか分からないんですよ。
とりあえず何とか落ち着かせることに成功すると。

子供a「兄ちゃんワンピース知ってる⁈」

そう尋ねてきました。

俺「一応」

子供b「マジで⁈」

俺(コイツら人生得してるな)

大体…小学2・3年
1人の子供(多分4・5歳)は話に入らず、離れた位置でこちらを見つめてる
しばらくワンピースの事をのんびり話していると子供から

子供a「お兄ちゃん!ワンピースファンなら」

俺「何や?」

子供a「ワンピースの絵描いて!」

嫌、嘘だろ
ワンピースファンなら誰しも絵が上手いわけないし…それに俺マジで絵心無いんだよ
案の定チョッパーとかルフィとかゾロとか描いても原形をとどめてないモンスターが完成されていき
明らかに子供達の見る目が変わりました

(何コイツ…正気かよ)

(動物園からサルが逃げ出してきた!)

的な顔をしてあっという間にどっかに行ってしまいました

俺「…」

絵心無いって辛いな
少し鬱になって後ろを見るとあの子供が

子供c「絵…描いて」

紙とペンを渡されました

俺(あーもうやるしか無いな)

ここまできたら、ドフラミンゴだろうがフランキーだろうが完璧に描いてやるよ!


親戚の母「で何描いて欲しいの?」

その会話に入ってきて、子供に尋ねてる

俺「何描けばいーの?」

子供は大きな声でこう言った






子供c「アンパンマン」




話の流れ的にワンピースとかじゃないのかよ!
一応仕方なくアンパンマン書くけど

親戚の母「あー服間違ってるよ」

かなりダメ出しを食らう羽目に
嫌…知らないよとか厳密に知ってるけど知らないの
そんな詳しくアンパンマンの服とかマークとか知らんし

まぁ案の定出来上がったのは線がガタガタな今にもアンコが飛び出てきてくたばりそうな、中国のパチモンみたいな奴ですわ
その紙を子供にそっと渡すんですが

子供c「アンパンマンじゃない!!!」

と言って紙を捨ててどっかに行き



誰も居なくなった


やなせ先生、アンパンマンを汚してしまい本当に申し訳ありません。
あれから僕はアンパンマンの絵を上手く描こうとしましたが…ダメです、どうやら僕には絵の才能がないみたいです。
やはり貴方の生み出したアンパンマンは完璧なヒーローですね

『正義とは実は簡単なことなのです。困っている人を助けること。ひもじい思いをしている人に、パンの一切れを差し出す行為を「正義」と呼ぶのです。』

『本当の正義の味方は、戦うより先に、飢える子供にパンを分け与えて助ける人だろうと。そんなヒーローを作ろうと思った』

本当に子供にも大人にも分かりやすい教えです
だが、僕にはそれは出来ませんでした。
絵を描いてと言われた子供達をドン引きさせる事しか出来ません
僕はヒーローにはなれません

それに比べて貴方は、お金が無い市の為に無償でゆるキャラをを作り、それにあやかり無償で依頼した自治体にも嫌な顔をせずにゆるキャラを作り出していきました
本当にアンパンマンみたいな人ですね


無償でゆるキャラを考えたり…90歳を超えてもまだ死にたくない…と言う事は絶対凡人には絶対できない事です
貴方は最高の絵本作家で…最高のヒーローだと信じてます

ご冥福を祈ります

END

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