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きしぉう博士のアジア研究ノート

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きしぉう博士が書いたアジア研究や歴史学関連の2020年10月から2021年1月までの有料記事の全てが読めるマガジンです。
アジア研究、特に東南アジア研究の前線の話がかじれます。 それから、大手の出版局・大学出版局から本を…
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2021年10月の記事一覧

歴史の中の「抑圧されたものの回帰」

まだまとまってない思考を書き付けておこうと思います。 なぜ空間の歴史・長期的持続について書くのか?民族の自意識と空間認識の変化については、例えば小熊英二の初期の作品や、トンチャイ・ウィニッチャクンの重要な作品がある。小熊の場合、明治期の日本人の「多民族」としての自意識から初めて、大日本帝国の大きな領域の瓦解に伴う「単一民族」としてに自意識の定着を扱い、後の作品で北海道や沖縄、台湾などの「日本人の境界」の研究に進んだ。トンチャイの場合、伝統的な東南アジアの地理的認識(対立する