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きしぉう博士のアジア研究ノート

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きしぉう博士が書いたアジア研究や歴史学関連の2020年10月から2021年1月までの有料記事の全てが読めるマガジンです。
アジア研究、特に東南アジア研究の前線の話がかじれます。 それから、大手の出版局・大学出版局から本を…
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2020年12月の記事一覧

フィリピンのクリスマス。亡くなった義父のこと

フィリピンでは9月からクリスマスシーズンに入る。とにかく気が早い。モールでは店員たちがサンタクロース風の赤い帽子を被り始め、クリスマスツリーも置かれる。フィリピンではあまり見かけない針葉樹を模した人工のやつだ。マライア・キャリーの歌が延々とリピートされるので、12月が始まる頃には多くの人たちは歌詞を覚えてしまい、私は辟易する。 このお祝いの仕方は、スペイン時代というより、20世紀のアメリカの植民地時代由来だろう。クリスマスの起源はイエスの誕生日を記念してだけど、後から付け加

国連の選挙支援チームで働いて学んだこと(1)選挙

10年ほど前のことですが、私は法政大学を1年間休学して、東ティモールの国連選挙支援チームで働いていました。21歳から22歳の頃です。経緯としては、2009年頃にサブプライムローンの不況で就活する気が失せてしまい、指導教授だった長谷川祐弘先生(後で説明する)に相談したところ、「土屋くん、君は英語できるようになったし、インドネシア大好きだし、クリスチャンだし、東ティモールの国連で1年くらいボランティアしてみるかい?ただし、弱音を吐いて帰ってきちゃだめだよ」と言われて、「あ、はい。

同僚の本が フォーリン・アフェアーズのベストブックに選ばれたので紹介する

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2015年7月。東ティモール、ディリの海岸。

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書評/世界史:ウェスタッド「冷戦:ワールドヒストリー」

英語版は2017年、日本語版は今年の7月に発売されたオッド・アルネ・ウェスタッドの「冷戦:ワールドヒストリー」を批評します。本の概要まで無料、冷戦研究史を踏まえた今後への期待などを含めた筆者の批評部分を有料にします。最後まで読みたいという方はマガジンへのご登録をお願いします。 先に書いておくと、20世紀と私達の生きてる今への文脈を理解したい人は、絶対読んで損はしない本です。ただ、「冷戦」という概念自体を問うという姿勢を取ってる私達のような歴史家から見ると、この本は「入門に過