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5年「最後のコンサート-チェロ奏者・徳永兼一郎」【生命の尊さ】の指導案はこうする!
こんにちは。
5年「最後のコンサート-チェロ奏者・徳永兼一郎」【生命の尊さ】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。
『生命の尊さ』は、今回の指導要領改定の目玉の1つで、
重点項目として扱われている教科書が多いです。
背景には道徳の教科化のもとになった
「いじめの問題」があります。
この『生命の尊さ』をとおして、
自分だけでなく、
身近な人や自然の命の尊さについて
深く考える経験をさせたいですね。
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
「生命の尊さ」
5・6年の目標・・・・
生命が多くの生命のつながりの中にあるかけがえのないものであることを理解し、生命を尊重すること。
5年生「最後のコンサート-チェロ奏者・徳永兼一郎」(光村図書)
あらすじ
1996年3月2日。世界的なチェロ奏者、
徳永兼一郎が、東京の演奏会場に向かった。
兼一郎は、がんは全身に転移し、下半身の自由は失われていた。
しかし、力の続くかぎり自分の音を追い求めることをやめなかった。
兼一郎には、もう一つの目標があった。それは、新しい楽器に命を吹き込むこと。
楽器は、演奏家がひきこみ、人前で奏でて初めて命が吹き込まれる。
そのチェロが1月に完成したばかりだった。
この新しいチェロを持って、東京の演奏会場に向かったのだ。
これが、最後のコンサートになると思っていた。
東京での演奏会のあと、
兼一郎の弟の提案で、兼一郎が入院しているホスピスでのコンサートを開催することに決まった。
兼一郎はチェロを引けるような状態の身体ではなかった。
しかし、支えながらも、ホスピスでのコンサートの演奏をあきらめることはしなかった。
コンサートでの演奏の休憩中、チェロを作ってくれた佐藤に約束した。
「最高の演奏をしてくるからね」
佐藤との約束通り、最高の演奏だった。
コンサートから約1ヶ月半たった後、惜しまれながら55歳の生涯ととじた
2 内容項目と教材
「生命の尊さ」はDの視点です。
Dの視点は、生命、感動、自然愛護など抽象的なものが多いです。
ですから、他の視点に比べて、言葉にしにくいことが多いです。
まとめの段階では無理に言葉にしようとせず、
子どもの考えた内容や余韻を大切にしてください。
「命は大事」という、すでに知っていることを
「だから大事なのか!」と理解を深めるイメージです。
兼一郎は、全身に転移したガンと戦いながら
二男との約束を果たします。
ここで気になることがあります。
☆頑張っているのは兼一郎だけでしょうか?
兼一郎の演奏を実現させるために、
多くの人が関わっています。
✅弟の二男
✅兼一郎に楽器を構えさせた人
✅コンサートを準備した人
✅観客
兼一郎と同じくらい頑張っているのは誰でしょうか。
また、兼一郎の次に頑張っているのは誰でしょうか。
そんな屁理屈を言って、子どもの思考を揺さぶると、「当たり前をひっくり返す」ことになるので思考が活性化されそうですね。
ここで大事なのは、命の重さの受け止め方は人それぞれ、と言うことです。
☆のような屁理屈を書きましたが、命に対する思いは、どちらが大きい、どちらがいい、という話ではなく、それぞれが深く兼一郎の命について受け止めているのです。
そのことにたどり着くために、あえて☆のような発問をすることは
いじわるですが展開としてはアリです。
命に対する考え方は人それぞれです。
兼一郎に思いを馳せる子もいれば
弟の二男や、コンサート実現に尽力した人に思いを馳せる子もいます。
それぞれが体験を通して、この教材の土俵の上で命について語ります。
どれも否定せず、受け止めたいですね。
また、Dの視点は特に言葉にすることが難しいですので、
言語化は強要しない方がいいです。
「命ってどうして大切なの?」
「命はどうやって大切にしていくの?」
などと聞いても、満足いく答えは期待できないでしょう。
しかし、言語化できないから考えがない、というわけではありません。
命については理解をしているけど、うまく言葉にできない状態なのです。
ではどうすればいいのか?
☆のように屁理屈でいじわるな発問をすると、「それは違う気がする」と反論をします。
その反論の中に、命に対するキーワードが入っていることがあります。
また、その反論から新たな気づきが生まれるのです。
ストレートに命について考える発問ではなく、変化球が有効です。
ぜひ、下記の発問も参考に屁理屈発問にチャレンジしてみてください!
3 導入
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