6年「小川笙船」【希望と勇気、努力と強い意志】の指導案はこうする!
こんにちは。
6年「小川笙船」【希望と勇気、努力と強い意志】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
A 主として自分自身に関すること
「希望と勇気、努力と強い意志」
5・6年の目標・・・・より高い目標を立て、希望と勇気をもち、困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。
6年生「小川笙船」(光村図書)
あらすじ
江戸の街でも有名な、腕のよい医者だった。
身分の高いものは、高い診療代を余計に包んだ。
そのようなものたちだけを診療しても、笙船は十分に豊かにくらしていける。
それでも笙船は、貧しくて医者にかかる金もない人々にも手厚く治療をほどこした。
江戸の街には、貧しい病人があふれかえっていて、笙船は殿様にこの事実を伝えた。
殿様の命令で、小石川養生所が作られた。そして笙船はそこを取り仕切ることになった。
養生所は何百人もの患者で溢れ返った。
笙船は自分と同じ志を持つ若い医者を養生所に呼び寄せた。
笙船はどんなに疲れていても、夜には、若い医者の治療が間違っていないか確認した。
なやみ、疑問が書かれた日誌に夜遅くまで目を通し、一人一人に声をかけ、労った。
ある日、貧しい病人だった一人が、自分の畑でとれたたくさんの大根を養生所に届けた。
「先生はおられるか。先生にたべてもらうんじゃ」
男はすっかり元気になっていた。
笙船が大根のかごを受け取り、高々とかかげると、
養生所には、みんなのえがおと拍手の音が広がった。
2 内容項目と教材
これはそれぞれ前半と後半でペアを作って理解しましょう。
つまり、「希望と勇気」で1セット、「努力と強い意志」で1セットです。
まずは「希望と勇気」について解説します。
人が希望をもつ時というのは、どんな時でしょうか。
☆プロ野球選手になりたい
☆いつまでも元気に生きたい
などが、希望の例としてあげられます。
では、勇気をもつ時というのはどんな時でしょうか。
☆勇気を出して好きな人に声をかける。
☆勇気を出して試験に挑戦する。
つまり勇気とは、何かしらの目標に向かう強い気持ちと言えます。
勇気はゴールがあるから発揮できるのです。
そのゴール地点や付近のことを、希望と呼ぶのです。
希望があるから勇気がでる。
希望のない勇気は、ただなりふりかまわず勢いで行動しているだけです。
それは、道徳的価値が高い行動とは言えません。
続いて、「努力と強い意志」です。
これは「希望と勇気」によく似ています。
努力をしている時はたいてい、
目標に向かって頑張っていることのことを指すはずです。
時々、このような言葉を聞きます。
「あの人は努力家だ。」
仮にその人が努力家だったとしましょう。
それはいつの時点でそう言えるのでしょうか。
1回の頑張り? 1週間続けたら努力家?
「いやいや、1年は最低続けないと,努力したとは言えないでしょ。」
と言う人もいるでしょう。
努力の内容によりますので一概には言えませんが、共通しているのは、
『短い期間だけ頑張っても、それは「努力」をしているとは言えない。』
ということです。
努力とは長い期間頑張ることを指します。
その長い期間、気持ちが折れることなく、
頑張り続けることができたのはなぜでしょうか。
自分自身が「目標を絶対に達成するぞ。」と思っていたからでしょう。
つまり、努力とは強い意志によって支えられるものなのです。
このように、「希望と勇気」、「努力と強い意志」はそれぞれ1セットなのです。
教材研究では、
①「希望と勇気」か「努力と強い意志」か、どちらが重点の教材か見極める。
②仮に「希望と勇気」だとしたら、
『希望』はどの人のどの心か、『勇気』はどの人のどの心なのかを考える。
(※「努力と強い意志」でも同じ)
③『希望』『勇気』それぞれについて発問を考える。
という流れに沿って行うと、本質を捉えた授業ができます。
では、今回の教材「小川笙船」はどうでしょうか。
これは「努力と強い意志」が重点で間違いなさそうですね。
笙船は長い間努力をしました。
誰が見ても、「一時期の努力」ではなく、「長い時間の努力」でしょう。
そしてその努力を支えるのは、「病気やケガの人を助ける」「若い医者を指導する」という強い意志なのです。
笙船は、並大抵以上の努力をしています。
医者としては十分暮らしができるほど稼ぎがあったにも関わらず
貧しい病人の手当を無償で行ったり
殿様に申し入れて養成所を作ったり
若い医者に指導をしたり
夜遅くまで日誌に目を通したり….
なぜここまで人のために尽くせるのか、
と人として頭が下がる思いです。
この教材は笙船にだけ焦点を当てて書かれていますが
視点を変えて見ると、また新しい気付きが生まれます。
・若い医者の笙船への思い
・病気が治った、貧しい病人
・殿様
・笙船に依頼した身分の高い人
・笙船の家族
視点を変えて、これらの人が「笙船になんというだろう。」という発問は、思考の幅が広がりそうですね。
「視点を限定しない」は授業展開と発問を考える上で基本中の基本です!
『発問の視点は1つに絞りなさい』と指導する人がいたら、
それは古い道徳ですので、無視して構いません。
このような偉人の作品は、とにかく自分事として考えることが難しいです。
遠いところの遠い世界の、すごい人の出来事だ
という思いから抜け出せないことが、いつも課題としてあがります。
それを防ぐために、教科書に書かれていないことを考えたり、
批判的な思考を促したりする、という方法があります。
いずれも、発問によって促せます。
視点を変えたり、当たり前をひっくり返す発問で、子どもの思考を活性化させていきましょう!
3 導入
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