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3年『あの日のこと』【生命の尊さ】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『3年『あの日のこと』【生命の尊さ】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

『生命の尊さ』は、今回の指導要領改定の目玉の1つで、
重点項目として扱われている教科書が多いです。
背景には道徳の教科化のもとになった
「いじめの問題」があります。

この『生命の尊さ』をとおして、
自分だけでなく、
身近な人や自然の命の尊さについて
深く考える経験をさせたいですね。

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
「生命の尊さ」
3・4年の目標・・・・生命の尊さを知り、生命あるものを大切にすること。

3年生「あの日のこと」(日本文教出版)

あらすじ

「ぼく」は、広場にたけしと向かった。
たけしの言う近道を通ろうとしたが、
フェンスにつかまらないと進めない、危ない道だった。

ぼくは、1年生になる前のあの日のことを思い出した。

ぼくが公園で遊んでいて、
ボールを追いかけて道路に飛び出した。

次の瞬間、車が飛び出してきて急ブレーキをかけた。
あやうく車にひかれるところだった。

お母さんは、「いたいところはない?」と叫んだ。
お父さんは、見たことのない怖い顔をしていた。
公園にいた人が集まってきたり、
車を運転していた人も下りてきた。

お母さんの目から涙が落ちるのをぼくは見た。

ぼくはたけしに「やっぱりやめよう。いつもの道から行こうよ」と言った。

2 内容項目と教材

家族の愛情がとても感じられる教材ですね。

一見、「家族愛」の内容項目のように感じますが、『生命の尊さ』ですので注意しましょう。

「家族愛」の目標・・・父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。

この目標は今回の教材には当てはまりません。

しかし、子どもは行間や教材後の展開を想像して家族愛についての意見を言ってくることもあるでしょう。
それは、多面的・多角的な見方をしている証拠ですので、否定せずに受け止めましょう。

さて、Dの内容項目のポイントは、「無理に言葉にしない」ことです。
Dは「感動」「生命の尊さ」「自然愛護」など、抽象的なものばかりです。

無理に言葉にしても、安っぽいものだったり、浅い言葉になったりしてしまいます。

だから、まとめのときには、無理に言葉にする必要はありません。

それよりも、すでに知っていることについての理解を深めるようにしましょう。

今回の「生命の尊さ」なら、「命は大事」ということはすでに子どもは知っていることです。
しかし、議論をすることで新たな視点に気付くことで、「だから、命は大切なんだ」と気付けるようにすることが大切です。

すでにある理解という道を、太くする工事をするという感じでしょうか。


さて、教材の内容について考えます。

「ぼく」は、小さい頃の出来事を思い出して、
危ない近道を通ることをやめました。

なぜ、近道を通ることをやめたのでしょうか?
ケガをしたくなかったからでしょうか?
それとも違う理由でしょうか?

また、なぜあの日、「ぼく」が無事だったことを、これほどみんな喜んでいるのでしょうか。

それぞれ考えてみたいですね。

命は、人によって様々な考え方があります。
それは子どもも同じです。

身内の不幸を経験した子もいれば、死とは無縁でこれまで生活してきた子もいるでしょう。
そんな生活経験が多様な子どもたちに、「命とは○○」と1つの視点から理解させるようにまとめることは、ナンセンスです。

例えば、ペットの死を経験した子は意外と多いはずです。
しかし、同じ「ペットの死」という事象でも、立ち直れないほど落ち込む子もいれば、あっけらかんとする子もいます。
これは死に対する考え方のちがいです。

誰が正解ということもないですし、それだけ命には多様な考えがあるということです。

ということは、授業では「命」の捉えをできるだけ多く取り上げる必要があります。

命はなぜ大切か。
できるだけ多くの視点から考えてみてください。

命はなぜ大切か

・たくさんの人が命を応援しているから。
・たくさんの人が命が続くことを願っているから。
・命は1つしかなく、替えのきかないものだから。
・父母、祖父母から受け継がれてきたものだから。
・命とは未来で、命がなくなることは未来の希望がなくなることだから。

似たようなものもありますが、できるだけ多くの視点を取り上げることで、子どもはどれか自分の感覚に近いものから理解のヒントを得ます。

それが、この内容項目の捉え方なのです。

難しいですよね。
だから、Dの視点は「難しい」と言われているのです。

3 導入

T:教師 C:子ども

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