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6年「先着100名様」【規則の尊重】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『6年「先着100名様」【規則の尊重】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

きまり、ルール、規則。
身の回りにはたくさんあります。

例えば、
○ゴミは回収日に出す。
○車は車道を走る。
○人の傷つくことを言わない。
など。

これらのきまりは、なぜできたのでしょうか。
必要だったから、でしょうが、
必要でなかったら、
できなかったのでしょうか。

きまりは、なぜあるのか。
きまりがあることで、困ることはないのか。
きまりを作る前に、できることはないのか。

そんなことについて考えていきましょう。

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「規則の尊重」
5・6年の目標・・・・
法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り、自他の権利を大切にし、義務を果たすこと。

6年生「先着100名様」(日本文教出版)

あらすじ

悠太は、夢中になっているアニメの原画展が開かれることを知った。
初日には、先着100名に、作者のサインカードが配られる。

お兄ちゃんに相談したら自電車で行こう、ということになった。

当日、お兄ちゃんと自転車で行ったが、少しでも早く着きたい悠太。
お兄ちゃんに「並走はルール違反だ」と注意されたり、
お兄ちゃんが安全を確認しながらゆっくり進むので、いらいらした。

途中、同級生の隼人が赤信号なのに、すっと渡って二人を追い越していった。

美術館に着くと、隼人は100名までがもらえる番号札を持っていて
悠太はもらえなかった。

お兄ちゃんは「カードがもらえないのは残念だけど、ここに無事に来ることができたし、原画展も見れてよかったじゃないか」と言った。

美術館からの帰り道、交通事故の「目撃者を探しています」の看板が目に入った。

悠太は、美術館にくるまでの兄の行動を思い出していた。

2 内容項目と教材

行為を正す議論は意味がない

こういった「失敗」を扱った教材は、
ともすると「正しい行為」を追い求めてしまいます。

・悠太とお兄ちゃんは、どうすればよかったのだろうか。
・悠太とお兄ちゃんは、間に合うように行くならどんなことに気をつければよかったのか。

こういった行為を考える発問をすることです。
これは、全く意味がありません。


なぜなら、子どもたちは「きまりを守ること」は絶対に正しい事実として知っているからです。
でも、知っていることとできることはちがいます。


きまりを知っていて、それが完璧にできているなら、学校から「生徒指導」という言葉はなくなっているでしょう。
・「ダメなことは知っているけど」つい廊下を走ってしまう。
・「ダメなことは知っているけど」ついカッとなって友達に悪口を言ってしまった。
・「ダメなことは知っているけど」算数の宿題で計算機を使ってしまった。

こういったことって、誰しも経験があることではないですか?
ないとは言わせませんよ!


子どもは、大人以上にこういった
「つい」が多くなってしまうものでしょう。
それは、責めることではなく、そういうものなのです。


だから、「正しい行為」を道徳で議論しても「知ってる」という結論になるだけで、建前の議論になってしまいます。
それでは、45分の道徳の効果が最大限発揮はされませんよね。


悠太の心の揺れを考える
ではどうすればいいか。
悠太の心の揺れを考えましょう。
悠太の心の中は、2つの考えで揺れています。


A 先着100名に入りたい
・隼人も違反しているのだから、ちょっとぐらいなら交通違反してもいい。
・1度ぐらいなら大丈夫。
・早く通ってしまえばばれないから大丈夫。


B 交通ルールを守らないといけない
・自分だけ急ぐと、事故にあったり、誰かをケガさせるかもしれない
・隼人は、危ない行為をしている


結局、お兄ちゃんの抑制もあって、Bの行動をするわけですが、
この2つの心の揺れを考えてみたいですね。

周囲の人の心を考える

また、周りの人の心を考えてみましょう。

A 交通違反をした時
・車とぶつかって事故にあうかもしれない。
→隼人は急いでも無事についている
→お年寄りや小さい子に会っているから、危険は実際にある。

B 交通違反をしなかった時
・誰にも心配をかけない。

つまり、悠太がきまりを守っていれば、
・悠太はケガをしないし安全・安心
・周りの人は余計な心配をせずに安心
ということがわかります。

このことから、
『きまりを守ると、みんなが安心・安全に生活できる』
という結論が出ますね。

このポイントに触れられたら、この授業はバッチリです!
大切なのは、この結論が正しいか、
間違っているかを決定するのではなく
「規則について自分の意見をもつ」ことです。

生活していく上で、規則は切っても切り離せないものです。
身の回りにはたくさんのきまりがあります。

・廊下は歩く。
・人に悪口を言わない。
・時間を守る。

これらのきまりが、特に学校ではたくさんあります。

教材に合わせて、学校にあるいくつかのきまり(生活ルール)を例に出し、「なぜそのきまりがあるのか」を考える活動もいいですね。

6年生ともなると、きまりを守るだけでなく、守っている姿を見せたり、他学年から「何で守らないといけないの?」と聞かれたりする経験もあるでしょう。

きまりについてまるで大人のように考える時間も必要なのです。

そこに正解はありません。
これまでの生活経験が人によってちがうので、きまりに対する理解度も変わってくるからです。
しかし、最初にも言ったとおり、考えをもつことが大切なのです。

例えば、「廊下は歩く」というきまりについて考えます。

過去に廊下を走っていて、人とぶつかってケガをした経験がある子と、
「廊下は走ってはいけない」と担任の先生から何度も話を聞いてきた子と、
そもそも歩く概念がないぐらい、常に走っている子では、
同じ「廊下は歩く」というきまりに対して、思いがちがうのは当然です。

では、みんな理解をしていないかと言われたらそうではありません。
自分の中で理解はしているが、「危険だから安全のために守る」なのか
「わかっているけど守れない」なのかでも、考えが変わってきます。

このように、きまり1つとっても考えがちがいますから、
互いの考えを交流することが不可欠なのです。

では、お兄ちゃんの判断をどう思いますか?
反対派と賛成派に分かれて討論するのも活動のアイディアの1つですね。

また、「こうすればよかった」という行動を考えるのは
あまり望ましい活動ではありません。
お兄ちゃんのの心を考えたり、
結局先着100名に入れなかったことを、どう思うかを考えることを主軸にしましょう。

繰り返しますが、この決定が正しいか、間違っているかを結論づけることが目標ではありません。

きまりは、なぜあるのか。
守るだけが正しいことなのか。
守らなくてよい、変える必要がある、と思うのはどんな時か。

これらのことをそれぞれ具体的に考えていきましょう。

3 導入

T:教師 C:子ども

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