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【読書】『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』


奥様は藝大生

の書き出しで始まる本書は、入試倍率は東大の3倍、「芸術の東大」と言われる東京藝大の探訪記。

歴史に残る著名な芸術家を数多く輩出した藝大ですが、学内の伝説や珍事件にも事欠かない。

まさに天才たちのカオスなキャンパスライフに、抱腹絶倒しながらページをめくった。

今回は、そんな本書の中からエピソードを3つ、ご紹介する。


お隣の上野動物園をめぐる伝説

東京藝大は、上野動物園とフェンス一つで接している。
そのためか、動物園格みの様々な伝説があるようだ。

「学生が絵画棟からペンギンを一本釣りした」「酔った勢いでペンギンをさらい、冷蔵庫で飼おうとしたが死なせてしまった」etc...

真相は本書の中で明らかになる。

また、動物の檻の前にある「ライオン」や「トラ」といった立札。
藝大の学生がこれを模して「ホモサピエンス」の札を作り、藝大との間のフェンスにかけた、といった珍事件も。


卒業生の半分は行方不明?

卒業生の実に半数は、卒業後の進路が決まっていないとのこと。

学長自身も、「何年かに一人、天才が出ればいい。他の人はその天才の礎。」と言い切る潔さに、芸術の最高学府の覚悟を感じずにはいられない。

それにしても、進路状況に「進路未定、他」と書かれた半数の卒業生たちのその後が気になるのは私だけだろうか、、


百花繚乱の音楽とアートの祭典「藝祭」

藝大の学祭である藝祭は、ぜひ一度訪れてみたくなる、芸術の競演だ。

出店は趣向が凝らされ、彫刻科の出店は料亭のような、油絵の出店はパブのような雰囲気を楽しめるようだ。

そうかと思えば、突然楽器を持った学生が現れて、即興演奏が始まったり。

今年は新型コロナウィルスの影響で中止になったが、来年はぜひ、覗いてみたい。


最後に

上野には度々訪れている。

美術館や博物館を望むアカデミックな風景と、アメ横の庶民的な雰囲気とを併せ持つ、私の好きな街だ。

幕末の激戦地でもあるこの地は、歴史に思いを馳せながら散歩するのも何とも楽しい。

そんな背景もあり、表紙を一目見て惹きつけられ、手に取ったのがこの本である。

この季節にふさわしい、芸術の楽園の解体新書。
ぜひ、ご一読あれ。

mie

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