1月3日
岩手に行くまえに住んでいたのは池ノ上。京王井の頭線の下北沢のとなりで、各駅しか止まらないこじんまりした町。大型チェーン店もなく、通りには個人商店が並び、年に2度、駅前の通りでフリーマーケットが行われるような親しみやすい町だった。
この町に住んでいたころに借りていた部屋の大家さんは飲み屋で知り合った人で、わたしのほかの2部屋の借り主も、同じく大家さんとは飲み屋つながりだった。だからわたしたち借り主はことあるごとに大家さん家で一緒にご飯を食べ、宅配物を預かってもらい、どこか寮生活にも似た暮らしをしていた。
馴染みの店もカウンター席のみで、ひとりで飲みに行ってもだいたいほかの客と仲良くなることになる。そんな人たちがあちこちから集まって新年会をしたもんだから、今晩の元大家さん家は懐かしい顔でごった返していた。ここがあたたかくて、池ノ上を離れてなお飲みに通ってしまう気持ち、わかるなぁ。