129号 地域医療に携わる、ということ
2024年3月22日
私は「きしもと歯科医院」という歯科医療機関を開設している開設者であり管理者です。
私は、歯科医師であり、施設開設者であり、施設管理者であり、スタッフのマネージャーでもあります。
その中の「歯科医師」は歯科医師法に定めるところの厚生労働大臣に歯科医師免許の交付を受けた者しか名乗ることが出来ません。いわば国家資格です。
国家資格には、業務独占資格、名称独占資格、設置義務資格、技能検定、と大別して4種類あり、歯科医師は業務独占資格です。
先述の歯科医師法の第17条に「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。」とあります。
コレが業務独占です。
条文というのは基本的に大切なことから順に記載されますので、第一条が一番重要になります。
歯科医師法第1条「歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」
歯科医師の一番の務めは「国民の健康な生活を確保すること」と明記されてます。
つまり、地域医療に関わることが歯科医師の務めの1丁目一番地な訳です。
開業医であるとか勤務医であるとか、診療してるとか診療してないとか、歯科医師会員であるとか歯科医師会未入会であるとか、そんなことは一切関係ないのです。
ですが、現実社会をみてみると、歯科界も枝葉末節で右往左往している現状が見て取れます。
儲けに走るのが悪いとは言いませんが、国家資格には大前提があることを忘れてはいけません。
某国会議員が「今回の災害、重機はあるけどヒトがいないから作業が進まない。昔は国のために働くのは当たり前だった。今の若者は「公務員はシンドイ」とか言って目の前の楽して儲かるところばかりで働きたがる。だから有事の際、復興作業がしたくても人手不足で進まない。これからの日本はそれで良いのか?」と仰ってました。猛烈に共感致しました。
有事の際に役立つのは平時からの連携、付き合いなどです。
世には数多の災害対策会議がありますが、普段から顔の見える関係で無ければ、どれだけ対策会議をしても必要とするときに全く機能しないでしょう。
私は開業以来、日本歯科医師会や京都府歯科医師会、京都市北歯科医師会に入会し、歯科医師会が行う地域保健・公衆衛生活動に協力しながら自院の診療を続けています。
地域医療や公衆衛生活動は一人のチカラでは何ともなりません。
自院で診療していると、時に【制度】という大きな壁にぶつかります。
変革が必要と思われる制度は、然るべき人たちが声を上げ動き出すことが必要です。
歯科医師会は国や自治体にモノが言える唯一無二の職域団体でもあります。
他方、歯科医師会には臨床現場がありませんので、何を議論し何を提言していくかは現場の歯科医師、つまり開業医等の声が大事になってきます。
歯科医師会への入会は任意ではありますが、より良い歯科医療を提供しようと思えばその職域団体である歯科医師会に入会し、思うところがあれば末端会員であっても声を上げていくことが大切と考えます。
社会にはルールがあります。
そのルールに則らずに「あれはダメ」「これはダメ」「私はこう思う」とか言ったところで、私に言わせれば机上の空論の域を出ません。
再度記しますが、歯科医師の一番の務めは「国民の健康な生活を確保すること」です。
有事の際に役立つのは、平時からの付き合い、人間関係です。
街へ出て、社会と関わることが、延いては自身の安心安全を確保することにも繋がります。
私は京都府京都市で開業する歯科医師であり、京都府京都市で暮らす京都府民、京都市民でもあります。
歯科医師会という組織に関わると共に、地域医療にも関わり続けたいと思っております。
地域医療に関わることは、ひとりのチカラでは中々何ともなりませんので。