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【R18官能小説】緋い罠〜堕ちた人妻 第1話「緋の花」
〜成熟した女のエロスを描く〜
♦︎あらすじ
ある日、庭にぽつんと生えてきたヒガンバナ。植えた覚えもないのにどうして生えてくるのだろう。
末永優莉(スエナガユリ)30歳。結婚5年目。専業主婦。子供はいない。
仲の良い夫婦だが、もう一年以上も夫に抱いてもらっていない。俗に言うセックスレスの夫婦だ。
身体を持て余した優莉は、ある日、誰もいない家で衝動に駆られて自分の身体を慰め始める。その恥ずかしい行為は次第にエスカレートして、自分が近所の知り合いの男性に抱かれる妄想をしながら自慰に耽るようになる。
それでも物足りなくなった優莉は、とうとう近所のお宅のご主人に声をかけた…。
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プロローグ 緋の花
庭の入口付近にあるローズアーチの横。一本だけすっと伸びた茎の先に、いくつかの蕾が付いている。それがヒガンバナと分かったのは、ほころび始めた蕾に緋い色が見えたからだ。
ヒガンバナの球根など植えた覚えはない。それにわたしはこの植物があまり好きではなかった。
夏の終わりに、いきなり地面からつるんとした茎だけ伸びて、群がった大きな蜘蛛を思わせるグロテスクな花を咲かせる。その花の色も唐突な緋色で、周囲から浮いた毒々しさしか感じない。
ヒガンバナの染色体は3倍体だという。だから花が咲いても種はできないと何かの本で読んだことがある。だから、どこからか種子が飛んできて、ということはヒガンバナに関してはありえない。
だとしたら、植えてもいないのにどうして生えてくるのだろうか。
そういえば、こんな所に誰も植えないだろうという場所で、ヒガンバナがポツンと咲いているのを見かけることがある。
なぜだろう。あの毒々しい緋色が嫌いだから余計に目に入るのかもしれないけれど。
勝手に庭に生えてきたヒガンバナは、触るのが嫌だったので抜かずに放置することにした。一本しかないので邪魔になる訳でもない。
球根にアルカロイドという毒があるらしいが、間違っても触ったり口にしたりしないので放置しても何ら問題はなかった。
「ヒガンバナなんて去年は咲いていなかったですよね」
「ええ。今年いきなり生えてきたんです。植えてもいないのに」
庭の手入れをしていたら、明るい声で、こんにちはと挨拶された。声の主は木島さんという、近所にお住まいの30代半ばぐらいの男性だ。
木島さんのお宅は、わたしと同じぐらいの年齢に見える奥さまと、就学前の小さな女の子の三人家族だ。かわいらしい感じの奥さまと顔を合わせた時に、お子さんは今年四歳になると聞いた。
「わたし、ヒガンバナが好きじゃないんです」
「僕もです。なんというか、色が毒々しい感じがして」
「ああ!同じだわ。わたしも色がちょっと」
「アハハ、気が合いますね」
「えっ」
顔が赤くなってしまったのを悟られないよう、彼の整った顔から眼を逸らして、わたしはさりげなく横を向いた。
第1話 緋の想い
二十五歳で結婚した。今年で五年になる。
子供は欲しかったがまだいない。婦人科で診てもらったことがあるが、特に身体には問題は見つからないと言われた。
子供ができない理由は分かっている。同い年の夫とはもう一年以上も性交渉がなかった。セックスをしなけば子供などできるはずがない。
夫とは大学時代に付き合い始めた。恋人同士の頃は会うたびにお互いの身体を求めあって、それなりに満足していたはずなのだが、結婚して一年も経つと、求められることが次第に減って、いつの間にか世間によくあるセックスレスの夫婦になっていた。
わたしへの愛情が冷めたと言うより、恋人時代の新鮮味が失せてしまったのだろう。夫はわたしという存在に慣れてしまった。でもセックスはしないが今でも仲の良い関係だと思う。
わたしは今でも夫を愛しているのか。どうなのだろう。
夫への穏やかな愛情は感じる。しかし愛しているかどうかはっきり言ってよく分からない。夫と同じように、一緒にいることに慣れてしまったのだと思う。
恋人時代の感情は冷めてしまっても、わたしの女の身体は別だ。性的な欲求は冷めることなく、歳を重ねるごとに日増しに強くなっている気がする。
仕事を持っていれば気が紛れるのかもしれないが、結婚を機に辞めてしまった。すぐに子供ができると思っていたし、その時は仕事にそれほど興味がなかったからだ。
毎朝、仕事に出かける夫を見送り、掃除や家事をやり終えると庭の手入れをする…けれど広くもない庭で、毎日する必要があることは限られているから、家の中でひとりきりで何もしない時間ができる。
夫は何か習い事でもしたらどうかと勧めてくれて、わたしはそうねとその時だけは前向きな返事をするのだが、なぜか外に出かける気になれない。
テレビ番組は好きではないので、家の中で雑誌や本を読んで、飽きるとリビングの窓から庭を眺めて…そんなある日、ソファに座っていつものように読書をしていると、急に身体の奥に熱い疼きを感じた。
それはずっと前からそこにあったのだが、直視するのが嫌で無視していた強い性的欲求だ。
勝手に手が動いて自分の身体をまさぐりはじめた。両手を胸にあて、丸いふくらみを服の上からぎゅっと握る。
「んっ…ん」
自分の唇から自然に甘い吐息が漏れた。そんな声を出してしまったことが淫靡な行為に拍車をかける。
片手で胸を強く揉みながら、もう一方の手をスカートの中へ。足を少し開き、手のひらを太ももの中心に添わせる。
指をそろえてストッキングと下着の上から少し力を入れて上下にさすると、指先に湿った感触が伝わってきた。
…ああ…こんなこと…いけない…でも…もっと感じたい。
淫靡な火が着いてしまったわたしは、服の上から慰めるのがもどかしくなった。
ブラジャーのカップの中に手を突っ込んで、直に乳房を鷲掴みにして強く揉みしだく。
股間をいじる手をショーツの中に入れて、その部分を指先で慰め始める。
わたしの中心は熱くうごめいており、粘性のある蜜液でまみれていた。
その日から、時間が空くと淫靡な行為にふけるようになった。
誰もいない、誰にも見られることのない環境で、わたしの恥ずべき行為は夫が不在のときの習慣になっていった。
服を脱いで丸裸になって自分を慰めるベッドで、浴室でシャワーを浴びながら、ソファーに座り大きく脚を開いて、いやらしい粘るような水音を立てながら股間をかき回し、千切れそうなほど強く乳房を揉んで、恥じらいも忘れて喘ぎまくる。
姿見の前で素っ裸でオナニーをするのが一番恥ずかしくて興奮した。
足を開いて立ち、自分の浅ましい姿を見ながら淫らな行為に没頭する。
誰にも邪魔されることのないわたしだけの秘密の遊戯。
自分の手で自分を絶頂に追い込んだあと、余韻に浸りながらふと思った。
夫は自分の性欲をどう処理しているのか?
わたしとセックスしない夫も欲求が溜まっているはず。彼の性欲のはけ口は何だろう。
自慰をしているところは見たことがないが、もしかしたら外で女を抱いているのかもしれない。
浮気をしている気配は感じないから風俗にでも行っているのかもしれない。お金を払うぐらいならわたしを抱いてくれてもいいのに。
夫にとってわたしは、もはや女じゃないんだ。だからセクシーな下着をつけて誘ってみても、何の反応もなくはぐらかされてしまう。
女として魅力がないのかと、姿見に自分の裸を映して点検する。若い頃より少し肉が着いたが、生まれつき色白の肌は褪せていないし、乳房もお尻も張りを失っているとは思えない。ウエストだって一応くびれている。
しかしその事実はわたしをますます悲しく落ち込ませた。
こんな身体でも抱いてもらえないなんて…わたしはいったいどうしたらいいの…。
今は魅力があっても確実に歳を取って衰えてゆくのは避けようがない。
…抱いて欲しいのに。ずっと待ってるのに。
…可哀想なわたしの身体。
淫らな遊びはさらにエスカレートしていった。
ある日インターネットで、女性用のオモチャを扱っているショップを見つけた。俗に言う大人のオモチャだ。
次第に自分の指では物足りなくなっていたので、熱心にそのショップの商品カタログのページを読んだ。何日も迷った挙句、初心者用セットなる物を購入した。
夫に気づかれないよう、商品の配達日時を平日の昼間の時間に指定にして商品を受け取り、タンスの自分の下着をしまってある引き出しの奥に隠した。いつものように夫を見送ってからそれを取り出して取り扱い説明書を読んだ。
いやらしい期待で妖しく高鳴る胸を抑え、いつものように裸になり、買ったばかりの器具を自分の身体で試した。
すると…指でするのとは全く違う次元の快感がスパークした。
しばらくご無沙汰の本物のセックスに似ているが、人間の男性のものとは異質の感覚に体内をかき回され、たまらない快感にのたうつ。
電動機械の容赦ない動きはある意味、人間の男以上だった。その強烈な快感は一度味わったら忘れられない。
わたしはその禍々しい男根の姿をしたバイブレーターの虜になった。
やがて夫以外の男性を見ると、自分とその人がセックスしているシーンを妄想するようになった。
道ですれ違った散歩中の中年男性や近所のコンビニの若い店員など、ホテルのベッドで、自宅に連れ込んでセックスするのだ。
最も興奮したのが、近所の顔見知りのご夫婦のご主人に組み敷かれている自分を想像する時だった。
わたしがどこの誰かよく知っている男性にベッドに押し倒され無理やり服を脱がされる。
ゴツゴツした手がわたしの身体を探り、感じるポイントをひとつひとつ見つけ出して、初めは嫌がっていたのに燃え上がってしまう。とろけた身体を開かされ、太く逞しい男性自身で犯されるのだ。
毎日、そんな淫らなことを妄想しながらバイブレーターで自分の身体を責めた。わたしの奥まで突き刺したバイブを男の肉棒だと思いつつ、自分の手でしっかり握りしめたバイブを激しく動かす…
「どうかしましたか?僕の顔、何か付いてます?」
「…えっ」
「いえ、急に黙ってしまったから」
木島さんの声で我に返った。いつの間にか彼の顔を見つめながらいつもの妄想に浸っていたらしい。
そんな自分が恥ずかしくて顔がカアッと熱くなる。身体も熱くなって奥の方が妖しく疼いてくる。
「もしも良かったら…うちにお寄りになりませんか?いただいたおいしい紅茶があるんです」
彼を誘う自分の声は甘ったるい湿り気を帯びていた。そこに込められた想いは明白だったから彼にも伝わったはずだ。
訪れた一瞬の沈黙。
わたしの胸に、断られたらどうしようという慚愧の念が込み上げてくる。
もしも断られたら…見っともなくて恥ずかしくて、合わせる顔がない。やっぱり誘うんじゃなかったと後悔したその時、
「…それじゃあ、お邪魔しようかな」という声がした。
ハッと目を上げると、彼の熱っぽい眼差しとわたしの視線が絡んだ。
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