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「…いい?」 美紅の濡れた唇がささやいた。甘い声だ。甘くて柔らかい。まるで、霧雨が舞い降りた誰もいない夜の道路のように、しっとり湿っている。 仰向けに横たわり、彼は天井を見上げていた。シンプルすぎるLED照明は一人住まいの若い女性の部屋にしては味気ない。カーテンと布団カバーは薄いピンク色。カバーは可愛らしいチェック柄。二人が抱き合っているベッドは、二人で抱き合ってセックスするには少々狭い。 「ねえ…いい…?」 「ああ…」 いちいち聞かなくても、と思いつつ、彼は低